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フィールド日記

2016.06.17

ホタルブクロ

 ホタルブクロはキキョウ科の多年草です。本館の裏には毎年同じ場所で花を咲かせるホタルブクロがあります。昨日はまだ蕾でした。

今朝、開花を確認しました。


来年は何日に開花するか、今から楽しみです。

今日のことば

ながれにそひて 咲きいでし
ほたるぶくろを あはれめど
摘みがたかりき 岸遠く
流れを越えんすべをなみ
                  佐藤春夫「路傍の花」より

2016.06.14

ナガコガネグモ  ササグモ

 ナガコガネグモの幼体が巣を張っていました。コガネグモの仲間は巣の中心に隠れ帯(白い糸の装飾)を持つことで知られています。装飾の仕方は種類によって異なります。ナガコガネグモは幼体でも立派な隠れ帯を持っていました。


近くにはササグモがいました。ササグモは巣を張らず、俊敏さを生かして獲物をとらえます。杉林の害虫のスギタマハエを駆除するために林に大量のササグモが放たれたということがかつてありました。


今日のことば

生きることが、大切なのだと思う。生きるとは、毎日のすべての瞬間を、愛しつくしてゆくことである。  
須賀敦子


2016.06.11

小さな親切運動  モリアオガエルの高所の卵塊

 静岡銀行裾野支店の関係者の皆様が「小さな親切運動」の一環として「共生の森」の整備をしてくださいました。

「共生の森」の看板の古くなった支柱を竹製(竹は不二聖心産)の支柱に変えてくださいました。


シイタケの榾木を本伏せする支柱も竹で作ってくださいました。

これが今日収穫されたシイタケの一部です。季節外れのシイタケが収穫できることは、この環境がいかにシイタケ作りに適しているかを表しています。


今日は一つ大きな発見がありました。かつてない高所でのモリアオガエルの産卵を確認したのです。卵塊のある位置は地上から約8メートルほどの場所です。赤丸の中心に卵塊があります。




今日のことば

落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう

美しい
願いごとのように

黒田三郎

2016.06.05

ゴミグモの巣

 「共生の森」でゴミグモの巣を見つけました。
ゴミグモは巣の中心に線状にゴミを集めることで知られています。



よく見ると、そのゴミの中心にゴミに擬態しているゴミグモを見つけることができます。


今日のことば

ルッペルツホーフェン博士は、このほかずいぶんおもしろい仕事をしている。それは、クモを使って森林を保護しようというもので、博士はこの方面の開拓者といっていい。(中略)森林学者に興味があるのは、どういう網をクモがかけるか、という点である。車輪状の網をかけるクモが、いちばん役に立つ。この種のクモがかける網のうちには、目のとても細かいのがあり、空中を飛ぶ虫という虫がひっかかってしまうからなのだ。  『沈黙の春』(レイチェル・カーソン)より

2016.06.03

幻のアジサイ シチダンカ

 今年も中学校校舎横の中庭でシチダンカが美しい花を咲かせています。シーボルトが『日本植物誌』に記載して以来、約130年、その存在が確認できなかったシチダンカが1959年に兵庫県の六甲小学校の荒木慶治先生によって発見されました。その後、挿木によって全国にこのアジサイは広まりました。不二聖心にもいずれかのルートで伝わり植えられたものと思われます。
不二聖心の裏門を出たところには、『日本植物誌』に含まれる珍しい植物としてケンポナシの大木があります。今年の7月には高1の総合学習で新たに生徒がケンポナシを植える予定もあります。他にもシーボルトゆかりの植物はあり、いずれシーボルトゆかりの植物ツアーができるようになるかもしれません。

今日のことば

詩と科学とは同じところから出発したばかりではなく、行きつく先も実は同じなのではなかろうか。      湯川秀樹

2016.06.01

火星の大接近

 5月31日が最も火星が接近する日でしたが、残念ながら雲に隠れて火星を見ることはできませんでした。今晩は約7500万キロに近づいた火星の姿をはっきり見ることができました。画像は牧草地から写した火星の写真です。

肉眼では赤みを帯びている様子が確認できたのですが、画像ではわずかに色がついているのがわかる程度です。



今日のことば
きみは人生に意義をもとめているが、人生の意義とは自分自身になることだ。  サン・テグジュペリ

2016.05.28

キマエホソバ

 講堂のドアにキマエホソバがとまっていました。キマエホソバは幼虫が地衣類(菌類と藻類の共生体)を食べることで知られています。地衣類は空気のきれいなところでしか育つことができません。キマエホソバは不二聖心の環境の良さを示す生物と考えることができます。


今日のことば
世界がいかにあるかではなく、そもそも世界があるということ自体が神秘的なことである。  ヴィトゲンシュタイン

2016.05.23

クヌギの樹液とスズメバチとサトキマダラヒカゲ

 クヌギの木から樹液が出ていました。いよいよクヌギの樹液に多くの生物を集まる季節がやってきました。昨日はスズメバチが樹液の湧出口を噛み砕いていました。ボクトウガという蛾の幼虫が木の内部を傷つけ、スズメバチが木の外部を傷つけ、そうしてたっぷりとした量の樹液が出てくることになります。ある意味でクヌギは自らの血液で多くの生物を養っているとも言えるでしょう。

クヌギの樹液から飛び立ったサトキマダラヒカゲが近くにとまっていました。静岡県出身の昆虫学者、高橋眞弓先生は二十年以上かけてサトキマダラヒカゲについて研究し、サトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲの違いを明らかにしました。

今日のことば

人を相手に学者になるのは易いが学問を相手に学者になるのは大変な事です。    中谷治宇二郎

2016.05.18

森の健康診断

 今日は高1の総合学習で「森の健康診断」を行いました。矢作川水系森林ボランティア協議会のリーダー7名の方のご指導のもと、学校林の混み具合について診断を行いました。最初に森の健康状態を推測してから科学的に診断を行いましたが、自分の予想とは大きく異なる結果を得た人も多かったようです。客観的な指標をもとに適正な森林管理をしていく方法を学ぶ貴重な機会となりました。




活動をしている場所でホオノキの幼樹を見つけました。9月には手ノコでの間伐をします。間伐をすることで光が豊かに臨床に届くようになれば、幼樹の成長も促進されるはずです。


今日のことば

ツバメさんたちが町中を飛びかう季節となりました。軒下などに巣を作っているのはご存じのことでしょう。でもあの子たちが5000キロも離れた東南アジアから飛んできているということは意外と知られていません。            鈴木まもる

2016.05.17

オオゾウムシ

 昨日、高校1年生の生徒が「ゾウムシがいました」と言って大きな甲虫を持ってきてくれました。日本最大のゾウムシ、オオゾウムシでした。不二聖心にはクヌギの林がいくつもありますが、オオゾウムシは好んでクヌギの葉を食べます。このゾウムシも不二聖心の里山的な環境によって育てられた生物の一つと言えるでしょう。日本最大のゾウムシですが、性質は臆病で、手で触れるとすぐに死んだふり(偽死)をします。

今日のことば

木という字を一つ書きました
一本じゃかわいそうだから
と思ってもう一本ならべると
林という字になりました
淋しいという字をじっと見ていると
二本の木が
なぜ涙ぐんでいるのか
よくわかる
ほんとに愛しはじめたときにだけ
淋しさが訪れるのです。

寺山修司