〇お知らせ〇
同じ内容をインスタグラム「不二聖心女子学院フィールド日記」(クリックするとインスタグラムのページが開きます)にも投稿しています。より高画質な写真を載せていますのでぜひフォローしてください。

フィールド日記

2016.12.06

オリオン座

 本館の塔の上にオリオン座の三ツ星が輝いていました。天上には白鳥座のデネブが強い光を放っていて、夏と冬の星空の競演ほ堪能しました。


今日のことば

もつとも高い芸術はすべてそのやうに、人の魂の底にしみて、霊を目覚めさせるものでなければならないだろう。
短い時間の美感に訴へるに終つてはならぬ。
川端康成

2016.12.05

ヒイラギ

ヒイラギが白い花を咲かせています。

花の少ない冬の季節に芳香を放つ花を咲かせるヒイラギですが、通常花は受粉昆虫を引き寄せるために芳香を放ちます。冬の昆虫の少ない季節になぜ芳香を放つのか、昆虫が少ないからこそ芳香を放つ必要があるのか、なかなか答えの出ない問いです。
今日のことば
Happiness does not lie in possessing much, but in being content with ones possessions.

2016.12.04

冬のシイタケ

 シイタケが12月になっても発生し続けています。このシイタケの菌は裾野市で開発された「すその620」という新しい菌ですが、菌の成長が速いことが大きな特徴ですが、さらに加えて、発生時期の幅の広さについても特徴を持っているのかもしれません。

今日のことば
世界的な遺伝子学者も、宮大工さんも、ダンサーも、小説家も、それぞれが自分自身に固有な体験を通して、究極で同じことに気付いている。それを一言で言い表わすのは不可能だが、敢えて言ってしまうと、すべての生命は、その個体性、種の違い、時代の違いを越えてひとつながりのものであり、私たちはその宇宙的な生命の一部として、今ここに生かされているのだ、という気付きだろうか。    
龍村仁

2016.12.03

八重のサザンカ

キャンプ場の縁に八重の白い山茶花が咲いています。
山茶花を見ると思い出されるのは、幸田文の「山茶花」という随筆です。冬の季節の不安な思いを述べたあとで幸田文は次のように書きます。
 でも、さういふ季節的なへんな不安感を救ってくれるものがないぢやありません。山茶花です。みんな身のまはりの色が消えて行くとき、この花はわづかに堪へて白く、うす紅く、一重に八重に咲きます。椿のやうに太い高い木にはなりません。骨細に立つ幹です。葉もお茶の葉くらゐのこまかい紫で、花頸のない花が葉の裏に密着したようになって咲きます。大きな堂々とした花ではなく、少しちぢれ気味の花びらです。しんは黄いろい蕊がたくさんあって、いかにも鄙びてすつきりはしません。しかし、この花びらは肉厚の花びらですから、一見鄙びた花ではあるけれど、よく見るとその色は見ざめのしない染めあがりを見せてゐます。(中略)種類によってはかなり野暮くさい色をしてゐますが、それとて一枝を手に取つて近く眺めればよくわかります。肉厚の花弁ですから、野暮は野暮なりに決して薄つぺらではありません。いぢらしいほど正直に染まった花弁なのです。もともと高価なものではありません。ときによれば垣根に仕立てられてゐるところさへあるくらゐなものです。木ぶりも花も椿にはぐつと劣りますけれど。これが淡い匂いを吐いて気どりもなく、ほそ枝に群がって咲いてゐるのを見ると、ものがみな色を失つてしまふ冬の入口の不安な気分が、ほつと助かる思ひがします。
 このあと幸田文は、山茶花はぺちゃぺちゃおしゃべりをしない木だと続けます。物静かな人に独特の魅力があるように、物静かな花にも他に代えがたい味わいがあるようです。
今日のことば
私は不思議でたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀にひかつてゐることが。
私は不思議でたまらない、
青い桑の葉食べてゐる、
蚕が白くなることが。
私は不思議でたまらない、
だれもいぢらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。
私は不思議でたまらない、
誰にきいても笑つてて、
あたりまへだ、といふことが。
金子みすず

2016.12.02

今朝の不二聖心  クヌギの黄葉

今朝は美しい朝の光景が不二聖心のあちらこちらに広がっていました。

雪をいただいた富士山。
校舎を照らして昇る朝日。
すっかり色づいたクヌギの黄葉。
クヌギやコナラなどのブナ科コナラ属の樹木は古語では柞(ははそ)と表現されます。この樹木名から生まれた枕詞「ははそはの」は「母」に係る枕詞です。
昭和53年の歌会始で詠まれた美智子皇后さまの歌(子に告げぬ哀しみもあらむを 柞 葉 ( ははそは ) の母 清 ( すが ) やかに老い給ひけり)にもこの枕詞が用いられていました。

