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フィールド日記

2011.08.05

ヒグラシ

平成23年8月5日 金曜日

 今日も不二聖心はいいお天気でした。
学校にも何人かの生徒が登校し、卒業研究などに励んでいました。

 朝、校舎の壁にヒグラシがとまっているのを目にしました。
数年前に、ヒグラシの鳴きはじめる時間を毎日記録したことがあります。
時計が4時半を過ぎると必ずヒグラシが鳴きだすのに驚いたものでした。
そしてしばらくするとすべてのヒグラシが鳴くのをやめてしまいます。
このヒグラシも鳴き疲れてしばし休憩といったところだったのでしょう。

 詩人の清水哲男はヒグラシについて次のように書いています。

 法師蝉が昼のセンチメンタル派だとすれば、朝夕のそれは蜩(ひぐらし)である。私の故郷の山 口県では
「かなかな」と呼んでいた。詩人の川崎洋さんによれば「ひぐれおしみ」という地方もあるそうで、
ネーミングの素敵さからいえば、この「ひぐれおし み」が最良だろう。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、蝉の鳴き声のなかで蜩がいちばん美しいといった。

2011.08.05

ハチのユニークな行動・アオオビハエトリ

平成23年8月4日 木曜日

今日の不二聖心は快晴でした。雑木林にも気持ちの良い風が吹いていました。

 ユニークな生態のハチを見つけました。ススキの葉の間の狭い空間に身を潜める習性のあるハチです。
約1年前にも同じ場所で同じ姿を見ました。

 アオオビハエトリのメスを見つけました。アリを食べるクモです。アリの行列を前にして万歳をしていました。不二聖心初記録です。

2011.08.03

ヒルガオ

平成23年8月3日 水曜日

 牧草地にたくさんのヒルガオが咲く季節となりました。花びらの上の黒い点はアリです。
牧草地にヒルガオが多いのは受粉昆虫の多さにもよるのでしょう。
ヒルガオについては、稲垣栄洋の『身近な雑草の愉快な生き方』という本に次のような興味深い記述があります。

 ヒルガオは古くから日本に自生していた。『万葉集』では容花(かおばな)の名前で登場する。
「容」とは美しいという意味である。万葉時代の人々は、ヒルガオの美しい桃色を愛でていたのだろう。
しかし、間もなくライバルがあらわれた。遣唐使が大陸からヒルガオによく似たアサガオを持ち帰ったのである。やがて、江戸時代には一大ブームを巻き起こ すまでに、アサガオの人気は急上昇した。
こうしてアサガオに対して容花は昼限定のヒルガオと呼ばれるようになってしまったのである。

2011.08.03

エンマコオロギ

平成23年8月2日 火曜日

 8月に入り、鳴く虫の季節が待たれる頃となりました。
不二聖心に生息するバッタ目の虫の中で最もよく声が聞かれるのはエンマコオロギです。写真のコオロギは
エンマコオロギのオスです。今の時期はまだ羽が生 えておらず、白い帯のようなものがあります。
この白い帯が消えるとき、牧草地はエンマコオロギの美しい声に満ちることでしょう。
 

2011.08.01

コオニユリ

平成23年8月1日 月曜日

 今日は夏休み11日目です。いよいよ8月に入りました。
不二聖心の自然もますます多様な姿を見せてくれることでしょう。

 久しぶりの快晴となり、すすき野原には気持ちのよい風が吹いていました。
 

 すすき野原には、希少種のコオニユリがたくさん咲いていました。
コオニユリについては、田中肇氏が『花と昆虫がつくる自然』(保育社)の中で次のような文章を書いています。

 コオニユリが存在するためには、送粉者のキアゲハを育てるセリ科植物がなくてはならない。
そのセリ科植物の受粉にはハナアブやハエ類が必要である。
それらの双翅目の昆虫はクマやキツネの糞から発生する。
このように、自然は一つのセットとなって存在しなければ、本来の姿を保つことができないのである。
 

2011.07.31

コガネムシの構造色・トノサマバッタの幼虫の擬態・ツマグロヒョウモン

平成23年7月31日 日曜日

 今日は夏休み10日目です。
裾野の天気は曇りで、少し青空がのぞく程度でした。その青色を眺めながら、
以前に卒業研究で空の色はなぜ青く見えるのかを研究した中学3年生がいたことを思い出しました。
 

