〇お知らせ〇
同じ内容をインスタグラム「不二聖心女子学院フィールド日記」(クリックするとインスタグラムのページが開きます)にも投稿しています。より高画質な写真を載せていますのでぜひフォローしてください。

フィールド日記

2013年10月

2013.10.10

シマヘビ  ガマズミ

昨日、牧草地の草刈りが行われ、様子が一変しました。秋のつどいを迎える準備も徐々に整いつつあります。


今日も暑い一日でした。10月にも関わらず、早朝にシマヘビを見ました。


牧草地の脇に道でたくさんの実をつけていたのが、ガマズミです。ガマズミの語源は「神の実」という説があるくらい、特別な力を持った実です。実をかじると類まれなる酸っぱさで、それが健康に良い証だと言えるようです。つまんで齧ってみましたが、確かに酸っぱかったです。

 
 
今日のことば

人は注意深く生きることで、出会うべき時に出会うべき人に出会える。本また然り。
                                                大江健三郎

2013.10.09

三井物産「環境・社会貢献部社有林・環境基金室」室長の御講演

2013.10.09 Wednesday

高校1年生の総合学習の時間に三井物産の「環境・社会貢献部社有林・環境基金室」の赤間哲室長と斉藤江美さんのお二人に講演をしていだきました。講演の内容は多岐にわたり、日本の林業の現状と課題から三井物産の社有林についてまで、いろいろなお話をうかがうことができました。

不二聖心で「共生の森づくり」を進めていくうえで、生物多様性を意識した三井物産の森づくりからも学ぶことはたくさんありました。三井物産の森には絶滅が心配されるような希少種も多数生息しています。

お土産に三井物産の森の間伐材を利用した素敵な木工品もいただきました。


貴重なお時間を不二聖心のために割いてくださったことに心から感謝申し上げたいと思います。

 今日のことば

 林業を描いたエンタテインメント小説である。それも林業を背景にして物語が展開するというのではない。林業そのものが小説のテーマなのが、めずらしい。そしてめずらしいだけでなく、一気呵成に読んでしまうほど面白い。著者の抜群の語りのうまさが第一の理由だろう。

 語り手の「俺」は平野勇気という高校を出たての若者(多分に少年ぽい)。横浜育ちなのに母親と担任教師の陰謀によって、知らぬ間に「緑の雇用制度」に応募させられていて、三重県の神去村(架空の地名)なる大山奥に追いやられる。つまり林業に就職させられたわけだ。

 勇気には間の抜けたとろさと素直さがある。平凡な現代っ子といってもいい。林業なんてカッコ悪い、ヒエー殺されると悲鳴をあげながら、山仕事を覚え、山になじんでいく。

 勇気に林業を叩き込むのは、神去村に奇蹟みたいにいる三十前の若者、ヨキ(斧という意味)。短髪を金髪に染めた変わり者だが、自他ともに認める「林業の天才」で、山仕事をさせれば村いちばん。恋女房との猛烈な夫婦喧嘩が絶えないヨキの家に勇気は下宿し、林業にがんじがらめになる。

 もう一人、「おやかたさん」と呼ばれる、中村清一がいる。三十代半ばながら、大山林主の家の当主。林業会社を経営し、自他の山林の管理に当たっている。ヨキも勇気も清一の林業会社の社員だから、その仕事ぶりから現在の林業のおよび山林の姿が見えてくる。「おやかたさん」清一の妻の妹、直紀という小学校の教師に勇気が惚れるという恋模様もあるけれど、そして直紀というそっけない女性はなかなか魅力的だけれど、それはやはり賑やかしで、物語の主眼は山仕事の中身と、恐ろしいまでの山の魅力を語るところにある。

 新米の勇気が昇柱器を使ってまっすぐな杉にヨタヨタと昇り、下ろしてくれー、と叫びながらチェーンソーで枝打ちする。作業のようすが手にとるようにわかるから、読む方も勇気と一緒にだんだん林業って面白そうと思うことになる。

 夏の、いつ終わるとも知れない広大な領域の下刈り。汗にまみれながら労働に打ち込み、昼飯に巨大なおにぎりを頬張ばる。そんななかで、勇気は横浜の町のこと、家族のことをだんだん忘れていくのが、いかにも自然。

 山仕事と並んで魅力的な記述は、山の不思議を語る部分だ。

 清一の息子、五歳になる山太がある日行方不明になる。村民一同合議して神隠しにあったのだと結論し、身を清めて神去山の入口に行き、山の神に願って山太を返してもらう。神隠しの伝承どおり、山太は帰宅後三日ほど熱にうなされるがケロリと回復。現代的な話の運びのなかに神隠しのエピソードが入ってもちっとも違和感がない。語りのみごとさである。

