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フィールド日記

2011.09.15

アミメアリの行列・白いヒガンバナ

平成23年9月14日 水曜日

 登校してきた中学1年生が、10メートル近くに及ぶアミメアリの行列を見つけて報告してくれました。
これほどの行列がどのようにしてできるのか、不思議でたまりません。

 白いヒガンバナが図書館の花壇とコンテナの裏に咲いています。なぜかこのあたりは皆、赤ではなく
白いヒガンバナです。先日、『しずおか歌枕紀行』(田中章義)という本を読んでいて、
「『秋だね』とつぶやく亡母(はは)のいるごとしバス待つふる里 曼珠沙華咲く」(相原明子 旧大仁町)
というヒガンバナの歌に出会いました。

 今日のことば

人と人とのあいだを
美しくみよう
わたしと人とのあいだをうつくしくみよう
つかれてはならない
                     八木重吉

2011.09.14

ホソヒラタアブとクズの花

平成23年9月13日 火曜日

 ホソヒラタアブがクズの花目指して飛んでくる瞬間の写真を撮りました。マメ科の花の多くは蝶形花と呼ばれ、受粉を助けてくれる虫を招くために、入り口に虫がとまれる場所をきちんと用意しています。

 今日のことば

主客、相対、対抗、二元をこえた不二のところ、絶対的な一を求めねばならない。

                                  中野孝次

2011.09.12

宮古市への支援物資梱包・オナガササキリ・トリノフンダマシ

平成23年9月12日 月曜日

今朝は、さわやかな秋空の下に、たなびく雲と美しい富士山の姿が見られました。

 放課後、温情の会委員会のメンバーが宮古市への支援物資を梱包しました。物資は明日、発送され、
カトリック宮古教会を通じて週末のふれあいバザーで活用されます。

 不二聖心のバッタ目(直翅目)の生物相はまだまだよくわかっていません。
今朝は、オナガササキリの写真を撮りました。長い産卵管が大きな特徴となっています。不二聖心初記録です。

 日本のいくつかの県で絶滅危惧種に指定されているシロオビトリノフンダマシを不二聖心では頻繁に見かける
ことができるのですが、トリノフンダマシについては、これまで一度も目撃することができていませんでした。
それが今朝、偶然目にすることがで きました。いったいどれだけの時間を経て、
鳥の糞とよく似た姿に変わっていったのでしょうか。進化の不思議を感じます。これも不二聖心初記録です。

 今日のことば

強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。
                     レイモンド・チャンドラー

2011.09.11

ワレモコウ・アゲハチョウの幼虫

平成23年9月11日 日曜日

 吾亦紅が雑木林の脇の道に咲いていました。この花を見ると若山牧水の「吾木香すすきかるかや
秋くさのさびしききはみ君におくらむ」という名歌を思 い出します。ちなみに、若山牧水は静岡と
縁の深い歌人で、裾野の地にもたびたび足を運んでいます。
全集には温情舎を訪れた時のことを記した随筆も入りっています。

 校舎の裏でアゲハチョウの幼虫を見つけました。若齢幼虫は、鳥の糞に擬態しています。

 今日のことば

人間はひとくきの葦にすぎない。
自然のなかで最も弱いものである。
だが、それは考える葦である。
              パスカル

2011.09.10

ナンバンギセル

平成23年9月10日 土曜日

 今年もまたナンバンギセルが咲き始めました。ナンバンギセルはススキに寄生する植物として知られています。
万葉人は、この花の姿が物思いにふける 人間の姿を思わせるところから、この花を「思ひ草」と呼びました。
日本の各地で絶滅危惧種に指定されていますが、不二聖心ではたくさんのナンバンギセルを 見ることができます。
今年はススキ以外の植物に寄生するナンバンギセルも発見されています。
掘ってみたら思わぬ発見があるかもしれません。

 

                                                       今日のことば

地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、
孤独にさいなまれたりすることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとに
であったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きてい ることへの新たなよろこびへ通ずる
小道を見つけだすことができると信じます。
                                                                   レイチェル・カーソン

2011.09.10

ナガコガネグモ・カンタン

平成23年9月9日 金曜日

 祈りの会が終わり、それぞれの実りを手に生徒たちは帰宅しました。
今日は残暑厳しい一日となり、各地で三十度を超えたようです。相変わらず蝉も声もにぎにぎしく、
夕方にはヒクラシも鳴いていました。
雑木林の横の道にはナガコガネグモが網を張り、その網にバッタがかかっていました。
ナガコガネグモは夏の終わりに成熟するクモですから、下の写真にも季節を感じることができます。

 不二聖心で初めてカンタンの姿を見かけました。カンタンについては、『秋に鳴く虫』(小林正明)の中に
次のような一節があります。 

 カンタンは古くから人々に親しまれてきた秋の虫だ。東京では毎年高尾山などでカンタンの声を聞く会が
開かれているほどである。人気の秘密は、秋の野原にどこからともなく響く幽玄で神秘的な声の美しさであろう。

