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フィールド日記

2013.08.06

ナナフシモドキとトゲナナフシの見事な擬態

 2013.08.06  Tuesday

 久しぶりにナナフシモドキ(いわゆるナナフシのこと)に出会いました。いつ見てもその見事な擬態に驚きます。一枚目の画像の中にナナフシモドキが写っているのがわかるでしょうか。


 面白い偶然があるものです。ナナフシモドキに出会ったあとで今度はトゲナナフシに出会いました。群馬県では絶滅したとされている希少種です。こちらも脚を伸ばして精一杯、枝に化けようとしています。

 ナナフシモドキもトゲナナフシも擬態だけが生き延びる手段の弱い生き物です。しかし、なぜかその弱さに心ひかれるものを感じます。

今日のことば

自然はいつも、強さの裏側に脆さを秘めている。そして私が魅かれるのは、生命の持つその脆さのほうだ。

星野道夫  

2013.08.05

ヘリグロツユムシとツユムシ

 2013.08.05 Monday

 8月3日に夏休み子供自然体験教室が行われました。
学院ダイアリー 2013.08.03 【最近の様子】第1回夏休み子供自然体験教室が行われました
体験教室の朝、準備のために森に入っていくと頭の上からヘリグロツユムシが落ちてきました。ヘリグロツユムシは普段は木の上で生活していますが、人の気配を感じると驚いて落下してくることがあります。

 

  こちらの写真はツユムシです。ツユムシは草原を生活の場としていますので、森の中で落下してくることはありません。逆にヘリグロツユムシがアザミの花に乗っている風景もまずありえません。近縁種でも全く異なる生活環境を好むことがあることを示す良い例です。

 二種の違いは生息環境だけではありません。分布の状況も大きく異なります。ツユムシが広く日本以外にも分布するのに対し、ヘリグロツユムシは日本固有種です。グローバル化の時代に日本固有種が持つ意味を改めて考えたいものです。

今日のことば

あらゆる生命は同じ場所にとどまってはいない。
人も、カリブーも、星さえも、
無窮の彼方へ旅を続けている。

星野道夫

2013.08.03

ヒメギス  マツムシ  シロオビタリノフンダマシ

 2013.08.02

 いよいよ明日は「夏休み子供自然体験教室」です。
夕方、牧草地に動植物の生息状況の最終チェックに行きました。わずかな時間でいくつもの発見がありました。まずヒメギスの長翅型を不二聖心で初めて見つけました。
 

マツムシの成虫と幼虫の両方を写真に撮ることもできました。成長の速度は個体によってずいぶん違うようです。


 シロオビトリノフンダマシとも久しぶりに再会しました。昼は鳥の糞に擬態し、夜間に活動するクモです。少し脚を開きかけているのがわかります。そろそろ活動開始でしょうか。

今日のことば

夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。
夕ぐれ時、
自然は人に安息をすすめるやうだ。
風は落ち、
ものの響は絶え、
人は花の呼吸をきき得るやうな気がする、
今まで風にゆられてゐた草の葉も
たちまち静まりかへり、
小鳥は翼の間に頭をうづめる・・・・・・
夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。

堀口大学

2013.08.01

矢島稔先生に学ぶ不二聖心の自然の豊かさ  カヤキリとショウリョウバッタモドキ

  2013.07.31 Thursday

 昨日のNHKラジオの「夏休み子ども科学電話相談」で久しぶりに矢島稔先生のお声を拝聴することができました。
   1983年に書かれた矢島稔先生の『昆虫ノート』を愛読してきましたが、その中に次のような一節があります。

とにかく四十年近く東京のまわりを虫を探して歩き回っているから、いつどこで何に会えるかという「昆虫ごよみ」が私の中にはできている。ところが近頃さっぱり会えなくなった種類がいくつかある。
直翅目(バッタ目)ではキリギリス科のカヤキリとクツワムシ。バッタ科のショウリョウバッタモドキである。特に後者はもう十年も会っていない。

この矢島先生の文章を読むと、不二聖心の自然環境がいかに素晴らしいかがわかります。カヤキリもショウリョウバッタモドキも不二聖心にはたくさん生息しているからです。7月27日にはカヤキリの声を今年初めて耳にし、一瞬ですが声の録音にも成功しました。一度聞いたら忘れられない野趣あふれる声です。

