〇お知らせ〇
同じ内容をインスタグラム「不二聖心女子学院フィールド日記」(クリックするとインスタグラムのページが開きます)にも投稿しています。より高画質な写真を載せていますのでぜひフォローしてください。

フィールド日記

2017.05.21

マルバウツギとツュンベリー

 裏道の沢の近くにマルバウツギが咲いています。マルバウツギは、卯月に咲くことから卯の花と名付けられた植物の一種です。5月21日は旧暦では4月26日で、まだ卯月です。ウツギとよく似ていますが、葉の形で識別することができます。リンネの弟子で1775年に長崎の商館医として来日したツュンベリーは箱根の植物を多数、採集調査しスウェーデンに持ち帰りました。その中にはウツギの仲間も多数、含まれていましたが、マルバウツギと名前の付けられた標本にはマルバウツギとウツギの両方が含まれていました。分類学の祖、リンネのお弟子さんもウツギの識別には苦労をしたようです。

今日のことば
卯の花のにおう垣根に
ほととぎす早も来啼きて
忍音もらす夏は来ぬ
文部省唱歌「夏は来ぬ」より


 お知らせ
 今年も8月に小学4年生から6年生を対象として「夏休み子供自然体験教室」を不二聖心女子学院で開催します。参加を希望する方はホームページの申し込みフォームからお申し込みください。

2017.05.17

森の健康診断とヤマアカガエル

 今日は愛知県の矢作川水系森林ボランティア協議会の方々の御指導のもと森の健康診断が行われました。生徒たちは学校林の中に入って、ヒノキの樹高と幹の太さを計り、木の混み具合が適正であるかどうかを科学的に診断しました。

日本の山林を守ることにつながる「森の健康診断」について体験を通して深く理解する時間となりました。この診断結果をもとに11月には実際に間伐を体験します。

林床には全国各地で絶滅危惧種に指定されているヤマアカガエルがいました。森が健康になることは、ヤマアカガエルなどの希少種を守ることにもつながっていきます。


今日のことば

トキなど目立つ生物は保護するのに、昆虫には目がいかない。しかしトキでもゴキブリでも、種としてのかけがえのなさには変わりはないんです。
丸山宗利

2017.05.07

ナツグミとジャコウアゲハ

共生の森でキビタキの美しい囀りが聞かれる季節になりました。
ナツグミの花が満開となり、むせかえるような芳香を放っています。花を求めてたくさんの虫がやってきていました。
中心に写っているのはジャコウアゲハです。



今日のことば

囀りやひとり住居(ずまい)に箸溜まり   岡本眸

2017.05.04

ゼンマイハバチ

 今年の連休は好天に恵まれ、富士山もほぼ毎日姿を見せています。


ゼンマイの若葉がゼンマイハバチに食べられていました。約1時間後に同じ場所を通過したら、葉は1枚も残っていませんでした。このようにして食べつくされたゼンマイは最初から成長し直します。ところが若葉が育つ頃にゼンマイハバチの第二世代に狙われ、また食べ尽くされてしまいます。これはゼンマイハバチの実に巧妙な生存戦略だと言われています。



