フィールド日記
2011.09.24
アゲハチョウの幼虫・ツノトンボの卵・シロスジメイガ
平成23年9月24日 土曜日
さわやかな秋晴れの一日となりました。
台風の影響がまだあちこちに残っていますが、一つうれしいことがありました。校舎の裏のミカン科の木にいた
アゲハチョウの幼虫が生き残っていたのです。 9月19日のフィールド日記で紹介した2匹のうち、
残念ながら大きい方の幼虫の姿は見当たらず嵐を乗り越えられなかったようですが、
小さい方はしっかり生存を続け、今日も元気に採食する姿が見られました。
驚いたのはツノトンボ卵を発見したことです。台風15号が通過した時、産卵が終っていたのかどうか
定かではありませんが、いずれにしても、成虫か卵が台風を乗り越えたということになります。
産卵場所を提供しているのはメリケンカルカヤという要注 意外来生物で日本の自然の生態系に
大きな影響を与えており、不二の自然も一部でメリケンカルカヤの多大な影響を受けています。
しかし、ツノトンボのような希少種に産卵場所を提供していることを考えると悪者扱いばかりもしていられない
のかと少し考えてしまいます。
ツノトンボの卵の近くでシロスジメイガに出会いました。こちらは普通種ですが、
よく見るとなかなか美しい姿をしています。
今日のことば
私は不思議でたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀にひかつてゐることが。
私は不思議でたまらない、
青い桑の葉食べてゐる、
蚕が白くなることが。
私は不思議でたまらない、
だれもいぢらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。
私は不思議でたまらない、
誰にきいても笑つてて、
あたりまへだ、といふことが。
金子みすゞ
2011.09.24
ノダケ・アオドウガネ
平成23年9月23日 金曜日
今日は、上着を着ていても暑くないほど気温が下がりました。昨日までの暑さがうそのようです。
18時以降に職員室で仕事をしていたらマツムシの声が聞こえてきました。だんだん鳴き声は大きくなり、
やがて絶え間なく聞こえるようになりました。絶滅危惧種の声を思う存分味わうことのできる贅沢な時間です。
ノダケが咲き始めました。古くから薬草として利用されてきた植物で、根を煎じて飲むと解熱、発汗、鎮咳の
効能があると言われています。
昨日、ハナムグリがいたところに今日はアオドウガネがたくさん来ていました。10個体近くを確認できました。
今日のことば
ゆっくり生きよう
自分を取り戻すために
ゆっくり生きよう
心の声を聞くために
ドロシー・ロー・ノルト
2011.09.23
アミガサハゴロモ・ハナムグリ
平成23年9月22日 木曜日
台風15号が去り、これで少し残暑もやわらぐということです。
生き物の世界はこの一日でだいぶ様変わりしたように感じます。
今朝、台風の影響を確認しながら裏道の様子を見てみたところ、クズの葉の上にたくさんのアミガサハゴロモが
いました。本来カシ類につくアミガサハゴロモがクズの葉の上にたくさんいるというのは、
初めて見る光景でしたが、台風と何か関係があるかもしれません。
東名高速沿いの道に生えるイタドリの花にたくさんのハナムグリが来ていました。
裏の駐車場の 近くの道ではコアオハナムグリがたくさん見られます。この違いは、環境の高低差によるのか、
植生の違いによるのか、あるいは全く他の要因があるのか、生き 物についての疑問はつきることがありません。
今日のことば
人間の自由とは、諸条件からの自由ではなくて、それら諸条件に対して自分のあり方を決める自由である。
ヴィクトール・E・フランクル
2011.09.21
月下美人・コアオハナムグリ・オオハナアブ・『不二の自然3』
平成23年9月21日 水曜日
台風15号の影響で学校は休校となりました。
今日は、最近、撮影された写真から不二の自然を紹介します。
まず9月15日に司書の袴田あゆみ先生によって撮影された月下美人です。
21時過ぎに撮影されたもので、花はかなり満開に近づいています。図書館の花壇の近くで咲いていました。
次は、ヒヨドリバナに来たコアオハナムグリの写真です。9月19日に雑木林の横の道で撮影しました。
よく見ると体の表面にたくさんの毛が生えています。
この毛に花粉が付くことでヒヨドリバナの受粉を助けています。
ヒヨドリバナには他にもたくさんの虫がやってきます。下の写真はオオハナアブです。
ハチに擬態していますが、顔つきはどう見ても双翅目(ハエ目)です。
不二聖心女子学院の自然を30枚の写真と文章で紹介した小冊子『不二の自然3』が完成しました。
9月23日(金)に小中学生とその保護者を対象とした学校説明会が行われますが、
そこにいらした方には、この冊子をさしあげます。
今日のことば
優か劣か、
自分はいわゆるできる子なのか
いわゆるできない子なのか、
そんなことを
教師も子どもも
しばし忘れて、
学びひたり
教えひたっている、
そんな世界を
見つめてきた。
教師も子どもも
学びひたり
教えひたっている
それは優劣のかなた。
ほんとうに持っているもの
授かっているものを出し切って、