今日は「夏休み子供自然体験教室」の「生き物探しコンテスト」のために牧草地の生物の生息状況をチェックしたのですが、驚いたのはショウリョウバッタモドキの数が昨年に比べて明らかに増加していることです。今年はコンテストで探す昆虫にショウリョウバッタモドキを含めることにしました。
  画像の芒の葉先の紫色とショウリョウバッタモドキの紫色のラインが同一の色であることに驚きます。若齢幼虫には薄紫のラインはありませんが、徐々に色がつきやがて背面がピンク色に染まります。

今日のことば

昨日の新聞から218 平成23年1月10日(月)
『ハチのふしぎとアリのなぞ』(矢島稔 偕成社)を読む
―― 駿東史上初の貴重な発見について学ぶために ――

12月25日に富士山トンボ池の会会長の加須屋真先生からうれしいメールが届きました。アリの研究家でもある先生に不二聖心で採集した四種のアリについて同定の依頼をしていたのですが、その返事が届いたのです。
4種の中に特別注目していた1種がありました。それは、昨年の8月5日に採集したアリです。採集した時のことは今もありありと思い出すことができます。
8月5日の午後、僕は理科の平本先生と裏のキャンプ場で、夜に行われる予定になっていたSOFISのキャンプファイヤーの準備をしていました。もうすぐ準備が終わるという時、突然風が吹き新聞紙が宙に舞いました。あわてて追いかけ、地面に這いつくばり、その上に乗るようにして新聞紙を押さえました。ほっとして前を見ると何やらクリーム色の粒の列が何十も塊になって動いているのが目に入ったのです。最初は何かと思いましたが、よく見ると黄色い粒それ自体が移動しているのではなく、それらはすべてアリに咥えられていたのでした。僕はすぐにこのアリはサムライアリではないかと考えました。平本先生にこれは貴重な発見であるかもしれないことを告げ、アリの行列の終着点を探してほしいと頼みました。さすが自然観察のベテランである平本先生は、丁寧にアリの行列をたどり、見事にサムライアリの巣の位置を確認してくれました。
その行動の様子と特徴のある大顎からおそらくサムライアリであろうと思いましたが、専門家ではないので一抹の不安がありました。そこで加須屋先生に同定の依頼をしたのですが、先生からサムライアリであるとの返事が届き、安堵するとともに僕の胸は喜びにあふれました。このサムライアリについは、平成21年の2月22日に静岡新聞の「しずおか自然史」(この連載で紹介された文章は昨年の11月に一冊の本にまとめられて『しずおか自然史』(静岡新聞社)という書名で出版されました。この本は静岡の自然の豊かさを伝えるすばらしい本です。その中の「ノコギリハリアリ」の執筆を担当しているのが加須屋真先生です。)でも取り上げられていました。その時の文章を次に引用してみましょう。サムライアリの驚くべき生態がよく理解できます。

イソップ物語のアリさんは働き者の代名詞となっているが、すべてのアリがこのように黙々と働く勤勉なアリばかりではない。サムライアリはクロヤマアリなどの巣を襲って繭や幼虫を奪い、羽化した働きアリを奴隷として使うことが知られている。

黒褐色をしたサムライアリの体長は四~七ミリ(女王アリは十ミリほど)で、長い鎌状の大顎は強力な武器に特殊化している。女王の世話や育児、巣作りや餌集めもせず、もっぱら地中の巣にいて、戦闘以外のいっさいの仕事はクロヤマアリにさせ、地表にはめったに出てこない。大きさも体色もクロヤマアリによく似ているので、私たちはサムライアリの存在にほとんど気付いていない。夏に結婚飛行を終えたサムライアリの女王はクロヤマアリの巣を捜して潜り込み、そこの女王をかみ殺して働きアリごと巣を乗っ取り、その巣の中で新生活を開始する。この時、クロヤマアリは侵入者を攻撃するが、撃退に失敗して自分たちの女王が殺されると新しい女王の世話をし始める。そして種の異なる新女王が産んだ卵の世話をする。

サムライアリがクロヤマアリの巣を襲う場面はめったにないが、二〇〇五年七月二十二日の午後、磐田市の桶ケ谷沼北側の平地で、女王アリを伴う約四百匹のサムライアリの集団が観察された。