 今日のことば

あなたが虚しく過ごした今日という日は、

きのう死んでいったものが、あれほど生きたいと願ったあした

趙昌仁

2011.09.09

クツワムシ

平成23年9月8日 木曜日

 昨日の夜、職員室で仕事をしていたら、クツワムシの声が聞こえてきました。今年はじめて聞く
クツワムシの声です。帰りには、車の窓を開けて正門ま で車を走らせたところ、マツムシ、ウマオイ、
エンマコオロギの声も聞くことができました。中でもクツワムシの声は生命力にあふれ、
場所によっては茶畑全体 がクツワムシの声に覆われているような感じでした。
クツワムシについては、「不二の自然70」でも紹介しました。以下に転載します。

不二の自然 70

(駐車場で撮影)
クツワムシ
科名 バッタ目キリギリス科
学名 Mecopoda nipponensis

 ラフカディオ・ハーンは、「虫の音楽家」というエッセイの中で、明治時代にはたくさんの秋の鳴く虫が
商品として売られていたという事実を紹介しています。彼が示した価格の一覧を見ると、クツワムシは
10銭~15銭の値がつけられていて、松虫や鈴 虫などを含む12種類の中で最も高価であったことがわかります。
和泉式部の歌にも登場するほど日本人との関わりの長いクツワムシですが、
今では5つの県で滅危惧種に指定され、希少種となってしまいました。  (平成22年9月27日)

 今日のことば

さまざまな人生の岐路に立った時、
人の言葉にではなく、
いつか見た風景に励まされたりすることがきっとある。
                    星野道夫

2011.09.07

ゼフィランサス

平成23年9月7日 水曜日

 事務室の入口の近くでゼフィランサスが純白の美しい花を咲かせています。別名レインリリーとも言いますが、これは雨のあとで一斉に花を咲かせるところから生まれた名前です。そういえば、台風が去ったあと、
ゼフィランサスの美しさがいっそう増したように思います。

 

     今日のことば

みんなむかしからきやうだいなのだから
けつしてひとりをいのつてはいけない
              宮沢賢治

2011.09.06

コハクオナジマイマイ

平成23年9月6日 火曜日

 すすき野原で繁殖しているカタツムリの名前がわかりました。コハクオナジマイマイでした。
このカタツムリについて、国立科学博物館発行の「科博メールマガジン」(2009.11.12)に、
動物研究部の長谷川和範さんの興味深い文章が出ています。

今年の秋の初め頃、つくば市にある自宅の庭で見慣れないカタツムリを見つけました。今や秋葉原から
快速電車45分で結ばれるつくば市も、駅から15分も 歩くと、まだヒタチマイマイ、ニッポンマイマイなど
在来のカタツムリが這い回る自然が残されています。我が家の庭にもそれらを含め5~6種が見られるのですが、今回目に留まったのは、2cmほどの小型の種類で、殻がとても薄く、特徴的な黄色い内臓(中腸腺)が
透けて見えることから、すぐにコハクオナジマイマイであることがわかりました。これは日本固有の種類で、
元来山口県や四国以西にのみ分布していたのですが、1990年代に突然千葉県と神奈川県で相次いで見つかって
以来、関東でも少しずつ分布を広げています。茨城県ではまだ確実な記録はないようで、
これが恐らく現時点の北(東)限となります。人為的な拡 散とは思いますが、温暖化も影響している
のかもしれません。いずれにしても今後の分布の動向が気になります。皆さんも周りにいるかもしれない、
小型で薄くて「黄色い」カタツムリにご注意ください。

私たちの気づかぬところで静かに自然が変わりつつあることを今回も感じました。
そのわずかな変化に気づくために私たちは「知る」努力をしていかなければなりません。
今日も不二聖心ではたくさんのコハクオナジマイマイを見かけました。
その数はますます増えていくことでしょう。

今日のことば

Time is , out of which
Eternity is made.
聖心女子大学 初代学長 マザー・エリザベス・ブリット

2011.09.05

マダラホウライタケ

平成23年9月5日 月曜日

 今日も静岡県全域に大雨警報が出続け、授業をすることができませんでした。
一日職員室にいましたが、夕方になって秋の虫の声が戻ってきました。特によく聞こえたのがウマオイの声です。
明日こそは晴れてほしいと願わずにいられません。

 下の写真は、8月30日に撮ったものですが、専門家の助けを借りてようやく名前がわかりました。
マダラホウライタケで、2002年に発表されたキ ノコです。あの大部な山渓カラー名鑑『日本のきのこ』にも
名前が載っていません。見られるチャンスも少ないようです。そういう意味では貴重な写真と
言えるかもしれません。不二聖心に生息するキノコの数がまた一つ増えたことをうれしく思います。

 

 今日のことば

生きるべき「何故」を知っている者は、ほとんどすべての「いかに」に耐える。
                        ニーチェ