フィールド日記

2013.05.31

不二聖心の茶草場  ナキイナゴの動画



2013.05.31 Friday
掛川市など5市町の、茶畑の周辺の茶草場を活用した「静岡の茶草場農法」が、5月29日、世界農業遺産に認定されました。不二聖心にも茶草場があり、茶草場のススキは有機肥料として使われ、茶草場には多くの絶滅危惧種が生息しています。世界農業遺産と同等の価値のあるものが不二聖心にも存在すると言えるでしょう。今朝はその茶草場にナキイナゴの声が満ちていました。5月最後の日にナキイナゴのたくさんの声を耳にしたことを大切な記録としてとどめておきたいと思います。


 

 


今日のことば

茶草場――刈り取って茶畑に敷き詰めて有機肥料とするため、茶畑の周囲でススキやササなどを育てている草地。県内で見られる特徴的な風景で、希少な植物や昆虫など多様な生物の宝庫にもなっている。茶草場で育てたススキなどを肥料とする伝統的な農法を「茶草場農法」と呼ぶ。
朝日新聞(2013.05.30)より

2013.05.30

スイカズラとシェイクスピア

 

2013.05.30 Thursday
 

例年より早く梅雨入りし、今日はかなり激しい雨の降る一日となりました。梅雨時の不二聖心で最も目立つ花の一つがスイカズラです。スイカズラ科の花は世界に約500種ありますが、日本のスイカズラは、海外に帰化している例も見られ、Japanese honeysuckle と呼ばれています。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』に出てくるwoodbineという植物はスイカズラ科に属し、翻訳者によってはスイカズラの和名である「忍冬」を訳語としてあてている場合もあります。シェイクスピアは、luscious woodbineと表現しています。luscious(香りが良い)というのもスイカズラの仲間の大きな特徴です。梅雨の鬱陶しさを花の香りで多少なりとも忘れることができたらと思います。

今日のことば

あぢさゐの花雨に濡れ父の機が撃ち落されしその日近づく  結城文
四十二で死にたる父に晩年のなきこと思ふ戦なき世に    結城文

2013.05.28

ニジュウヤホシテントウが教えてくれること

 

2013.05.28 Tuesday
昨日紹介したアメリカイヌホオズキにニジュウヤホシテントウがついていました。よく見かけるナミテントウはアブラムシを食べてくれる益虫ですが、写真のニジュウヤホシテントウは植物の葉を食い荒らす害虫です。イヌホオズキの葉も食べれば、茄子の葉も食べれば、トマトの葉も食べます。さて、これらの植物に共通することは何でしょうか。それは、すべてナス科に属するということです。見た目では確認しにくい植物の共通性を、虫たちが食べ物の好みで教えてくれることが多々あります。

今日のことば

やはりストーリィには悲哀がなければならない。悲哀は愛に変わる。

新美南吉  

2013.05.27

畑地を好むアメリカイヌホオズキ

 

2013.05.27  Monday
 

5月22日に「共生の森」でナス科の植物の写真を撮りました。イヌホオズキと見当をつけたのですが、そう言い切るには問題がありました。イヌホオズキは5月ではなく8月に咲く花なのです。専門家の方にご意見を求めたところ、アメリカイヌホオズキという帰化植物であろうという回答を得ました。やはり花期からの判断ということです。英語版のウィキペディアにはアメリカイヌホオズキについて次のような説明があります。

It can grow on sandy and poor soil, but prefers fertile and cultivated soil types.

 つまりアメリカイヌホオズキは、痩せた土地でも育つが肥えた畑地をより好むということです。朝日新聞社から出ている「植物の世界」84号では、アフリカのイヌホオズキも畑の周辺でよく見られると書かれていました。「共生の森」もかつては畑地でした。pHをはかるとそのことがよくわかります。アメリカホウズキは「共生の森」の土地の歴史を静かに語りかけているのかもしれません。


 

今日のことば

タレントのテリー伊藤さんが何年か前、テレビの討論番組で語気を強めていたのを思い出す。「サザエさんを見て、悲しいと思う子供たちもたくさんいるんですよ」。国際機関の統計によると、日本は貧しい子供の割合が先進国の中で4番目に高いという。標準の半分以下の所得しかない家の児童は時を経て増え、今や6人に1人がカツオくんでもワカメちゃんでもないらしい。

編集手帳(2013.5.26)より  

2013.05.24

温暖化指標生物のシブイロカヤキリの声を聞いてみませんか



2013.05.24  Friday
昨夜、帰宅する時に校舎の裏でシブイロカヤキリが、けたたましい音を出して鳴いていました。不二聖心で聞かれる虫の声で「野趣に富む」という表現がぴったりくる双璧は、このシブイロカヤキリとクツワムシです。シブイロカヤキリは、現在、温暖化の影響で東北地方で北上を続けていると言われます。かつては関東北部にもいなかった虫です。「茨城県自然博物館第3次総合調査報告書」は、1991年に茨城県高萩市で全く発見できなかったシブイロカヤキリが、2003年には同市で確認されたという事実を伝えています。
動画をクリックすると真っ暗な中でけたたましく鳴くシブイロカヤキリの声を聞くことができます。
この声を東北地方で聞いたら、それは貴重なデータとなります。

 