打ち込んで学びひたり
教えひたっている
優劣を論じあい
気にしあう世界ではない。
成績をつけなければ、
合格者をきめなければ、
それはそうなのだ。
今の日本では
教師も子どもも
力のかぎりやっていないのだ
やらせていないのだ。
優劣のなかで
あえいでいる。
学びひたり
教えひたろう
優劣のかなたで。
大村はま
2011.09.20
ツルボ・キバナコスモス・クロハナアブ
平成23年9月20日 火曜日
9月に不二聖心で見られる花の中から2種紹介します。
まずはツルボです。球根を水にさらして食べることができ、救荒植物としても知られています。
次はキバナコスモスです。ありふれた花ですが、訪花する昆虫はなかなか珍しいものが多いです。
昨日はクロハナアブが来ていました。
今日のことば
神よ、私をあなたの平和の道具としてお使い下さい。
憎しみのある所に愛を、分裂のある所に一致を
もたらす者としてください。
理解されるよりは理解することを、
愛されるよりは愛することを、
私が求めますように。
アシジの聖フランシスコ
2011.09.19
アブラゼミ・クコの花・アゲハチョウの幼虫
平成23年9月19日 月曜日
今日も暑い一日でした。中学校校舎の壁にはアブラゼミがとまっていました。
この時期までアブラゼミが見られるのは珍しいような気がします。
駐車場の奥にクコの花がたくさん咲いています。今日だけでも3種のハチが訪花しているのを確認しました。
たくさんの命を養いつつ、受粉の手助けをしてもらっているのだろうと思います。
アゲハチョウの幼虫をもう一匹見つけました。すでに観察を続けてきた幼虫とは体の大きさが全く違います。
青空に浮かぶ雲は夏を思わせる雲でした。今夜から台風の影響で雨が降りだすようです。
この雨で残暑が終わるとしたら、夏らしい青空と白い雲が見られるのも今日が最後かもしれません。
今日のことば
祈りを唱える人でなく、
祈りの人になりなさい。
マザー・テレサ
2011.09.18
ナカグロクチバ・カネタタキ
平成23年9月18日 日曜日
今日はナカグロクチバの写真を撮ることができました。もともと南方系の蛾で、九州地方でよく見られて
いましたが、温暖化により急速に生息域を北に広げています。昨年は9月21日に撮影しました。
どうやら不二聖心にも完全に定着したようです。
カネタタキのメスを見つけました。オスは昼も夜もチンチンチンとやさしい声で鳴いています。
今日のことば
ものを欲しいとおもわなければ
こんなにもおだやかなこころになれるのか
うつろのように考えておったのに
このきもちをすこし味わってみると
ここから歩きだしてこそたしかだとおもわれる
なんとなく心のそこからはりあいのあるきもちである
八木重吉
2011.09.17
キマダラセセリ
平成23年9月17日 土曜日
9月に入ってキマダラセセリの姿をよく見るようになったと感じます。翅の黄色と茶色のコントラストが
美しいセセリチョウです。6月から10月ぐらいまで目にすることができますが、9月に見られる新鮮な個体は、
第3化、つまり今シーズンの3世代目の可能性があります。
今日のことば
コノ本ハ深イケレド、コチラノ本ハ深クナイ。アサイ、デス。私が少女時代のすべてを過ごした学校の
西洋人の修道女たちは、そういうふうに、いっていた。深イ、は賞讃のことばで、浅イ、はペケだった。
深イカンガエヲモツ人ニナッテクダサイ。ことあるごとに、彼女たちはそうくりかえした。
須賀敦子
2011.09.16
コウモリガ・アゲハチョウの幼虫
平成23年9月16日 金曜日
下の写真は9月9日に写したものです。ススキの葉にぶら下がる蛾の写真ですが、コウモリガであることが
わかりました。なんともユニークなとまり方をしていますが、よくよく見てみるとはっとするほど羽の色合いと模様の美しい蛾です。不二聖心初記録です。
校舎の裏のアゲハチョウの幼虫がだんだん大きくなってきました。
今日のことば
私が理想を持ち続けているのは、人間の性は結局、善であることをいつまでも信じているからです。
わたしは世界が荒廃しているのを見、わたしたちさえ も破滅させるかも知れない嵐の近づいている音を聞きます。
わたしは数百万の人々の苦しみを身に感じることができます。しかしそれでも尚かつ、天を仰ぐとき、
すべてはまた正常に帰り、この残虐も終わり、平和と静けさが再び世界を訪れるだろうと思います。
アンネ・フランク
2011.09.15
月下美人
平成23年9月15日 木曜日
修道院の道の脇で月下美人が咲きました。
上の写真は17時過ぎの花の様子で、下の写真は20時過ぎの写真です。今頃花は満開に近づいていることでしょう。
もともとコウモリが受粉の媒介者となっていた花ですから、蝙蝠の活動時間に合わせて花を咲かせているものと
思われます。他に類を見ない神秘的な美しさでした。
今日のことば
読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。
私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。
人と人との関係においても。国と国との関係においても。
皇后美智子さま