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フィールド日記

2013.06.05

ミズキの実  骨格標本とヒメマルカツオブシムシ





2013.06.05 Wednesday

5月13日の「不二聖心のフィールド日記」で紹介したミズキの花はもうすでに実に変わっていました。2枚目と3枚目の写真はミズキの花から採集したヒルマルカツオブシムシという体長約3ミリの甲虫です。この虫は肉食ですが、骨は食べません。その性質を利用して骨格標本を作る時に利用されます。衣服の繊維を食べる害虫としても知られます。衣装ダンスで暗躍することもあるこの虫は、なぜか真っ白い花を好むそうです。不思議なことです。ミズキの白い花をご覧になりたい方は下記のURLをクリックしてください。
フィールド日記 2013.05.14 ミズキの花に集まる虫たち

今日のことば

大きなものから生かされている歓びと安堵を感ずるようになったのは、戦場に立った頃からであった。
戦いの或る夜、私は死も生も分別つかぬ、極度に疲労した骨と肉とを草原にころがしていた。わずかに心臓と胃の腑だけが動き、他のすべての機能が停止してしまったかのようなあの瞬間、私の網膜が、何の感動もなくぼんやりと眼の前の草花を映しているのに気付いた。
(ここにも生きものがある。しかも、それは、私という生きものと何ら本質の異なるものじゃない。すべて真如に生かされ、真如の前にあっては同質の存在だ。)
私は、ささくれだった黒い砂漠の石を握ってみた。これは単に無機物にすぎない。そういう分類の仕方で従来私の頭は組み立てられて来た。無機物と有機物、草花と私とを統合する何ものも持たなかったし、また、統合出来る質もものであろうとは夢にも思っていなかった。ところが、その瞬間以来、私は大きな衝撃をもって今までとは違った世界に入っていったのだ。

司馬遼太郎