今日のことば

人はなぜ苦しむのか。それは、自分のことしか考えないからです。でも、人のために何かをする。すると、「ありがとう」という思いや言葉が返ってきて、自分が必要とされている大切な存在であると感じられ、それが生きる力になるのです。  

水谷修  

2013.05.23

「林業女子会@静岡」代表 本戸三保子さんの講演

 2013.05.23  Thursday


 

 昨日は「林業女子会@静岡」の代表を務めていらっしゃる本戸三保子さんが高校1年生の総合学習の時間に「林業の魅力 ~木と私たちの暮らしをつなぐもの~」という演題で講演をしてくださいました。大学で森林資源に関する研究をなさり今は林業家として親方について仕事をなさっている本戸さんは、おそらく他に例を見ない経歴の持ち主と申し上げてよいのではないかと思います。講演では本戸さんからしかうかがえない話をいろいろと聴くことができました。何より心を打たれたのは、その誠実な語り口と林業に対する熱い思いでした。最後の質疑応答も活発になされましたが、生徒からの「林業のお仕事でいちばんたいへんなことは何ですか」という質問に、しばらく考え込んでしまった本戸さんの姿が印象的でした。「たいへんなこと」が簡単には思いつかないぐらい本戸さんは林業の仕事が大好きでいらっしゃることがよくわかりました。本戸さんの許可を得て講演原稿の一部を以下に引用させていただきます。日本に、このような志を持って林業に携わっている方がいらっしゃるということ自体が林業を元気にする力となるように思います。

 

 

 私と林業との出会い


林業は危険な力仕事で男の仕事だといわれています。「危険、きたない、きつい」の三拍子がそろっていて、さらに山へ女の人が入ることをタブーとする考え方が未だに残っています。
どうして私がそんな仕事に飛び込んだのかというと、高校生のころ私は環境問題に関心があり、生物が生きる環境を作り出しているのは森林だと思い、静岡大学の森林資源科学科へ進みました。
そして、大学3年生のときのインターンシップ(職場体験)で静岡県森林組合連合会に10日間お世話になりました。そのとき初めて林業という産業を目の当たりにしました。山の伐採現場、丸太の市場、製材所などを案内していただき、山の木がどのように木材となって私たちの生活の中で使われるものになるのかを知りました。そして、職人の高齢化、後継者不足、丸太が安くて林業は衰退しつつあり、荒れた山が多くなっている現状を知り、私も何か役に立ちたいという思いが湧き上がりました。
そして、一番印象的だったのが山の伐採現場でした。木が倒れる時の迫力、プロの人たちの意気の合った手際のいい仕事ぶりに引き付けられました。そして何より自分たちの仕事に誇りをもって生き生きとしていて働く人たちの姿にその仕事の魅力を感じました。
そうしてその後、当時女性が現場で働いているという龍山森林組合へ同行させてもらいました。その時組合長をされていたのが今の私の親方である青山有一さんです。青山さんは「自分は山の仕事の経験があるから、女性でもできる仕事があると思い、やる気のある人を採用した。」とおっしゃいました。そして、「日本の山はまずは経済林として成り立たせることが大事。そうすればおのずと山はよくなる。環境はあとからついてくる。」「林業は現場で学べ。机上の空論では通用しない。」と熱く語ってくださいました。私はこのお話を聞いて、林業をやろうと決意しました。
しかし、実際は林業の求人は少なく、現場の仕事に女性を受け入れてくれるところはほとんどありませんでした。私はその時体力も経験もありませんでしたので、やる気だけのアピールでは無謀だったと思います。そうして何度か山へ通い、苗植えや草刈りなどの体験をさせてもらっているうちにやる気を認めてくださり、青山さんが組合長を辞めた後自分の山の管理をしていくからということで、指導していただきながら一緒に仕事をさせてもらうことになりました。
何とか希望通りの現場の仕事につけたものの、ほとんど山に来た経験がなかったので、はじめは山を歩くのも一苦労でした。毎日体のあちこちが痛くて、道具も重たく使いこなせないので、思うように仕事ができませんでした。それでも毎日清々しい空気と季節ごとに移り変わっていく緑の美しさに励まされ、ここでくじけてはいけないと思いました。
そうして1~2年くらい経つと体力もついてきて、今ではこの仕事の面白さがわかってくるようになりました。一本一本の木や地形は二つとして同じものはないので、毎回新しい発見があり経験の積み重ねが大事です。ベテランの72歳の師匠には無駄な力を使わずに道具をうまく利用すること、常に先を読んで作業をすることを教えてもらっています。
社会的意義を考えてもやりがいのある仕事であり、手入れをした山は本当にきれいになって応えてくれます。そして、山の中で全力で体を動かして仕事をすることはこの上なく気持ちのいいものです。
私は、この仕事と出会えてよかったと心から思っています。
林業は危険すぎるのであえてお進めはしませんが、世の中にはまだ知らない職業がたくさんあります。みなさんもこれからいろんな体験をして、自分のやりたいことを見つけてもらいたいと思います。見つけたら、たとえ困難があってもすぐにあきらめずに努力してほしい。私は自分の努力だけでなく、よき理解者との出会いがあって今があるのですが、そのようなチャンスがきたときにぐっと掴めるように挑戦してみてほしいと思います。

 