今日のことば

 春から初夏にかけての季節を、ぼくは子どものころから好きだった。春から初夏にさしかかるころの野山のあの若々しさ、あのなんともいえない息づきとにぎわい。それは子どもの心にも心躍るものだった。しかし、このにぎわいの陰に受難もあることを、ぼくは知るようになった。
 山すその道ばたにはゼンマイの若葉が開きはじめている。くるりと巻いた芽がほどけて、まもなく若々しい葉が開く。うれしい春の光景である。けれども目を近づけてその葉を見ると、まだ柔らかい若葉には黒っぽい虫がついていて、若葉を食べているではないか!
 ゼンマイハバチ(葉蜂)と呼ばれる原始的な蜂の幼虫である。蜂のくせに巣もつくらず、親蜂はゼンマイの葉に直接卵を産みつけ、まもなく小さな幼虫がかえるのである。
 ゼンマイの葉のあちこちに産みつけられた卵からかえった幼虫は、何を合図にしているのか知らないが、みんな葉のてっぺんに集まってくる。そして、みんなでてっぺんからその葉を食い降りていくのである。幼虫の食欲は旺盛だ。二、三日もするうちに、その葉は全部食べつくされてしまう。すると幼虫たちは隣の葉のてっぺんに集まってから、また食べ降りていく。こうして二枚目の葉も食べつくされる。すると幼虫たちは、また隣の葉に移る。
 二週間もすると、この不運なゼンマイの株は、その数枚の葉を全部ハバチの幼虫に食べつくされてしまう。そして、十分に育ったハバチの幼虫は、思い思いに土にもぐってサナギになる。
 せっかく開いた若葉を食いつくされてしまったゼンマイは、なんとかして巻き返しをはからねばならない。胞子をつけてそれをまき散らし、自分の子孫を残さねば……。そこでゼンマイは、また新しい芽を伸ばす。根に蓄えた栄養を使って、ふたたび新芽をつくり、地上に伸ばしていく。二週間もするとみごと二回目の若葉が開く。
 ところがまさにそのころ、地中のサナギから親となったゼンマイハバチがかえってくる。そして、この若いゼンマイの葉に卵を産みつけるのだ。
 幸いにして最初の若葉に卵を産みつけられなかった株は、胞子を散らし終え、しっかりした葉を大きく広げている。こういうゼンマイのかたい葉にゼンマイハバチは卵を産まない。葉がかたくて産卵管の歯がたたないし、たとえ産んでも卵がかえらないのだ。だから最初の不運に見舞われて、二度目の若葉を開いた株がかっこうの攻撃目標になってしまう。ハバチは自分がつくりだした季節はずれのゼンマイの若葉で、二代目の子を育てあげる。これは今、東京医科歯科大の生体材料工学研究所にいる大塚公雄君が京大大学院時代に明らかにした、ゼンマイハバチの生存戦略なのである。
 ふつう、ハバチの仲間は一年に一回、春先だけ親が現れて植物の葉に卵を産む。卵は若葉にしか産まない。ハバチの卵は産みつけられた若葉から水を吸って孵化するからである。かたくなった夏や秋の葉ではそれができない。だからふつうのハバチは、一年に一回しか繁殖しない。ところがゼンマイハバチという種類は、一年に何回も卵を産み、何回も繁殖する。どうして、そんなことができるのか? 
 ゼンマイハバチが、ゼンマイという植物をこんなふうにして操作しているからである。
 自然は、われわれが思っているほどやさしくはないのだと、ぼくはあらためて感じた。「蜂とゼンマイの春」(日高敏隆)より

2017.04.30

新緑のお茶畑とマムシグサ

 快晴の空の下、新緑のお茶畑が広がっていました。5月17日には中学生のお茶摘みも予定されています。

お茶畑の周辺に広かる雑木林の林床にたくさんのマムシグサが育っていました。マムシの頭に姿が似ているところからつけられた名前ですが、よく似ているとつくづく思います。



今日のことば

だいじょうぶ
みんな
誰かの
たったひとり
とくべつな人

中島未月

2017.04.20

シジュウカラの抱卵

 講堂横の巣箱でシジュウカラが抱卵している様子を19日に確認しました。先週まで産卵の確認ができていませんでしたので、短期間で多数の卵を産んだのかもしれません。

中学校校舎と聖堂の間の中庭でヤマガラが営巣し講堂横でシジュウカラの営巣が確認できたのは、単なる偶然なのかどうか、興味深いところです。

昨日は「共生の森」でもシジュウカラの卵を見つけました。
今日のことば
いちばんぼしが でた
うちゅうの
目のようだ
ああ
うちゅうが
ぼくを みている
まど・みちお

2017.04.15

ヤマガラの営巣日記

中庭の巣箱で抱卵が始まりました。卵の親はシジュウカラだと思っていましたが、卵を抱いていたのはヤマガラでした。
これまで「共生の森」でも講堂横でも巣箱の営巣が確認されたのはシジュウカラでしたので、不二聖心では初めてヤマガラの巣箱での営巣が確認されたことになります。抱卵が始まりましたので、撮影はここまでです。あとは静かに孵化を待ちたいと思います。


今日のことば

ひばりのす
みつけた
まだ たれも知らない

あそこだ
水車小屋のわき
しんりょうしょの赤い屋根のみえる
あのむぎばたけだ

小さいたまごが
五つならんでる
まだ たれにもいわない

木下有爾

2017.04.14

シジュウカラの営巣日記

 中庭のシジュウカラの巣箱の卵が3つから5つに増えていました。
早ければ、あと数個で抱卵が始まるかもしれません。




今日のことば

理屈は
いちばん低い真理だ
理屈がなくてもいい位もえよう   
八木重吉

2017.04.13

シジュウカラの営巣日記

 今日は中学校校舎の中庭の楓の木につけた巣箱の中の写真を撮りました。


巣箱の中には3つの卵が入っていました。9~12個の卵を産んだところで抱卵が始まります。それまでは巣箱の中の写真をとっても営巣に支障はないと言われています。



今日のことば 

菰着ても好きな旅なり花の雨   田上菊舎

2017.04.12

シジュウカラの営巣日記

4月10日にシジュウカラの巣箱の中の写真を撮りました。いろいろな巣材が写真には写っています。白い毛は鹿の毛です。



4月12日に再び写真を撮りました。右上の部分にコケが増えているのがわかります。

いつ産卵されるか、楽しみです。

今日のことば

人生の最も大きな喜びの一つは、年来の希望が実現した時、長年の努力が実を結んだ時に得られる。 湯川秀樹