サムライアリの女王アリがクロヤマアリの巣を襲う時に同行することは知られていない。サムライアリの隊列は幅五〇センチ、長さ二メートルに渡ってクロヤマアリの巣の中に入っていった。二分後、手ぶらのサムライアリ四十匹に続いて女王アリが出て来た。

次にクロヤマアリの繭四十一個をくわえた兵隊に続いて、幼虫五匹をくわえた兵隊が出てきた。この間、わずか二十分の出来事であった。そして、帰りは来たときよりも速足で巣に戻っていった。地下で繰り広げられたであろう壮絶な戦闘の様子はどのようなものであったのだろうか。

つまり、僕と平本先生は、奴隷狩りを終えて巣に戻ろうとするサムライアリの群れに出くわしたということなのです。その時の様子を撮影した十数秒の動画が今も残っているのですが、今見返してみると、確かに速足で帰っているのがよくわかります。加須屋先生のメールには、「サムライアリは県内の分布が明らかでなく、現状では富士市、磐田市、浜松市で確実な記録があるだけです。」とありました。不二聖心でのサムライアリの発見は駿東では初の記録ということになります。

このアリについてさらに詳しく知りたいという人には、矢島稔の『ハチのふしぎとアリのなぞ』(偕成社)を読むことをお勧めします。(この本には、サムライアリの他にもキバチやオナガバチやジガバチやクロアナバチなどの興味深い生態が紹介されていますが、そのすべての実物を不二聖心では見ることができます。)
そこには、アカヤマアリがクロヤマアリの巣の一部を占領する例が紹介され、サムライアリとクロヤマアリの関係は、アカヤマアリとクロヤマアリの関係がさらに進んだものであるという説が紹介されています。つまりこの種の労働寄生は段階を経て進化したものであるという考え方です。となるとサムライアリのような労働寄生は進化の最終段階ということになるのでしょうか。それとも自然界はさらに驚くべき進化の姿を見せてくれるのでしょうか。興味は尽きません。

さて、加須屋先生に同定を依頼したアリの中に体長の数ミリの微小なアリも含まれていました。これはウメマツアリであるということがわかりました。このアリもまた驚くべき生態の持ち主でした。ウメマツアリはオスとメスが交尾して子どもが生まれても、オスとメスの遺伝子が交じり合うことがないというのです。つまり生まれてくる息子は父親のクローンであり、娘は母親のクローンであるというわけです。北海道大学の長谷川英祐先生の研究グループがウメマツアリを研究対象としていて、その研究結果について昨年の十二月に刊行された『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー新書)の中で述べられています。長谷川先生は、「正直、この十年間の生物界で発見されたなかでいちばん驚いた現象です。」とお書きになっていますが、なぜこのようなシステムが生まれたのかはまだわかっていないそうです。不二聖心の駐車場裏の雑木林にはこのような未知の生態を持つ生物も生息していることがわかりました。
不二聖心の自然の豊かさは、きっと静岡県という自然豊かな県に裾野市が存在していることによる部分が大きいのではないかと思います。最後に、文中で紹介した『しずおか自然史』についての、静岡新聞に載った書評を紹介して、「昨日の新聞から218」を終わりたいと思います。

じずおか自然史    ーー貴重な標本、教育に活用ーー      大原興三郎

わが静岡県はかくも豊かな自然に恵まれていたのかと、あらためて目を瞠る一冊である。静岡新聞に連載されてのこの単行本化なのだが上質紙の写真はさらに美しい。
この多様な生物相は日本列島における県の稀なる地勢によるものらしい。富士山頂から駿河湾の最深部まで実に垂直7000メートル。富士川を挟んで東西に列島を分断するフォッサマグナ。東には伊豆半島が海に突き出し西の浜名湖まで岩礁、断崖、美浜の海岸線。そう、扇をおもいきり広げてその要を鋭くたてたような地形が、高山から深海の奇妙な生き物たちまでを育み潜ませているのだ。その地球の成り立ちを地質や化石や油井に語らせて壮大な「物語」は始まる。
南アルプスの高山の鳥たち。樹林帯には大小の哺乳類。谷川には両生類や淡水魚たち。やがて広野を流れる川辺に舞う蜻蛉や蝶や虫たちが語られ、食草としてもそれらを養う植物相。まさしく生物多様性ここにありである。この鳥瞰的広がりは、微細極まる虫の目に転ずる。魚のひげの本数、蝶のわずかな斑紋の違いによる分類。それぞれの専門分野の執筆者が、多分とって置きのキャラクターたちを競い合うように切ったカードの裏話が生態が写真が、面白くなかろうはずはない。
執筆陣が等しく案ずることに地球温暖化がある。海にも野にも森にも本来南方系であったはずのものが北上して在来種を脅かす。
逆に人為的に持ち込まれた外来種が野に放たれ雑交配さえ進む。アライグマ、ブルーギル等の食害も深刻だ。県レッドデータブックに載る絶滅危惧種も登場し、この先を憂えている。両方ともが、人間に起因するのだから、われらは地球にとってなんと厄介な生き物なのだろう。
県固有のものさえいる。この貴重な標本を一堂に。その教育的活用にはやはり自然史博物館がいる。執筆陣の悲願ともいえるその実現に向けてのNPOの活動に深く共感する。