今日のことば

「林業女子会@静岡」代表 本戸三保子さんの講演の感想より

◎林業のことをあまり知らなかったので、今日知ることができて良かったです。林業は将来に希望を持てる職業だと思いました。ずっと何年も続いていき、環境を良くすることもでき、先生も「好きだから大変じゃない」とおっしゃっていて、すごく魅力的な職業だと思いました。私も将来、先生のように仕事に誇りを持って取り組める女性になりたいです。

◎環境問題のことについて私も興味があり、本戸先生も高校生の時に環境問題に興味があって、その後林業の仕事についたとおっしゃっていて驚きました。私の中の林業のイメージは木を伐っているだけというものだったのですが、今回話をうかがって「植える→育てる→伐る→使う」という循環系だと聞いたので、林業のイメージががらりと変わりました。
ヒノキの年輪を見せていただきましたのが、あれほどの年輪は見たことがなかったのでとても驚きました。

◎木戸先生のお話をうかがい、林業に対しての見方が変わった気がします。林業では、常に、50年後、100年後を考えながら作業をしていて、今木を伐れるのは昔ここに木を植えてくれた先祖のおかげで、今植えるのはこの先の子供たちのためだという話を聞き、たいへんだけれどもすごいことだと思いました。森林は再生可能な資源なので大切にしていきたいと改めて思いました。

2013.05.22

シロスジヒゲナガハナバチとツチハンミョウ

 

2013.05.22 Wednesday
アザミの花にいろいろな虫が集まる季節となりました。写真のハチはシロスジヒゲナガハナバチです。このハチは、地中深くに巣穴を掘り花粉と蜜で幼虫を育てます。ツチハンミョウという昆虫の幼虫は花を訪れたシロスジヒゲナガハナバチの足にしがみついてその巣まで連れて行ってもらい、地中の巣を自分の住居とします。しかし、訪花するハチが必ずしもシロスジヒゲナガハナバチとは限りません。しがみついたハチがたまたまシロスジヒゲナガハナバチであったという僥倖によって彼等の命は守られているのです。

 

 

今日のことば

ツチハンミョウの幼虫が安楽な成育の場所へ辿りつくまでは、かかる難儀の連続だ。無事に行きつく可能性がどんなに低いかは容易に想像がつくだろう。それゆえにこそ、ツチハンミョウの母親はあんなにぶざまにふくれあがった腹をひきずっているのだ。彼女は何千という卵をうむ義務がある。数えきれぬ子供たちのなかから特別な幸運児だけが、ツチハンミョウの歴史をになう一員となれるのだ。

北杜夫  

2013.05.21

体色の鮮やかなモリアオガエルと築山のモリアオガエルの卵





2013.05.21 Tuesday
今朝は校舎の壁に絶滅危惧種のモリアオガエルがついていました。樹上生活に適するように指の吸盤が発達しているのが写真からもよくわかります。昨日の「フィールド日記」のモリアオガエルと比較すると体色が全く違います。本館前の築山のモリアオガエルの卵は今朝の時点で8個になっていました。今年はモリアオガエルの産卵時期が例年より早いというニュースがあちこちで流れていますが、不二聖心のモリアオガエルの産卵のペースもいつもよりはやいようです。今日は御殿場のNPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々が「共生の森」の草刈りをしてくださいました。暑い中での除草作業に心からの感謝を申し上げたいと思います。「共生の森」でも既にモリアオガエルの生息が確認されています。

今日のことば

高校3年生の短歌より

ほととぎす厳しい自然を生き抜いたあなたの歌に勇気をもらう    
彼女より先に座れる兄の横 初ドライブは私の迎え         
ごちそうを父・姉・私でプレゼントごめんね母よ母の日だけで    
心では言えるのになぜか照れ隠しいつもありがとう言えない娘    

お知らせ

今年も8月に小学4年生から6年生を対象として「夏休み子供自然体験教室」を不二聖心女子学院で開催します。申し込み方法など詳しいことをお知りになりたい方は下記のURLをクリックしてください。
http://www.fujiseishin-jh.ed.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=297
 

2013.05.20

モリアオガエル  オオホシオナガバチ  ヒメヒゲナガカミキリ





2013.05.20 Monday
今日は雨のために、体育大会に向けてのテント運びもライン引きの練習もできませんでしたが、この雨もカエルたちにとっては恵みの雨であったようです。夜の7時過ぎには、日本各地で絶滅危惧種に指定されているモリアオガエルが校舎のすぐ近くまでやってきていました。
5月15日に高校3年生が特別第3教室で採集したオナガバチについて、ヒメバチの専門家の方に同定を依頼したところ、オオホシオナガバチだと回答がありました。オナガバチは、林業害虫であるキバチに寄生する益虫です。2枚目の写真は5月12日に「共生の森」で採集したヒメヒゲナガカミキリです。広葉樹に穿孔する林業害虫です。オナガバチの中にはカミキリムシの幼虫に寄生する種もいます。林業や森づくりのためにオナガバチは非常に大きな役割を果たしていると言えそうです。

