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フィールド日記

2013.03.20

ハナニラ  タチツボスミレ  ヨコヅナサシガメ  





 2013.03.20 Wednesday

 今日はワイシャツ一枚で外を歩いても大丈夫なほどの暖かさでした。春の花々もこの暖かさの中で次々に開花しています。正門のところではヒメリュウキンカと競うようにハナニラが花の数を増やしています。雑木林では林床にタチツボスミレの花がたくさん咲いています。花の美しさにみとれたあとで目を上げるとクヌギの木の幹の上をヨコヅナサシガメが歩いていました。ヨコヅナサシガメは中国からの移入したサシガメで春の早い時期から不二聖心でもその姿を見ることができます。1928年に初めて日本で発見され、徐々に生息域を広げてきました。画像の個体はまだ幼虫ですので体は小さいですが、動画をクリックすると横綱らしくゆったりと貫録ある姿で移動する様子が見られます。神奈川県立生命の星地球博物館の高桑正敏先生は、ヨコヅナサシガメはトラックの積み荷などと一緒に東名高速沿いに分布を広げた可能性があるとの見解を、以前、博物館の会誌に発表なさいました。数年前に先生にその可能性の高さについてうかがってみたことがあります。先生はヨコヅナサシガメの数があまりに増えすぎてもはや移入ルートの検証は不可能となってしまったとおっしゃいました。

今日のことば

 サシガメといった聞き慣れない連中は、和名の刺椿象あるいは刺亀虫と書くと、なんとなくおわかりいただけると思う。とどのつまり、刺す。カメムシの仲間で、口に鋭いストローをもっているが、カメムシのように植物の茎葉に突き立てるのではなく、おもに毛虫やクモに向けられている。害虫をやっつける腕利きのお庭番であるが、見てくれが悪いために、たいていはひどい扱いを受けている。
なかでもサクラに好んでつくヨコヅナサシガメは、冤罪の被害者。幼虫の間は集団で過ごし、アメリカシロヒトリなどのおじゃま虫たちをやっつけているのに、およそこの黒い集団こそが迷惑と思われ、「大切な桜に見慣れない害虫がいる。駆除法を教えてほしい」と博物館などに問い合わせがくるケースが多いという。

森昭彦