静岡県全体の自然の中で不二聖心の自然はどのような位置づけになるのか、いつの日か、しっかり考えてみたいと思います。

2013.07.31

ついにお菊虫(ジャコウアゲハの蛹)出現

  2013.07.30 Tuesday

 7月14日のフィールド日記でジャコウアゲハの幼虫について紹介しました。
フィールド日記 2013.07.14 絶滅危惧種ヒナノシャクジョウ  ジャコウアゲハの幼虫
その幼虫を、ウマノスズクサを与えながら飼育したところ、今日ついに、お菊虫(さなぎ)になりました。
午前8時に外皮を脱ぎ始めました。


 
 

2枚目の画像は午後10時のものです。


 

  この姿に、後ろ手に縛られる女性の姿を連想した古人の想像力に驚嘆します。

今日のことば

「一枚、二枚、三枚、四枚……九枚、やっぱり一枚足りない」

怪談「播州皿屋敷」で大切な皿を割ったと因縁をつけられたお菊は、責め殺されて古井戸に投げ込まれてしまう。そして幽霊となったお菊は、古井戸から夜な夜な現れては、恨めしそうに皿の枚数を数えるのである。
その後、お菊が投げ込まれた古井戸には、うしろ手に縛られた女性の姿をした不気味な虫が出現したという。この虫はお菊の怨念が姿を変えたものだと、人々は噂した。これが「お菊虫」である。

お菊の正体は、ジャコウアゲハというチョウのさなぎである。

稲垣栄洋  

2013.07.30

シオカラトンボの交尾と童謡「とんぼのめがね」

   2013.07.29 Monday

 シオカラトンボが交尾をしている様子を目にしました。ムギワラトンボとも呼ばれるシオカラトンボのメスがオスの腹端にしがみついているように見えますが、実際にはオスの腹端にある付属器がメスの頭部をはさみこんでいます。
オスの目の色が印象的です。「とんぼのめがねは水色めがね」と歌われる童謡「とんぼのめがね」のトンボはシオカラトンボだと言われますが、こういう眼の色を見るとなるほどそうだと思います。「とんぼのめがみ」の作詞者額賀誠志さんは、医師でもあり、福島県双葉郡広野町で往診の際、トンボと遊ぶ子供たちの姿を見て、この歌詞を思いついたそうです。福島県双葉郡広野町とは、原発事故の影響を大きく受けた、あの福島県双葉郡広野町です。


 

今日のことば

詩が好きな人は日本語のグルメだ。添加物の多い言葉は舌を鈍感にしてしまう。詩はとれたての新鮮な言葉をいのちとしているから、メディアに氾濫する言葉からのデトックスとして役立つかと思う。

谷川俊太郎  

2013.07.29

キンモウアナバチの狩り

  2013.07.28 Sunday

 いよいよ「夏休み子供自然体験教室」まで1週間を切りました。今日は観察コースの様子を確認しました。驚いたのは牧草地が獣に荒らされていたことです。おそらくイノシシの仕業でしょう。

 

そこにキンモウアナバチが巣を作っていました。芝がはがされたことで穴が掘りやすくなったものと思われます。

 ちょうどキンモウアナバチがクダマキモドキの幼虫を抱えて穴の中に入る場面に出くわしました。キンモウアナバチはクロアナバチの仲間です。クダマキモドキはツユムシの仲間です。クロアナバチはツユムシを狩ります。以上の事実からキンモウアナバチとクロアナバチは「食い分け」をしているのではないかという説があります。もしそうだとしたら、これは驚くべきことです。