今日のことば

自分の心を見たければ、自分の部屋を見ればいい。部屋は「あなた」である。

名越康文

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2013.05.19

カラスザンショウにアゲハチョウの幼虫と謎の巣を発見





2013.05.19 Sunday
寄宿舎のデザートの種から育てたグレープフルーツの木にアゲハチョウが卵を産みました。グレープフルーツは「共生の森」の一角に植えられていますが、そのすぐ近くに同じミカン科のカラスザンショウが生えています。その枝にアゲハチョウの幼虫を見つけました。こちらはいつのまにか終齢幼虫(5齢幼虫)になっていました。まわりの葉はほぼすべて食べ尽くされています。さらにすぐ近くのカラスザンショウには葉巻状になった葉を見つけました。この場合は、葉は食糧兼住居となっています。中に何かが潜んでいるはずですが、正体は謎です。

今日のことば

自然界は広く、深い。人が知っているのはほんの一部だ。生物の不思議をひらくには、教える方が好奇心のエンジンをしっかり回して、子どもと謎解きの旅に出るつもりでちょうどいい。よく見れば、生き物は絶対に面白いのだ。

盛口満  

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2013.05.18

チャトゲコナジラミとシルベストリコバチの関係



2013.05.18 Saturday
5月15日に中学生のお茶摘みが行われました。その時に中学3年生の生徒が黄色い卵のついたお茶の葉を見つけ職員室まで持ってきてくれました。それはチャトゲコナジラミというお茶の害虫の卵でした。卵は翌日には孵化を始め、1齢幼虫が誕生しました。孵ったばかりの幼虫の様子を写したのが2枚目の写真です。白い卵の殻も一緒に写っています。動画をクリックすると1齢幼虫がかなりのスピードで移動する様子が見られます。これほどの移動能力を持つ幼虫が、このあと脱皮して2齢幼虫になると固着生活を営むようになります。その場所は必ず葉の裏なので農薬の効果が及びにくく農家の人々を困らせてきました。そこで考え出されたのが、シルベストリコバチという寄生蜂を生物農薬として用いる方法です。この方法は劇的な効果を期待できるようです。チャトゲコナジラミのように人間を悩ませる昆虫もいれば、シルベストリコバチのように人間の役に立つ昆虫もいます。チャトゲコナジラミとシルベストリコバチについて詳しくお知りになりたい方は下記のURLをクリックしてください。
http://www2.kpu.ac.jp/life_environ/app_entom/study2.html 

今日のことば


昆虫を将来の食糧にできないかという報告書をこのほど国連の機関がまとめた。現在70億人の世界の人口は、2050年までに90億人を超すと見込まれる。爆発的に増える人類を養う一手として、「昆虫食」に目を向けるように促す内容だ。
天声人語(2013.05.18)より

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2013.05.17

富士桜の実  クマヤナギの実



 

2013.05.17 Friday
草木の実を眺めていると不思議と心が落ち着くのはなぜでしょう。
今、「共生の森」では富士桜(リョクガクザクラ)の実とクマヤナギの実などを見ることができます。富士桜は富士山周辺でよく見られるフォッサマグナ要素の植物です。クマヤナギの実は果実酒にも用いられます。鳥も美味であることを知っているのでしょうか。残っている実の数はそれほど多くはありませんでした。

今日のことば

富士桜は、学名Prunus incisa.Tunb.で、標準和名はマメザクラであるが、富士桜と通称されている。
その分布は、富士山と四囲の山々(愛鷹、天子、三坂、丹沢、箱根山系)や、伊豆半島、三浦半島、千葉県の清澄山などで、フォッサマグナ(大地溝帯)の特産植物である。
文字通り富士山やその火山帯の特産であり、標準名が富士桜でないのは惜しみて余りあると思う。富士山と桜は共に日本の象徴であり、その二つを併せた「富士桜」は日本産植物名の中の最高の名称ではないだろうか。園芸愛好者や盆栽界では、もっぱら富士桜の名が愛用されている。別名は乙女桜、箱根桜、山桜などで、やはり富士桜が最良である。

渡辺健二  

2013.05.16

「共生の森」のグレープフルーツ  ホトトギスの初音

 

2013.05.16 Thursday
20年以上前に寄宿のデザートに出たグレープフルーツの種が芽を出し、長い年月をかけて一本の木に育ちました。この春、鉢から出して「共生の森」の土におろしましたが、順調に新しい葉を茂らせています。

 

 今朝、今年初めてホトトギスの声を聞きました。平安貴族も心待ちにしていたというホトトギスの初音です。これまでの日記を読み返してみるとホトトギスの初音は次のように記録されています。

2005年 5月25日(水)
朝、今年はじめてホトトギスの声を聞いた。生徒にも早速話をする。
2006年 5月24日(水)
久しぶりの晴天。五月らしい天気。今年はじめてホトトギスの声を聞く。午前中に声に気づいたが、放課後もよく鳴いていた。
2007年 5月28日(月)
朝、教室で黒板を書いていた時、ホトトギスの声が聞こえてきた。
2010年 5月25日 火曜日
今年はじめてホトトギスの声を聞く。

過去の記録と比較してみると今年は少し初音が早かったようです。日中もよく声が聞こえました。ホトトギスの声を聞きながら生徒に古典の話ができることをとてもうれしく思っています。
動画をクリックすると「共生の森」を横切るホトトギスが小さく見えます。14秒後ぐらいから3回かすかなホトトギスの声を聞くこともできます。

今日のことば

鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼はすんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして

