〇お知らせ〇
同じ内容をインスタグラム「不二聖心女子学院フィールド日記」(クリックするとインスタグラムのページが開きます)にも投稿しています。より高画質な写真を載せていますのでぜひフォローしてください。

フィールド日記

2016.07.18

7月の野鳥の調査

 日本野鳥の会の滝道雄先生と7月の不二聖心の野鳥の生息状況の調査を行いました。

今日、最も感動したのは、不二聖心の敷地内の標高最高地点でキビタキの鳴き声を確認できたことです。いつ聞いてもため息がでるような高音の澄んだ美しい声です。
森の中にかけたキビタキ用の巣箱には残念ながらキビタキは営巣しませんでしたが、不二聖心内のどこかで営巣していることは間違いないようです。次の画像はキビタキ用の巣箱です。
今日の確認できた鳥は以下の通りです。
1 ツバメ 4羽
2 ガビチョウ 1羽
3 ハクセキレイ 4羽
4 コジュケイ 1羽
5 ヒヨドリ 16羽
6 ホオジロ 3羽
7 ウグイス 10羽
8 ハシブトガラス 5羽
9 メジロ 3羽
10 キビタキ 1羽
11 コゲラ 1羽
12 スズメ 1羽
13 キセキレイ1羽
14 カワラヒワ 2羽
15 シジュウカラ 1羽
夏は野鳥の少ない季節ですが、思いのほか、多くの野鳥と出会うことができました。

今日のことば

暮れなづむ赤城山道歩をとめてあかはらを聴ききびたきを聴く  川村多実二

2016.07.14

オオバノトンボソウ

 あるシスターがオオバノトンボソウを見つけてくださいました。ここ数年、不二聖心では確認できていなかった希少種です。東京都はオオバノトンボソウを絶滅危惧Ⅰ類に指定しています。オオバノトンボソウはラン科に属する植物であり、周囲の環境との結びつきが極めて強い植物です。よく見ると、空を飛ぶトンボのようなユニークな姿をしています。


今日のことば

なにもかも失ってもこの空がある
空は母だ
どんなに甘えてもいい 空になら

谷川俊太郎

2016.07.10

コハクオナジマイマイ

 枯れ茎の先にとまるコハクオナジマイマイの幼体を見つけました。コハクオナジマイマイは、もともとは九州に生息する、南方性の陸生貝類でしたが、今は不二聖心で普通に見られます。幼体の存在は繁殖が行われていることを示しているでしょう。例年になく暑い7月を過ごしていると、コハクオナジマイマイの北上と地球温暖化をどうしても結び付けたくなってしまいます。


今日のことば

すべて
もののすえはいい、
竹にしろ
けやきにしろ
そのすえが 空にきえるあたり
ひどくしずかだ

八木重吉

2016.07.09

夏休み子供自然体験教室のコースの下見  キマダラカミキリ  ウスバキトンボ

 7月8日に夏休み子供自然体験教室のコースの下見を生徒スタッフと行いました。予期せぬ出会いに恵まれた下見でした。
中学2年生が見つけたノコギリクワガタです。原因はよくわかりませんが、不二聖心で見られるノコギリクワガタの個体数はこの20年でかなり減少しました。久しぶりの出会いです。


次は高校1年生が見つけたキマダラカミキリです。ビロード状の翅の光沢が特徴的なカミキリムシです。一行を出迎えるかのように樹上から落下してきました。


キマダラカミキリを観察する生徒スタッフたちです。

枯れ葉や枯れ枝に同化するキマダラカミキリの見事な擬態に驚いていました。


何と言っても圧巻はウスバキトンボの群舞でした。百近いウスバキトンボが空を舞う姿に生徒スタッフは感嘆の声を挙げていました。
次の画像は翅を休めるウスバキトンボです。


今日のことば

テレビで夏の甲子園を見ていると、画面の片隅にチラチラとトンボの姿が映し出される。トンボの番組ではないのでピントぴったりとはいかないが、トンボを知る人ならウスバキトンボとわかるだろう。ボントンボ、ショウリョウトンボなど、お盆にちなんだ別名が各地に残っている。お盆の頃によく目に付くことに加えて、漂うような独特の飛翔ぶりにもよるのだろう。赤道を中心とした広い地域に分布する、唯一の世界共通種でもある。実はこのトンボ、海洋渡来の習性をもっていて、沖縄などの南の暖かい地方で越冬したものが、春に日本本土まではるばる飛んでくるのだ。                            杉村光俊