 
今日のことば

七月下旬、郊外の林に夜出かけた。毎年この頃から時々夜の林を歩くことにしている。午後八時、目の高さでアブラゼミが羽化しているのに出逢った。なかなか観られないシーンだが、この時期をねらえば案外チャンスはある。いつ見ても不思議なドラマだが、個体による違いがないので、少年の日の思い出がこの蝉の羽化を介してよみがえってくる。幼虫は五年、孤独な地下生活を送り、やっとこの日を迎えるが、蝉になってせいぜい半月ぐらいで死んでしまう。
卵で約九か月、幼虫が五年。人間ならアブラゼミは小学一年生だ。果樹の害虫だし、うるさいノイズだと非難されてもいるが、この羽化を見るたびに生きようとするけなげさにうたれ、むしろ尊敬に似た気持ちに包まれてしまう。

『昆虫ノート』(矢島稔)より  

2013.07.27

ヤブヤンマの水色の複眼

 2013.07.27  Saturday

校舎の中にまぎれこんだヤブヤンマに出会いました。複眼が水色になっているのは成熟した個体であることの証しです。以前にフィールド日記で紹介した羽化直後の個体と比較すると明らかに眼の色が違うのがわかります。以下のURLをクリックして、ぜひ比較してみてください。
フィールド日記 2013.07.04 「共生の森」に高校1年生が植樹  早朝のヤブヤンマの羽化

今日のことば

誠実さや正直さは
時として不利益をもたらすが、
それでもその価値は揺るがない。

誠実であること
正直であることは
永遠の価値である。

葉祥明

2013.07.26

湧き水の流れるコケに潜むヒロバカゲロウの幼虫

  2013.07.26 Friday

  不二聖心には湧き水が出ている場所が多数あります。湧き水がその上を流れる苔の裏側を見たら、ヒロバカゲロウ科の幼虫が潜んでいました。頭部に特徴のある幼虫です。湧き水が流れるコケの裏に生息する幼虫と出会い、生き物の生息場所がいかに多様性に富んでいるかを再認識しました。

今日のことば

君の一日の中の一時間を、君の魂の最も純粋な声のためにささげる習慣をつけたまえ。その習慣のためには、新聞雑誌や宣伝文ではない、古今東西の永遠の書物や、また最良の音楽がたしかに助力を与えてくれる。それらの書物、それらの音楽に、君自身の魂の立場から触れたまえ。

片山敏彦  

2013.07.24

湧水に光る蘚苔類

 

2013.07.24 Wednesday
環境カウンセラーの保坂貞治先生に不二聖心の地質についてうかがったところ、以下のような貴重な回答を得ました。


不二聖心は愛鷹火山(洪積世中期の48万年前~38万年前の活動)の南東麓の末端域に位置し、基底に玄武岩質の凝灰角礫岩、上部に40~70㎝の亜円礫を載せる地層からなる。亜円礫は南に厚く北に薄くなり、教育会館横の小川沿いに約1㎞分布し、上流は凝灰角礫岩が裾野市ゴミ焼却場付近まで認められる。
凝灰角礫岩層は西の東名ゴルフ場との境の小川沿いに江橋工業より約400m上流まで確認できる。
不二聖心校地内では校舎北側坂道の東名ガード手前付近に分布し、グランド寄りの図書館横に抜ける坂道の中間、井戸水のポンプアップ場まで分布する。
凝灰角礫岩層は水が関与し層状構造を示す。水が関与しているため隙間が充填されこれが不浸透層となり上面の境より地下水が滲み出ている箇所がある。特に図書館に抜ける坂道では堆積の際分溜作用が働き、地層の下部の硬質部分が地下水層となりかなりの湧水が見られる。湧水付近は侵食され穴となり、水辺動物の棲みかとなっている。


今日も地下水は豊かに湧き出していました。湧き出る水が蘚苔類を輝かせ、不思議な雰囲気です。生じた穴はたくさんのサワガニの棲みかとなっています。
 

今日のことば

生きて行くということは、砂漠の真中に一人で放り出されるようなものだ。いつか目指す場所へ向かうためには、目印になる高い星を常に見失わないこと。そしてもう一つは日々、命をつなぐための「水」を見つけることだ。その二つのどちらが欠けてもいけない。

赤川次郎