村野四郎

2013.05.15

トゲヒゲトラカミキリ

 

2013.05.15 Wednesday

 「共生の森」で、今最も多く見られるカミキリはトゲヒゲトラカミキリです。害虫と見なされる種も多いカミキリムシについては、誘因物質についての研究が進んでいます。誘因物質がわかれば、それを利用してトラップを作り、一網打尽にすることができるからです。トゲヒゲトラカミキリは、ベルジルアセテートという、芳香を放つ誘因物質に一際強い反応を示すことがわかっています。一つの種が一つの匂いと結びつくまでの進化の過程を興味深く思います。「共生の森」のトゲヒゲトラカミキリはとにかくよく動き回っていました。誘因物質に一目散に向かっていく様子が容易に想像できます。

 

今日は中学生のお茶摘みが行われました。ホームページでもその様子を伝えています。
学院ダイアリー 2013.05.16 【メディア出演・掲載情報】中学LHRでお茶摘みを実施

 

今日のことば

こころが疲れてしまったら
澄みきった青空を見上げなさい
さわやかな大空を吹き抜ける
風になりなさい
森の静けさ
小川のせせらぎ
清らかな朝露に
溶けこんでしまいなさい
葉祥明

 

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2013.05.14

ミズキの花に集まる虫たち



2013.05.13 Tuesday
今日は、急に気温が上がり授業をしていても汗ばむほどでした。昨日から校舎の周辺でもモリアオガエルの声がよく聞こえるようになり、季節の変化を感じています。樹木の花で今の季節にひと際目を引くのはミズキの花です。今、静岡県東部はミズキの花盛りの時期を迎え、車を運転していてもミズキの白い大きな花にはすぐに気づくことができます。「共生の森」のミズキも芳香を放っていて、たくさんの虫が集まってきていました。

今日のことば

最大の旅は、自らの内への旅である。   ダグ・ハマーショルド

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2013.05.13

アシナガバチの営巣  3割への挑戦



2013.05.13 Monday
ヨウシュヤマゴボウの葉裏にアシナガバチが巣を作り始めていました。お腹に卵を抱きながら、たった一匹で越冬した女王蜂です。巣には既に卵が産み付けられていました。アシナガバチの巣作りの最終的な成功率は約3割と言われます。このハチもその3割に入るべく、さまざまな外敵と闘い続けていきます。

今日のことば

信仰と理性は人間の精神が真理の黙想へと飛翔するための二つの翼である。
ヨハネ・パウロⅡ世

 

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2013.05.12

アオスジアゲハよりもジャコウアゲハの方が飛び方がゆっくりなのはなぜか



2013.05.12 Sunday
「共生の森」でアオスジアゲハ(1枚目の写真)とジャコウアゲハ(2枚目の写真)に出会いました。アオスジアゲハは「稲妻の飛翔」と呼ばれるほど飛ぶスピードが速く写真を撮るのも一苦労です。ジャコウアゲハは飛び方がゆっくりで動画まで撮らせてくれました。ジャコウアゲハは体内に鳥などの天敵が嫌がる毒を含むため、むしろゆっくり飛んで目立つ黒色の体色を誇示し敵に警告を与えているのです。

 
 

今日のことば

「一枚、二枚、三枚、四枚……九枚、やっぱり一枚足りない」
怪談「播州皿屋敷」で大切な皿を割ったと因縁をつけられたお菊は、責め殺されて古井戸に投げ込まれてしまう。そして幽霊となったお菊は、古井戸から夜な夜な現れては、恨めしそうに皿の枚数を数えるのである。
その後、お菊が投げ込まれた古井戸には、うしろ手に縛られた女性の姿をした不気味な虫が出現したという。この虫はお菊の怨念が姿を変えたものだと、人々は噂した。これが「お菊虫」である。
お菊の正体は、ジャコウアゲハというチョウのさなぎである。

稲垣栄洋  

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2013.05.11

サトキマダラヒカゲとゴシュケビッチ  高校3年生の短歌

 

2013.05.11 Saturday
 校舎の中にサトキマダラヒカゲ(Neope goschkevitschii)が迷い込んできました。サトキマダラヒカゲは雑木林で見かける時には翅を閉じていることが多いので表側の模様を見ることはなかなかできません。
サトキマダラヒカゲの学名のゴシュケビッチ(goschkevitschii)は1854年に来日したロシア人、ゴシュケピッチに由来します。海軍大将プチャーチンが率いる使節団の一員として来日したゴシュケピッチは安政の大地震のために帰国の手段を失い伊豆に滞在することを余儀なくされます。その滞在中にゴシュケビッチは数多くの蝶を伊豆半島で採集します。その中にサトキマダラヒカゲも含まれていました。幕末の歴史に深く関わりながら学名が付けられたサトキマダラヒカゲは、静岡県にとって特別な蝶と言えるでしょう。この歴史的にも貴重な意味を持つ蝶が静岡の隣の山梨県では準絶滅危惧種に指定されています。サトキマダラヒカゲをたくさん目にすることのできる不二聖心の自然環境を大切にしたいものです。

