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フィールド日記

2019年02月

2019.02.26

ミチタネツケバナ

 マリア館近くの花壇にミチタネツケバナが咲いています。在来種のタネツケバナに似ていますが、ヨーロッパ原産の帰化植物で1992年に国内への定着が報告されました。葉は茎の下部に集まってつき、茎の途中にはあまり見られないことが特徴です。


 また、茎に毛が無く、葉の付け根に刺毛状の毛が散生することもタネツケバナと区別するときのポイントになります。

2019.02.24

2月の野鳥の調査

日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が2月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

2月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。

1.ヒヨドリ     14羽
2.ホオジロ      3羽
3.メジロ      4羽
4.ハシブトガラス    26羽
5.ヤマガラ      2羽
6.トビ         2羽
7.ハシボソガラス    2羽
8.エナガ        7羽
9.シジュウカラ     9羽
10.ウグイス     1羽
11.ジョウビタキ     2羽
12.カワラヒワ     2羽
13.アオジ     6羽
14.キジバト   20羽
15.コゲラ     1羽
16.キセキレイ    2羽
17.シメ       3羽
18.ミソサザイ    1羽
19.ガビチョウ     1羽

【特記事項】
1.私たちは寒い寒いと言っていますが、生き物たちは着実に春を感じています。下記の野鳥は地鳴きと囀りの両方をするようになりました。
ホオジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、ガビチョウ(外来種)
2.オニシバリの花が咲き、芳香を放っています。
3.「温情坂」の小川でミソサザイを初めて確認しました。不二聖心女子学院で確認できた野鳥は60種となりました。ミソサザイは標高700m程度から森林限界に近い所で繁殖を行い、冬期には一部が標高の低い所に下りて来ますが、標高200m近くまで下りてくるのは意外でした。小川のうす暗い地面を数十センチメートルから1メートル程度素早く移動していました。
4.第二オークヒルにある「牛の水飲み場」でトビがオオカナダモを引き抜こうとしている行動をみました。トビは雑食性ですがオオカナダモを食料にするとは考えにくく、巣材の一番内側に使用するものと推察されます。

2019.02.22

ツチイナゴ

 共生の森にツチイナゴが見られました。名前の通り土のような茶色をしています。九州以北に分布するバッタとしては唯一、成虫で越冬することで知られています。越冬中は草の根元などでじっとしているようですが、この日は比較的暖かかったので活動していたのかもしれません。

2019.02.19

ハクテンゴケ

 オークヒルのクヌギの樹幹にハクテンゴケが見られます。菌類と藻類の共生体である地衣類の仲間です。ウメノキゴケに似ていますが、偽盃点(ぎはいてん)と呼ばれる白い点があることが名前の由来です。また、粉芽(ふんが)と呼ばれる藻類の細胞に菌類の菌糸がからみついた構造をつくるのも特徴で、粉芽が飛んでいくことで新たな仲間を増やします。

2019.02.15

ウスタビガの繭

 共生の森のクリの木でウスタビガの繭を見つけました。ウスタビガは初夏に繭をつくり、晩秋に羽化するので、この繭はすでに空になっています。葉が茂っている時期には気が付かないのですが、周囲の葉が枯れて茶色くなると緑色の繭がよく目につくようになります。

 繭の底には穴が開いており、雨水がたまらないようにするためだと考えられます。

2019.02.12

ウメノキゴケ

 校内のいろいろな場所でウメノキゴケが見られます。菌類と藻類の共生体である地衣類の仲間です。ウメノキゴケという名前ですが、ウメの木以外にも様々な樹種や岩石に着生します。亜硫酸ガスに弱く大気汚染の指標生物として知られており、都市部ではあまり見られないと言われています。


 稀に子器(しき、菌類の胞子をつくる器官)をつけることがあり、駐車場近くのクヌギに着生していた地衣体で見ることができました。下の写真はカップ状の子器を拡大したものです。

2019.02.08

ミノゴケ

 ススキ野原の近くのカエデの樹幹にミノゴケが着生しています。ちょうど、マッチ棒のような形の胞子体(ほうしたい、胞子をつくる体)をたくさんつけています。胞子体の先にあるふくらみを朔(さく)といい、胞子が入っています。朔ははじめ帽(ぼう)と呼ばれる帽子状のものをかぶったまま成長します。ミノゴケという名前は帽に茶色いたくさんの長い毛が生え、蓑(みの)をかぶっているように見えることに由来しています。

 葉は乾燥していると強く巻縮していますが、霧吹きで湿らすと一斉に広がります。しかし、葉先だけは湿っていても内側に曲がっており、近縁種と見分けるポイントになります。

2019.02.05

ギンメッキゴミグモ

 共生の森でギンメッキゴミグモを見つけました。名前の通り、腹部が銀色に輝いています。網をはるクモは一般的に頭を下に向けて止まりますが、本種は頭を上に向けて止まる特徴があります。ゴミグモという名前ですが、網にゴミをつけることはなく、幼体期に隠れ帯をつくるそうです。隠れ帯とは写真に見られる白い帯状の糸の装飾のことです。

2019.02.01

マツバラン

 校内のケヤキの幹の腐植(ふしょく、植物が微生物により分解されてできたもの)がたまった部分にマツバランが着生しています。シダ植物の仲間ですが、その形態はとても変わっています。葉はなく、緑色の茎が二又に枝分かれをくり返し、ほうき状になっています。また、根もなく地下茎(ちかけい、地中にある茎)によって着生しています。

 マツバランは江戸時代から園芸植物として親しまれてきましたが、一方で、全国で絶滅が心配されている植物でもあります。静岡県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、環境省でも準絶滅危惧種に指定されています。