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フィールド日記

2016.08.08

クサギとダイミョウセセリ

 台風の影響で風の強い、猛暑の一日となりました。
台風が演出した、空の青と雲の白の競演です。



クサギの花がようやく咲き、ダイミョウセセリが早速、訪花していました。ダイミョウセセリは大名の服に羽の様子が似ているからということでつけられた名前です。幕末に来日したロシアの外交官、ゴシケヴィッチがつけました。少々暑苦しい名前です。


今日のことば

今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海  俵万智


2016.08.07

ユウゲショウ

牧草地にユウゲショウが咲いていました。ユウゲショウは、アカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。よく見るとオオマツヨイグサにもよく似ています。アメリカ大陸からの帰化植物で、日本全国で野生化しています。


今日のことば
被爆者が水を求めて蝟集した川にアヒルの番(つがい)が睦む   鉄本正信

2016.08.06

ルリタテハ

 今日は「第1回夏休み子供自然体験教室」が行われました。

参加した小学生が講堂にルリタテハがいることを教えてくれました。ルリタテハは、ここ数年、不二聖心では確認できなかったチョウです。サルトリイバラなどの特定の植物を幼虫の食草とするルリタテハの訪問は、生き物のつながりを学ぶことを主要なテーマの一つとする体験教室にふさわしい出来事でした。



今日のことば

夏が過ぎ風あざみ
誰のあこがれにさまよう
青空に残された私の心は夏模様
          「少年時代」(井上陽水)より

2016.08.05

アオドウガネ

いよいよ明日は「夏休み子供自然体験教室」です。準備の時に生徒スタッフの一人がアオドウガネを見つけてくれました。

アオドウガネは温暖化によって生息域を北に広げている昆虫で、かつては静岡県ではあまり見られなかった昆虫です。同じAnomala属の中でよく見られたのはドウガネブイブイでした。こちらは名前の通り銅色をしています。
今年はアオドウガネを見ることがここ数年で最も多いです。


今日のことば
すべてのものは過ぎ去り、そして消えて行く。
その過ぎ去り消えさって行くものの奥にある
永遠なるもののことを静かに考えよう。
                       武宮隼人

2016.08.04

ウスバキトンボ

 快晴の一日となりました。夏の牧草地の風景も本当に美しいです。


牧草地ではウスバキトンボが羽を休めていました。ウスバキトンボは、春に南の国で発生して世代交代を取り返しながらひたすら北を目指します。しかし結局は北の地方の寒さに耐えられず死んでいきます。ウスバキトンボがなぜ北を目指すのか、その理由はよくわかっていません。まもなく甲子園が始まりますが、甲子園の映像にトンボが映ったら、まず間違いなくウスバキトンボです。



今日のことば

君の行く道は 果てしなく遠い
だのになぜ 歯をくいしばり
君は行くのか そんなにしてまで

藤田敏雄

2016.08.03

ナンバンギセル

 今年もナンバンギセルが咲きました。8月になると毎年、同じように花を咲かせるナンバンギセルですが、これは当たり前のことではなく、すすき野原を活用した茶草場農法が行われていることでナンバンギセルは守られています。ナンバンギセルは全国各地で希少種に指定されており、長野県はナンバンギセルを絶滅種に指定しました。長野県の13590平方メートルにおよぶ広大な面積の中に1本も生えていないナンバンギセルが不二聖心では数多く見られることの意味を大切に考えたいものです。


今日のことば

一日一日が祭礼だ
雲も風もたまらなくいい
この世は素晴らしいものを満載した
豪華船なのだ

辻邦生


2016.08.02

ニイニイゼミ

 今日の「共生の森」はニイニイゼミの鳴き声に満ちていました。芭蕉が立石寺で「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の句を詠んだ時、鳴いていたのはニイニイゼミだったと言われています。ニイニイゼミの響き渡る声はまさに「しみ入る」がごとくであり、不二聖心では居ながらにして芭蕉の句の世界を体験することができます。


今日のことば

In this world of darkness
We must shine,
You in your small corner,
And I in mine.

2016.08.01

ナナフシ

 「共生の森」で撮った次の写真の中に蝉の抜け殻以外の昆虫を見つけることができるでしょうか。

中央に写っている枝のようなものがナナフシです。



見事な擬態です。敵に対する抵抗力のないナナフシは身を隠すことで自分を守っています。ナナフシは、単為生殖といってメスだけで卵を産み子孫を増やすことができます。自然界の弱者のしたたかな生存戦略です。

今日のことば

私は植物の愛人とした生まれ来た
あるいは草木(そうもく)の精かもしれん
牧野富太郎

2016.07.28

コオニユリ  カブトムシ

今年も、すすき野原の緑にコオニユリの花のオレンジが映える季節となりました。コオニユリは、東京都では絶滅危惧Ⅰ類に、千葉県・石川県で絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県・栃木県では準絶滅危惧種に指定されています。


不二聖心内の農園では茶草場農法が取り入れられていて、すすき野原のすすきは茶畑の肥料に使われています。すすき野原が管理されていることでコオニユリなどの希少種が守られています。すすき野原の周辺にあるクヌギはかつては製茶工場の燃料の炭を作るために育てられていました。そのクヌギの樹液を求めて、今日はカブトムシがやってきていました。


今日のことば

コオニユリが存在するためには、送粉者のキアゲハを育てるセリ科植物がなくてはならない。
そのセリ科植物の受粉にはハナアブやハエ類が必要である。
それらの双翅目の昆虫はクマやキツネの糞から発生する。
このように、自然は一つのセットとなって存在しなければ、本来の姿を保つことができないのである。
田中肇
 

2016.07.19

アブラゼミの羽化

 7月14日の夏休み子供自然体験教室生徒スタッフのリハーサルに参加できなかった生徒たちとコースの下見を放課後しました。
その際に「共生の森」の朴の木の葉裏でアブラゼミが羽化している様子を観察することができました。あのアブラゼミが羽化の時には澄んだ緑色をしていることに驚きます。通常羽化は外敵の少ない早朝や深夜に行われますので、日中に羽化が見られたのは幸運なことでした。



今日のことば

獅子唐の中の青虫食べたかも「ああ蛋白質ね」と軽く云う医師   吉田早苗