今日のことば

高校3年生の短歌より

白露は照らされ光る透明につぶさぬように歩く坂道         
試験前手を合わさずにペン握れ努力なしでは成果は得られず     
春色に染まるいつもの坂道をよりそい歩く優しい友よ        
移り行く草木花の香鳥の歌十八回目の春も後半           
風薫る五月の森にたたずめば命の輝き胸にしみいる         
携帯をのぞいて下がる首の列これは進化かそれとも退化か

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2013.05.10

「共生の森」のヒメウラナミジャノメ



2013.05.10 Friday
「共生の森」でヒメウラナミジャノメ(ジャノメチョウ科)の写真を撮りました。ヒメウラナミジャノメは翅の両面に独特の模様が描かれていますが、和名の由来は裏面の模様にあります。芥川賞作家の三木卓は裏面の白色の波状模様を「繊細な筆づかいで描かれていてみごとだ」と表現しています。
不二聖心には他にもジャノメチョウやサトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウなどのジャノメチョウ科の蝶が生息していますが、世界的な視野で見ると、すべて分布が異なっています。日浦勇の名著『海を渡る蝶』(講談社学術文庫)の中では、ヒメウラナミジャノメは、日本と対岸の朝鮮、中国東北部、アムールと、日本海を取り巻いたかたの分布をする「アムール型」に分類されています。なぜ同じ科の蝶が異なる分布を示すのか、そこに生物地理学にとっての大切な問いが隠されています。

今日のことば

(ジャノメチョウ科の蝶の中には)シベリア型とマレー型の広大な分布圏の間に挟まれて、狭い分布圏をもつ蝶も多い。その中で、日本と対岸の朝鮮、中国東北部、アムールと、日本海を取り巻いたかたちの分布をする一群がまず抽出される。日本から台湾、華中、華南、さらにヒマラヤ山脈に延びる群もある。日本列島特産種もある。これらをそれぞれ、「アムール型、ヒマラヤ型、日本型」と呼ぶことにする。ヒメウラナミジャノメ、キマダラモドキ、クロヒカゲモドキはアムール型、ヒメジャノメ、コジャノメ、ヒメキマダラヒカゲはヒマラヤ型、ヤマキマダラヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ウラナミジャノメは日本型である

『海をわたる蝶』(日浦勇)より  

2013.05.09

益虫としてのマルボシハナバエ  スミソニアン博物館の親切

2013.05.09 Thursday

 「共生の森」でメスのマルボシハナバエの写真を撮りました。マルボシハナバエはチャバネアオカメムシに寄生します。チャバネアオカメムシは果樹の害虫として知られていますので、人間の視点から見るとマルボシハナバエは益虫ということになります。今までにオスの写真は何度か撮りましたが、メスの写真は今回が初めてです。

スミソニアン博物館から『A SYSTENATIC STUDY OF THE JAPANESE CHLOROPIDAE(DIPTERA)』が届きました。不二聖心の双翅目相の調査に関係する問い合わせをしたところ、学芸員の方がわざわざこの本を送ってくださったのです。その親切に感動しました。
参考
フィールド日記 2013.04.25 ヤマギシモリノキモグリバエとスミソニアン博物館

今日のことば

 地球上の生命に与えられた目的は、個の欲望を満たすことではなく、命の連鎖だ。人間はいつどこで、この法則を放棄してしまったのだろう……。
ミツバチのDNAにプログラムされたルールが単純明快であるだけに、複雑に欲望が入り乱れる人間社会と比べてしまう。種の繁栄を迷いなく選択するミツバチと、可能な限り選択を避けて「現在」だけを謳歌する人間。一体どちらが、「賢い生き物」なのだろうか……。

『黙示』(真山仁)より  

2013.05.08

エノキハトガリタマフシ  外来特定生物の鳥の鳴き声

  2013.05.08 Wednesday

 東名高速沿いの道でエノキハトガリタマフシの写真を撮りました。                                                                        エノキトガリタマバエが形成する虫こぶです。

  特定外来生物に指定されている鳥の声を録音しました。専門家の方の分析ではソウシチョウかガビチョウの声であることは間違いないそうです。おそらくソウシチョウであろうと教えていただきました。この鳥の声を覚えておけば、特定外来生物の侵出具合をはかることができます。ソウシチョウもガビチョウも、人間によって日本に連れてこられ、今は悪者扱いを受けている気の毒な鳥たちです。

 

今日のことば

私がこの世で最も深く信じていること、私にとって他のいかなる観念よりも神聖な観念は、統一という観念である。すなわち、世界全体は神聖な統一であり、いっさいの苦悩、いっさいの悪の根は、私たちのひとりひとりが自分を全体の解き離しがたい部分だと感じなくなり、自我をあまりに重大にとりすぎることにあるという観念である。

ヘルマン・ヘッセ  


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今年も8月に小学4年生から6年生を対象として「夏休み子供自然体験教室」を不二聖心女子学院で開催します。申し込み方法など詳しいことをお知りになりたい方は下記のURLをクリックしてください。
http://www.fujiseishin-jh.ed.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=297

2013.05.07

マルバウツギとツュンベリー

  2013.05.07 Tuesday

 裏道の沢の近くにマルバウツギが咲いています。マルバウツギは、卯月に咲くことから卯の花と名付けられた植物の一種です。ウツギとよく似ていますが、葉の形で識別することができます。リンネの弟子で1775年に長崎の商館医として来日したツュンベリーは箱根の植物を多数、採集調査しスウェーデンに持ち帰りました。その中にはウツギの仲間も多数、含まれていましたが、マルバウツギと名前の付けられた標本にはマルバウツギとウツギの両方が含まれていました。分類学の祖、リンネのお弟子さんもウツギの識別には苦労をしたようです。