2016.07.03

ニイニイゼミの抜け殻

 ニイニイゼミの抜け殻を二つ、確認しました。確実に羽化が進んでいるようです。関西ではクマゼミの羽化が例年より早いという話を聞きました。それぞれの蝉の羽化の時期を記録することも重要な環境指標になりそうです。ちなみに、芭蕉の「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の蝉はニイニイゼミだと言われています。


今日のことば

岩に爪たてて空蝉泥まみれ   西東三鬼

2016.07.02

母鹿と子鹿

 母鹿が子鹿に母乳を与えていました。撮影したのは18時過ぎ、ちょうど空腹をおぼえる頃なのかもしれません。

今日のことば

子が食べて母が見ているかき氷     森澄雄

2016.06.25

6月の野鳥の調査  キビタキ  ホオジロ

 日本野鳥の会の滝道雄先生と6月の不二聖心の野鳥の調査を行いました。今日、確認できた野鳥は以下の通りです。

 1キセキレイ   1
 2ツバメ     11
 3シジュウカラ  7
 4キビタキ    3
 5ヒヨドリ    24
 6メジロ     5
 7ホオジロ    4
 8ハシブトガラス 5
 9ガビチョウ   7
 10ウグイス   7
 11オオルリ   2
 12ホトトギス  1
 13ヤマガラ   6
 14カワラヒワ  2
 15スズメ    1
 16ハクセキレイ 1
 17コゲラ    1

キビタキはこの夏、最も美しい声で鳴いていました。残念ながら姿をカメラでとらえることはできませんでしたが、代わりにこの夏、裾野市で撮ったキビタキの写真を載せておきます。


高3の教室から見えるイロハモミジの大木に餌をくわえたホオジロのオスがとまっていました。こちらの気配を察して巣に餌を運ぶのを躊躇していましたが、近くに巣があることはほぼ間違いありません。


今日のことば

ほととぎす瑠璃の御堂の若楓若葉ゆるがせてひた啼きになく    川村多実二

2016.06.22

トウキョウウズクモの円網

 お茶畑で地面と水平に張られたクモの円網を見つけました。適度に存在するクモの巣は茶畑の害虫をとらえ、生態系をバランスよく保つことに貢献しています。


この円網を張っているのは体長約4ミリの小さなクモです。専門家の同定により、このクモはトウキョウウズグモ属の一種でヤマウズグモかエゾウズグモであることがわかりました。「ウズ」はもちろん円網の中心の渦模様に由来します。

さまざま生き物が生息する6月のお茶畑です。


今日のことば

仏性は白き桔梗にこそあらめ    夏目漱石

2016.06.17

ホタルブクロ

 ホタルブクロはキキョウ科の多年草です。本館の裏には毎年同じ場所で花を咲かせるホタルブクロがあります。昨日はまだ蕾でした。

今朝、開花を確認しました。


来年は何日に開花するか、今から楽しみです。

今日のことば

ながれにそひて 咲きいでし
ほたるぶくろを あはれめど
摘みがたかりき 岸遠く
流れを越えんすべをなみ
                  佐藤春夫「路傍の花」より

2016.06.14

ナガコガネグモ  ササグモ

 ナガコガネグモの幼体が巣を張っていました。コガネグモの仲間は巣の中心に隠れ帯(白い糸の装飾)を持つことで知られています。装飾の仕方は種類によって異なります。ナガコガネグモは幼体でも立派な隠れ帯を持っていました。


近くにはササグモがいました。ササグモは巣を張らず、俊敏さを生かして獲物をとらえます。杉林の害虫のスギタマハエを駆除するために林に大量のササグモが放たれたということがかつてありました。


今日のことば

生きることが、大切なのだと思う。生きるとは、毎日のすべての瞬間を、愛しつくしてゆくことである。  
須賀敦子