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フィールド日記

2013.03.26

ミジンコの幼生誕生  中学3年生の宗教の授業「最も小さい者」と出会う

  2013.03.26  Tuesday

 「不二聖心のフィールド日記」では、3月24日から、本館前の築山の池で採集したミジンコの卵の成長記録を紹介してきましたが、ついに3日目にして幼生が誕生しました。まもなく体外に出ると思われる幼生の目の色も昨日の赤から母親と同じ黒に変わっているのが画像を見るとわかります。母親の周りを幼生が泳いでいました。動画ではその様子も見ることができます。
 

 

 

今日のことば

 中学3年生の宗教の授業で、「マタイによる福音書」の「はっきり言っておく。私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは。わたしにしてくれたことなのである。」という言葉を読み、世の中の「最も小さい者」と言える立場や境遇の人々について調べ発表するという授業をしました。その中からいくつかの発表を紹介します。

 
この写真は、ダッカの街角で撮られた、台車に住んでいる老婆の写真です。この老婆は高齢で膝が悪いため歩けません。そのため一日中、この台車の中で過ごしています。雨や太陽の光を防ぐためビニールシートがかぶせられています。時々、ストリートチルドレンに頼んで引っ張ってもらいながら移動をして生活しているそうです。ストリートチルドレンはこの老婆の手や足となって生活しているのです。写真を見る限り、この老婆は家もなく食べ物もなく、服も毎日同じものを着ていて、家族もいなくて寂しそうに見えます。しかし、老婆はストリートチルドレン達に生きていくすべを教えているのだそうです。自分が今まで生きてきた人生の中で役に立ったことをストリートチルドレン達に教えているのです。だから老婆は親がいないストリートチルドレン達にとって母親みたいな存在なのです。このような厳しい環境にありながら、老婆もストリートチルドレンもお互いに支え合いながら生活していて素敵だなと感じました。世界にはこのような貧しい環境で一日一日を必死に生きている人達がいることを忘れずに日々感謝をして生きていきたいと感じました。(R・U)

 
みなさんは、公園などで野宿生活をしている人々を見たことがありますか。きっと、ほとんどの人が見たことがあると思います。そうした人々はさまざまな理由で一定の場所に住めなくなり、解放会館などを住所として住民登録をしています。住所がないと、ハローワークなどで紹介される仕事は一切できず、保険のサービスや選挙権が奪われてしまうからです。しかし、2007年、大阪市が講演で野宿生活をしていた人々のテント村を強制撤去し、それに続いて他の3か所の解放会館などに登録がある2088人の住民票を抹消しました。この写真の男性はダンボールハウスが撤去され、愛犬とともにさまよい歩き、この撮影から1週間後に体調を崩して保護されたそうです。そもそも、大阪市は30年にわたって解放会館での住民登録を認めていました。2006年には、大阪地方裁判所で河川敷や公園のテントを住所として認めるとする判決を出しています。それなのに、その1年後、今度は大阪高等裁判所の判決で社会通念上住所と言えないと否定したのです。
みなさんは、突然、誰かの手によって自分の家を奪われたらどうしますか。私は納得できなくて裁判をおこすかもしれません。だけど、彼らはその抵抗すらできません。私たちには一人ひとり居住の権利があります。社会的立場の弱い人だけ、それを奪われていいわけがありません。
世界に目を向けて考えると、まだ良い方だと思う人もいるかもしれません。でも私は平和だと言われている日本の中にも、こういう人権侵害だと言える問題があることを知って驚いたし悲しくなりました。戦争がないことだけが平和なのでしょうか。私たちはこの現実を忘れずに、これから考えていかなければいけないと思います。(М・М)

 

 アフリカのほぼ中央に位置する人口約600万人の小さな国、ブルンジ。この国では、以前からずっとフツ族とツチ族が対立していましたが、その争いがますます激しくなり、1993年の大統領暗殺をきっかけに、大量虐殺が行われました。そして、1999年までに約110万人もの人々が家を追われ、近隣諸国へ逃れました。国内に残った多くの人々は避難民となりました。
人が死ぬことが日常となるような生活の中で、病院や無料診療所で、「国境なき医師団」が援助活動をしています。周囲のジャングルなど、ゲリラが潜んでいるような危険な場所でも治療を行う彼らは、まさに「最も小さい者のために働く人」ではないかと思います。私だったらきっと、自分も死んでしまうかもしれないような所で、人を助けようとは思えないと思います。しかし、「国境なき医師団」の医師たちは、「国境なき医師団の支援を受けている病院なら、無料で治療を受けられる」と遠くから何時間もかけてやってくる人々を見捨てるわけにはいかないと、必死に苦しみを乗り越えています。
はしかやマラリアなどが発生してたちまち広がってゆき、1年に満たないうちに、人口の3分の1に匹敵する200万人が発症し、多くの人が命を落としたそうです。医療の環境も悪く銃声を身近に感じることも少なくないのに、助けを必要としている人々の元にかけつけられる人は、人のために生きている人だと思います。私は、ブルンジへ行き誰かの命を直接救うことはできませんが、募金などを通して「最も小さい者」のために何かできる人になりたいです。(T・Y)


「マタイによる福音書」25章より

「さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。」すると、正しい人たちが王に答える。「主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。」そこで、王は答える。「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」