 

今日のことば

卯の花のにおう垣根に
ほととぎす早も来啼きて
忍音もらす夏は来ぬ

文部省唱歌「夏は来ぬ」より

 

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2013.05.06

アリノスアブの不思議な生態

 

2013.05.06 Monday
「共生の森」の隣の栗畑でアリノスアブを見つけました。アリノスアブの幼虫は蟻の巣の中にいる幼虫を食べて育ちます。アリノスアブにもアリにもたくさんの種類がありますが、どのアリノスアブもそれぞれ特定の種類のアリの幼虫しか食べないようです。多くの種類の中からどのようにして1対1の関係が生まれていったのか、不思議でたまりません。写真のメスもこのあと特定の種類のアリの巣へと向かうことを考えているはずです。そのアリの巣の在り処をどのようにして認識するのでしょうか。これもまた不思議でたまりません。

 


今日のことば 

うかうかと八〇歳を過ぎたが、この歳になってますます、樹木というものの不思議さを思う。毎年毎年、春になると裸木に花をつけ若芽を出す。とくに、歳によって早い遅いはあっても、まるで人間との約束を果たすように、時が来れば花を開くのが不思議だ。人間と違って、けっして期待を裏切ることがない。
季節が来れば花が咲くのは当たり前だ、などとおっしゃらないでいだきたい。実に律儀なものだとお思いになりませんか。

渡辺京二  


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2013.05.05

オニシバリと鎌井松石と水谷豊文

 

2013.05.05 Sunday
林道でオニシバリの実の写真を撮りました。校舎周辺ではなかなかお目にかかることのできないオニシバリですが、林道に入るとたくさん目にすることができます。
幕末の三重で活躍した植物学者に鎌井松石という人物がおり、多数の植物画を残しています。オニシバリについても巧みな写生画を残していますが、そこに「鈴鹿三重の深山幽谷陰湿の地に多生」という言葉を添えています。やはり昔からオニシバリは人間の生活の場から少し離れたところに自生する植物であったようです。
ところで、先ほど引用した言葉にはまだ続きがあって、さらに「夏月落葉する故にナツボウズと呼ぶ。又ハナテウジと云ふ」と記されています。オニシバリの別名としてナツボウズはよく知られていますが、ハナテウジ(花丁子)はあまり目にすることはありません。しかし、一つだけハナテウジが大きく取り上げられている書物があります。それは『物品識名』という幕末の尾張の植物学者水谷豊文が編集した書物です。水谷豊文は伊藤圭介の植物学の師匠で、鎌井松石は伊藤圭介に私淑しています。つまり、伊藤圭介との師弟関係が縁で、鎌井松石が『物品識名』に目を通していた可能性は十分にあるわけです。オニシバリの別名を調べていると、名古屋を中心とした東海地方の植物学の伝統と歴史に思いをはせることができます。それにしても時代を代表する植物学者が重んじた「ハナテウジ」という名前はいったいいつどこへ消えていってしまったのでしょうか。
オニシバリは埼玉県と奈良県で絶滅危惧Ⅰ類に、徳島県と高知県で絶滅危惧Ⅱ類に、宮城県と京都府と広島県で準絶滅危惧種に指定されています。
 

今日のことば

We need to remember the wounds, never turn our gaze away from the pain, and—honestly, conscientiously, quietly—accumulate our own histories. It may take time, but time is our ally.
For me, it’s through running, running every single day, that I grieve for those whose lives were lost and for those who were injured on Boylston Street. This is the only personal message I can send them. I know it’s not much, but I hope that my voice gets through. I hope, too, that the Boston Marathon will recover from its wounds, and that those twenty-six miles will again seem beautiful, natural, free.

村上春樹  

 

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2013.05.04

モリアオガエルの産卵時期から考える気候変動の可能性



2013.05.04 Saturday
5月2日に行われたオリエンテーリングのポストを撤去している時にモリアオガエルの卵を見つけました。5月2日までには既に産卵がなされていたことが確認できたことになります。毎年、モリアオガエルの卵を初めて見た日を記録するように心がけているのですが、平成23年5月24日のフィールド日記には次のように書きました。


今朝7時に築山の池の縁に生えているシダレザクラの枝にモリアオガエルの卵を見つけました。築山の池での今年最初の産卵ということになります。5月23日の正午の時点ではまだ確認できていませんでしたので、5月23日の正午以降から5月24日の朝までの間に卵が産み付けられたということになります。モリアオガエルの産卵行動は、環境の変化や気候変動の影響を受けます。このようにして、その年の最初の産卵の日時を何年にもわたって記録し続ければ、そこから環境の変化を知ることができるかもしれません。

5月23日と5月2日では産卵時期が大きく異なります。気候変動と関連があるかどうかを判断するにはさらなる知見の蓄積が求められますが、注意すべきデータの一つであることは間違いないと思います。

