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フィールド日記

2013.05.01

ガロアノミゾウムシの驚異の生態  夏休み子供自然体験教室









2013.05.01 Wednesday
コナラ(小楢)に形成される新種のゴール(虫こぶ)について、ゴールの研究者の方から調査依頼がありました。新種の登録をする際に日本各地の分布状況を合わせて記載するためです。残念ながら新種のゴールに出会うことはできませんでしたが、代わりにコナラの若葉に集まるさまざまな生き物と出会うことができました。コナラは里山の雑木林を代表する樹木であり、日本人とコナラとの長い関わりの歴史がコナラに集まる多くの生物の生存を支えてきました。コナラの若葉を好む虫たちの中でも驚異の生態を有するのがガロアノミゾウムシです。ガロアノミゾウムシはいわゆる絵かき虫(潜孔虫)で、葉の表裏の間に潜って葉の組織を食い進み、最後は葉の組織で円盤を作り、地上に落下していきます。その円盤には移動能力があります。円盤が動くのを始めて見た時には度胆をぬかれました。動画を見るとガロアノミゾウムシの幼虫が小楢の葉を使って円盤を作る様子がわかります。



 


今日のことば

昔の武蔵野は萱原のはてなき光景をもって絶類の美を鳴らしていたようにいい伝えてあるが、今の武蔵野は林である。林はじつに今の武蔵野の特色といってもよい。すなわち木はおもに楢の類いで冬はことごとく落葉し、春は滴るばかりの新緑萌え出ずるその変化が秩父嶺以東十数里の野いっせいに行なわれて、春夏秋冬を通じ霞に雨に月に風に霧に時雨に雪に、緑蔭に紅葉に、さまざまの光景を呈するその妙はちょっと西国地方また東北の者には解しかねるのである。元来日本人はこれまで楢の類いの落葉林の美をあまり知らなかったようである。林といえばおもに松林のみが日本の文学美術の上に認められていて、歌にも楢林の奥で時雨を聞くというようなことは見あたらない。自分も西国に人となって少年の時学生として初めて東京に上ってから十年になるが、かかる落葉林の美を解するに至ったのは近来のことで、それも左の文章がおおいに自分を教えたのである。

「武蔵野」(国木田独歩)より  

お知らせ

今年も8月に小学4年生から6年生を対象として「夏休み子供自然体験教室」を不二聖心女子学院で開催します。申し込み方法など詳しいことをお知りになりたい方は下記のURLをクリックしてください。
http://www.fujiseishin-jh.ed.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=297