 今日の読売新聞に昆虫の構造色の記事が載っていました。カナブンやチョウの羽などに見られ る、
色素ではなく構造で発色する仕組みが、新型の液晶パネルなどの開発に利用されているという話でした。
非常に興味深い内容の記事でしたが、添えられてい たコガネムシの写真の下に
「構造色による発色が美しいカナブン」と書かれていたのは少々気になりました。  
今日も不二聖心ではたくさんの構造色が見られました。

 色で驚いたのはトノサマバッタの幼虫です。ササの枯れ葉に見事に擬態していました。

 7月14日にツマグロヒョウモンのオスの写真を載せましたが、今日はメスの写真を撮りまし た。
今日見かけた個体は、通常のツマグロヒョウモンのメスとは色合いがずいぶん異なります。
『不二の自然2』の34に載せた写真と比較するとその違いがよ くわかります。
何が原因でこのような色になったのでしょうか。色の不思議はつきません。

(上の蝶はヒメアカタテハでした。お詫びして訂正させていただきます。)

2011.07.30

ウスバキトンボ・ツノトンボ・クロコノマチョウ・ヘクソカズラ・ハナノミ

平成23年7月30日 土曜日

 今日は夏休み9日目です。
第二牧草地で、今年初めてウスバキトンボの群れ飛ぶ姿を目にしました。下の写真の中央の点のようなものが
その中の1匹です。ウスバキトンボは5月頃九州南部に発生し世代交代を繰り返しながら北上を続ける
トンボとして知られています。
 

 雑木林で久しぶりにツノトンボと出会いました。名前にトンボと付いていますが、トンボ目の昆虫ではなく、
アミメカゲロウ目に属しています。2つの県で絶滅危惧種に指定されている貴重な生物です。

 雑木林のクヌギの樹液にはクロコノマチョウが来ていました。もともとは南の地方に生息するチョウですが、
今から10年ほど前に関西で目撃されはじめ、今では不二聖心でも普通に見られるチョウとなっています。
地球温暖化の影響で生息域を北に広げていると考える人もいます。
 

 ヘクソカズラの花にはハナノミが来ていました。気の毒な名前を持つ花ですが、
虫たちにはなかなか人気があります。

2011.07.29

アブラギリ・アオバハゴロモ

平成23年7月29日 金曜日

 今日は夏休み8日目です。裾野は曇りで、クーラーなしでも何とかしのげるほどの暑さでした。
5月18日のフィールド日記で紹介したアブラギリの花のその後の様子を確かめるために温情舎の跡地に
行ってみました。花は立派に実になっていました。

 驚いたのは、アブラギリに多様な生き物が集まっていたことです。
コゲチャオニグモやアトボシ ハムシやヒメバチやアリなどの様子を写真に撮ることができましたが、
ひときわ目をひいたのはたくさんのアオバハゴロモでした。アオバハゴロモは三角形の美 しい姿をした昆虫で、ラテン語の学名はGeisha distinctissimaと言います。命名者はこの姿から芸者を連想したようです。

2011.07.28

ヒメオビオオキノコムシ・ササキリ

平成23年7月28日 木曜日

 今日は夏休み7日目です。裾野は朝から雨でした。
しかし雨の中でも雑木林の中には活発に活動する生き物たちがいました。
下の写真はヒメオビオオキノコムシです。キノコを食べる甲虫として知られています。不二聖心の雑木林では
頻繁に姿を目にすることができます。築山の枯れ木に幼虫が大発生していた時には驚きました。

 次の写真はササキリの中齢幼虫です。ササキリは名前の通り、ササの繁茂する場所によく見られます。
まだ可愛らしい姿ですが、バッタとしての体の構造はしっかりと整っています。実に長い触覚を持っていますが、いったい体の何倍ぐらいあるのでしょう。

2011.07.27

ハナイカダの実

平成23年7月27日 水曜日

今日は夏休み6日目です。

 裾野では夕方に少し雨が降りました。
下の写真は雨に濡れるハナイカダの実です。(ハナイカダの花については、5月5日のフィールド日記で
紹介しました。)日に日に実の色が濃くなってきました。この姿から、ハナイガタには「嫁の涙」という
別名が付けられました。

 自然教室から帰ってきてみたら、何枚かの葉から実が消えていました。理由はわかりません。