 2枚目のモリアオガエルが産卵している写真は2009年5月31日に撮影したものです。この年は5月末まで産卵行動が続いていたことがわかります。

今日のことば

私たちが春最初にフィールドに出る日付は、ここのところ徐々に早まっている。七、八年前には最初に出かけるのが五月半ば過ぎだったが、昨年は連休中に北海道の自生地に行くようになった。
私たちが感じている春の早まりは、単なる短期的変動かも知れない。しかし、一〇〇年余にもわたって継続的に集められた生物季節のデータに明瞭なトレンドが認められるとすれば、それは地球温暖化にともなう生物季節の変化といえるであろう。
例えば、春に渡り鳥が初めてニューヨークに姿を見せる日については、一九〇三年からの記録がある。それによれば、夏鳥七六種のうちの半数を超える三九種では、九〇年ほどの間に春の初見日がたしかに早まってきているという。残りの三五種には変化が認められず、遅くなったのはわずか二種のみである。一方、気象衛星による反射光でとらえた植生の季節変化の観測によれば、北半球では一九八〇年以来、春に植物の葉が開くのは八日も早まっている。
このような春の早まりは、いずれも地球温暖化の影響と解釈されている。

鷲谷いづみ  

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2013.05.03

全国47都道府県で希少種に指定 エビネ



2013.05.03 Friday

 5月2日に行われたオリエンテーリングのポストを回収している時にエビネの自生地を何か所か確認しました。1970年代以降、栽培目的の採取によって急激に数を減らしたエビネは今では全国47都道府県で絶滅危惧種に指定される希少種となってしまいました。このエビネについて2008年に「日本産ラン科希少植物エビネ及びキエビネにおけるウイルス発生状況」という非常に興味深い論文が発表されています。エビネの大敵はウイルス病であると言われますが、この論文は、自生地に生えていたエビネを栽培環境下に置くとウイルスの濃度が上昇するという実験結果を報告しています。こころない無秩序な採取が日本中のエビネをウイルス病に罹患させたことを思うと心が痛みます。林床に静かに咲くエビネの花々はどれも息をのむ美しさでした。

今日のことば

人間とゆうがは、自分の聞きたい理屈しか聞かんもんやきのう
『空の中』(有川浩)より

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2013.05.02

高校オリエンテーリング大会  カヤランとクモラン









2013.05.02 Thursday
今日は高校のオリエンテーリング大会が行われました。約20万坪の敷地の中に設置された35のポストを探してクイズにも答え得点を競い合いました。保護者の方にも多数、参加をしていただきました。
 

オリエンテーリングのコースでカヤランとクモランの写真を撮りました。ともに樹上性の蘭で樹木から栄養を得ています。カヤランもクモランも全国の20以上の県で絶滅危惧種に指定されています。「夏休み子供自然体験教室」で講師を務める平本政隆教諭の植物調査によって希少な蘭の校内の自生地が次々に明らかになっています。

今日のことば

高校3年生の短歌より

やさしさのあふれる若葉日に透けてやわらかな風揺れるこもれび   
感動の涙と笑顔は紙一重友の笑顔が涙でぬれた           
叶うはず君が描いたその夢は頑張る姿ずっと見てきたから      
 

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2013.05.01

ガロアノミゾウムシの驚異の生態  夏休み子供自然体験教室









2013.05.01 Wednesday
コナラ(小楢)に形成される新種のゴール(虫こぶ)について、ゴールの研究者の方から調査依頼がありました。新種の登録をする際に日本各地の分布状況を合わせて記載するためです。残念ながら新種のゴールに出会うことはできませんでしたが、代わりにコナラの若葉に集まるさまざまな生き物と出会うことができました。コナラは里山の雑木林を代表する樹木であり、日本人とコナラとの長い関わりの歴史がコナラに集まる多くの生物の生存を支えてきました。コナラの若葉を好む虫たちの中でも驚異の生態を有するのがガロアノミゾウムシです。ガロアノミゾウムシはいわゆる絵かき虫(潜孔虫)で、葉の表裏の間に潜って葉の組織を食い進み、最後は葉の組織で円盤を作り、地上に落下していきます。その円盤には移動能力があります。円盤が動くのを始めて見た時には度胆をぬかれました。動画を見るとガロアノミゾウムシの幼虫が小楢の葉を使って円盤を作る様子がわかります。



 


今日のことば

昔の武蔵野は萱原のはてなき光景をもって絶類の美を鳴らしていたようにいい伝えてあるが、今の武蔵野は林である。林はじつに今の武蔵野の特色といってもよい。すなわち木はおもに楢の類いで冬はことごとく落葉し、春は滴るばかりの新緑萌え出ずるその変化が秩父嶺以東十数里の野いっせいに行なわれて、春夏秋冬を通じ霞に雨に月に風に霧に時雨に雪に、緑蔭に紅葉に、さまざまの光景を呈するその妙はちょっと西国地方また東北の者には解しかねるのである。元来日本人はこれまで楢の類いの落葉林の美をあまり知らなかったようである。林といえばおもに松林のみが日本の文学美術の上に認められていて、歌にも楢林の奥で時雨を聞くというようなことは見あたらない。自分も西国に人となって少年の時学生として初めて東京に上ってから十年になるが、かかる落葉林の美を解するに至ったのは近来のことで、それも左の文章がおおいに自分を教えたのである。

「武蔵野」(国木田独歩)より  

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