(中略)

 林業という忘れ去られた「斜陽産業」を題材にしてこれだけ面白い小説ができる。小説は捨てたものではないと思わせる三浦しおんの力量恐るべし。

 なお、「なあなあ」というのは土地の方言で、「ゆっくり行こう」という意味の呼びかけ言葉。山仕事は百年単位という、住民の気分をよく示している。

                        

                  『神去りなあなあ日常』の書評(湯川豊)より

2013.10.08

絵かき虫と寄生バチ

 
2013.10.08 Tuesday

10月4日に、クヌギの稚樹の葉上の絵かき虫が移動した跡を写真に撮りました。おそらく絵かき虫の正体はハモグリバエだと思いますが、今日、出てきたのはハチでした。ハモグリバエはハチに寄生されてしまったようです。
 
今日のことば
謄写版するにもなれて六年(むとせ)なりおのが仕事にまめやかならむ
松田常憲

2013.10.06

ヒノキの球果とツヤアオカメムシの終齢幼虫

 

2013.10.06 Sunday
「共生の森」の近くでヒノキの球果の汁を吸うツヤアオカメムシの終齢幼虫を見つけました。学研の『日本産幼虫図鑑』では、「ツヤアオカメムシの幼虫はスギ やヒノキの球果に依存するようである」と書かれていますが、この画像は幼虫が明らかにヒノキの球果に依存していることを示しています。
カメムシが大量発生することを多くの人は嫌いますが、拡大造林政策によってたくさんのスギ・ヒノキを植えたことで結果的に何種かのカメムシの増加を招いた事実を私たちは忘れてはなりません。


 
今日のことば
その思想がたとえ高潔なものであっても、人間の最終目標は思想ではなくて行動である。                                               トマス・カーライル

2013.10.05

イラガの繭

 

2013.10.05 Saturday
「共生の森」で成虫が羽化したあとのイラガの繭を見つけました。イラガの蛹はタナゴ釣りで最高級の餌として使われます。写真の繭は、ほぼ白一色ですが、多くはさまざまな模様がついています。今森光彦の『昆虫記』(福音館書店)の148ページには、たくさんの美しいイラガの繭の写真が載っています。
 

 

今日のことば

人は思ったことがないものには決してなれない。多くの人は「どうせ自分はなれない」と早い段階であきらめてしまうことが多く、そういう人は出世などおぼつかない。
佐々木常夫

2013.10.04

赤と白のゲンノショウコ  合体したコブシとホオノキ

 2013.10.04  Friday

今日はすすき野原とキャンプ場でゲンノショウコの花を観察することができました。ゲンノショウコは西日本に紅紫の花が多く東日本に白紫の花が多いと言われますが、すすき野原は紅紫でした。
 

キャンプ場は白紫でした。これは不二聖心の位置が東西日本の中心付近に位置していることと関係があるかもしれません。


 

キャンプ場にはコブシとホオノキが一本になった珍しい木があります。
 

コブシはコブシで実をつけていました。
 

ホオノキはホオノキで実を落としていました。
 

コブシもホオノキも同じモクレン科モクレン属ですので相性は悪くないのかもしれません。

 

今日のことば

人間は自然によって生かされてきた。古代でも中世でも自然こそ神々であるとした。このことは、少しも誤っていないのである。歴史の中の人々は、自然をおそれ、その力をあがめ、自分たちの上にあるものとして身をつつしんできた。
この態度は、近代や現代に入って少しゆらいだ。
--人間こそ、いちばんえらい存在だ。
という、思いあがった考えが頭をもたげた。二十世紀という現代は、ある意味では、自然へのおそれがうすくなった時代といっていい。

                                                                                             司馬遼太郎

2013.10.02

宮川早生  ツチイナゴ  スッポンタケ

 2013.10.02  Wednesday

「共生の森」の宮川早生(温州みかん)がオレンジ色に色づきました。宮川早生は、1910年頃に福岡県山門郡城内村(現柳川市)の宮川謙吉邸で発見されたみかんで、温州みかんの代表的品種です。
 

葉の上には成虫になりたてのツチイナゴがとまっていました。この個体は成虫のまま厳しい冬を越していきます。


 

今年は「共生の森」周辺のスッポンタケの幼菌が昨年にくらべてはるかに多く発生しています。原因はよくわかりませんが、何らかの生育環境の変化が影響しているものと思われます。


 

 
 

今日のことば

およそ人は自分の望みを勝手に信じてしまう。   カエサル