今日のことば
小さな花が咲いています
いつもの朝 いつもの道
ただそれだけの今朝の出来事
生きていることはこんなに自然なこと
野の花の歌が聞こえますか
            高石ともや

2016.12.01

カヤランの花芽

 4月~5月頃が開花期とされるカヤランの花芽が既にこの時期に確認されました。

カヤランは30都道府県で希少種に指定されている植物で、極めて貴重な樹上性のランです。東京都では絶滅したとされています。幸い不二聖心では長年にわたり複数の場所で確認されています。
写真のランの開花を確認することで、極めて貴重な不二聖心内のカヤランの生活史に変化が起きているかどうかを確かめたいと考えています。

今日のことば
笑うときには大口あけて
おこるときには本気でおこる
自分にうそがつけない私
そんな私を私は信じる
信じることに理由はいらない
   
地雷をふんで足をなくした
子どもの写真目をそらさずに
黙って涙を流したあなた
そんなあなたを私は信じる
信じることでよみがえるいのち
葉末の露がきらめく朝に
何を見つめる子鹿のひとみ
すべてのものが日々新しい
そんな世界を私は信じる
信じることは生きるみなもと
谷川俊太郎

2016.11.27

不二聖心の野鳥の調査

 11月26日に「日本野鳥の会」東富士副代表の滝道雄先生が不二聖心に生息する野鳥の調査をしてくださいました。その調査記録が届きましたので以下に掲載します。

11月26日の調査結果についてご報告いたします。
確認された野鳥
1.エナガ       18羽
2.ヒヨドリ      62羽
3.ツグミ        2羽
4.コゲラ        2羽
5.ハシブトガラス   22羽
6.ウグイス       7羽
7.メジロ        6羽
8.ホオジロ       2羽
9.ジョウビタキ    3羽
10.アオジ       1羽
11.ハシボソガラス   6羽
12.キジバト      7羽
13.アカゲラ     2羽
14.オオタカ     1羽
15.ヤマガラ     3羽
16.シジュウカラ   2羽
17.シメ       2羽
18.カワラヒワ    1羽
19.ルリビタキ    1羽
20.キセキレイ    1羽
21.セグロセキレイ  1羽
22.カケス      1羽
23.ガビチョウ    2羽
24.ソウシチョウ   3羽
合計 24種類
特記事項
1.不二聖心女子学院で確認できる可能性が低いが、可能性有りとリストアップしたアカゲラを2回確認する事が出来た。
  これで、外来種を含め49種を確認できた。
2.冬鳥のツグミ、ジョウビタキ、シメを確認できた。
3.11月25日には異例の早さと言える積雪が観察された愛鷹山から下って来たのか、漂鳥のルリビタキが観察された。

ルリビタキ(ウィキペディアより)

 今日のことば
書き手になるのなら、言葉を用いる技術よりも先に、言葉に信頼される存在にならなくてはならない。 若松英輔

2016.11.26

ハシブトガラスとハシボソガラス

 本館の塔の上にカラスがとまっていました。このカラスはハシブトガラスとハシボソガラスの、いずれかの可能性があります。カメラが、カラスが飛ぶ瞬間をとらえましたので、形状をある程度確認することが可能ですが、種の識別は困難です。このような時に識別の手掛かりになるのは鳴き声です。ハシブトガラスは「カー、カー」と鳴き、ハシボソガラスは「ガ―、ガ―」と鳴きます。このカラスたちは「カー、カー」と濁らない声で鳴いていましたので、ハシブトガラスということになります。不二聖心に生息するカラスはほとんどがハシブトガラスです。その理由を考えることは、不二聖心の自然環境の特徴を考えることにつながります。



今日のことば

あなたがこの世の偉大なものとともに、ささやかなものにも歓びを見出すことをわたしは願っています。一輪の花、ひとふしの歌、あなたの手のひらにとまる蝶にも。               エレン・ラヴァイン

2016.11.25

雪の富士山  鹿の足跡

 昨日は富士山麓の広い地域で初雪が降りました。不二聖心から見える富士山も山肌がすっかり白くなっていました。写真はグラウンドから見た富士山です。


グラウンドでは、たくさんの鹿の足跡も見ることができました。


今日のことば

夜には降り昼には晴れつつ富士が嶺の高嶺の深雪かがやけるかも   若山牧水

2016.11.23

マンリョウ

 職員室の近くのツツジの植え込みの中に生えているマンリョウの実が赤く色づいています。植え込みの中に人がマンリョウを植えることは考えにくく、これは鳥が運んだものと思われます。不二聖心の植生を丁寧に見ていくと、鳥の糞の中の種から芽生えたと思われる植物をたくさん見つけることができます。


今日のことば

天地(あめつち)のいみじきながめに逢う時しわが持ついのちかなしかりけり   若山牧水