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フィールド日記

2018.06.12

エビガライチゴ

 2週間ほど前から共生の森でエビガライチゴが咲いています。植物体に長い赤色の腺毛が密生しており、白い花弁は直立して雄しべや雌しべを包むように咲くのが特徴です。中部日本の代表的なキイチゴ類の一種で赤く熟した果実は食用になります。


 がくは花が咲き終わるといったん閉じ、実が熟すころに再び開きます。写真に見られる先端の方のものはつぼみではなく、咲き終わった後の花で、中にはまだ熟していない青い果実が見られます。腺毛からはネバネバする液体が分泌されており、小さい虫は絡まって動けなくなっているようです。エビガライチゴの長い腺毛と開閉するがくは果実が成熟するまで虫からの食害を防ぐ働きがあるのかもしれません。

2018.06.08

ドウガネツヤハムシ

 共生の森のタラノキにドウガネツヤハムシが見られました。ハムシは食草や食樹が限られていることが多く、本種はタラノキの葉を食べるとされています。3mmほどの小さなハムシですが、名前の通り強い光沢があります。

 ドウガネツヤハムシはユニークな産卵を行うことでも知られています。卵は糸で植物体に吊るされ、さらに糞でコーティングされます。おそらく天敵から卵を守るための行動だと思いますが、これには何と数十分もの時間を要するそうです。実際にタラノキの葉をめくって確認をすると、下の写真のような卵がいくつも確認できました。

2018.06.06

5月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が5月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

 5月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。

 1.ヤマガラ     4羽
 2.ウグイス     8羽
 3.ヒヨドリ    12羽
 4.ハシボソガラス  4羽
 5.キジバト     2羽
 6.カワラヒワ    4羽
 7.メジロ      6羽
 8.シジュウカラ   6羽
 9.ハシブトガラス 10羽
10.コゲラ      1羽
11.ホオジロ     2羽
12.ホトトギス    1羽
13.ツバメ      6羽
14.イソヒヨドリ   1羽
15.オオルリ     2羽
16.スズメ      2羽
17.アオゲラ     1羽
18.キビタキ     4羽
19.イカル      1羽
20.キセキレイ    1羽
21.コジュケイ    2羽
22.ガビチョウ    4羽
【特記事項】
1.2018年3月に報告書を提出した時の確認種は58種であったが、新たにイソヒヨドリの♀を「聖心橋」の所で確認できたので、聖心女子学院での確認種は59種となった。
2.ヒノキ林の中にある桜の大木にオオルリの巣が有り、卵が1個あった。
 以上が報告書になります。下の写真は滝先生が調査中に撮影されたオニシバリの果実の写真です。すべての果実に穴が開いており、中の種子がなくなっているように見えます。鳥などの動物が食べたのでしょうか。今のところ理由ははっきりしませんが、何らかの動物の仕業なのか興味深いです。

2018.06.05

テイカカズラ

 校内の林でテイカカズラが咲いています。「カズラ」とはつる性植物の総称で、テイカカズラの花も他の樹木や岩にぶら下がって咲いています。


 「テイカ」は藤原定家に由来しており、定家が恋した式子内親王の墓石にからみついた本種をテイカカズラと呼ぶようになったそうです。下の写真はセカンドオークヒルで撮ったものです。白く見える部分はすべてテイカカズラの花で、15mはあるヒノキを覆いつくす勢いで繁茂しています。この強い生命力を見た昔の人々がテイカカズラと定家の執念を結び付けて考えたのかもしれません。

2018.06.01

トビイロツノゼミ

 共生の森でトビイロツノゼミを見つけました。熱帯に生息するツノゼミの仲間はユニークな形や色で本やテレビなどでも紹介されていますが、本種は前胸背板に小さな突起が見られるだけです。

 手元の図鑑では、マメ科植物などにつくとなっていますが、この個体はタラノキにとまっていました。日本で最も普通に見られるツノゼミだそうです。

2018.05.29

ケゼニゴケ

 裏道の湧水が流れ出ているところに、ケゼニゴケが見られます。流れ出る湧水にそって見られることから、特に湿った場所を好む種のようです。


 湧水によって常に濡れており、透明感のある植物体がきらきらと輝いて見えます。このように葉と茎の区別がなく、全身が葉のように見えるものを葉状体といいます。


 葉状体の先端からは雌器托が伸びていました。茶色い綿のような部分から胞子を飛ばしています。雌器托に毛が生えていることが名前の由来です。

2018.05.28

4月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が4月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

4月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。
 1.ヤマガラ     12羽
 2.ウグイス     9羽
 3.ヒヨドリ     23羽
 4.ハシボソガラス  2羽
 5.エナガ      4羽
 6.カワラヒワ    3羽
 7.メジロ      5羽
 8.シジュウカラ   6羽
 9.ハシブトガラス  18羽
10.コゲラ      2羽
11.ビンズイ     3羽
12.ツグミ      2羽
13.ツバメ      2羽
14.トビ       1羽
15.ホオジロ     3羽
16.トラツグミ    2羽
17.オオルリ     4羽
18.スズメ      3羽
19.キセキレイ    1羽
20.アオゲラ     2羽
21.キビタキ     2羽
22.イカル      1羽
23.カルガモ     2羽
24.コジュケイ    1羽
25.ガビチョウ    1羽
【特記事項】
1.第二オークヒルに居るウグイスは、昨年と同一個体と思われる。
 初年度の囀りは「ホ~フィ」、昨年は「ホ~ホフィッ」「ホ~ホケキョ」と囀った。今年は昨年と同じ囀りをした。
2.第二オークヒルとヒノキの植林地の境から漂鳥のトラツグミが2個体飛び出してきた。
 なかなか目にすることができないトラツグミだが、この冬は三島市の源兵川と境川・清住緑地の2カ所でも見る事が出来た。
3.27日に冬鳥のツグミ、漂鳥のビンズイが確認された。両種ともに繁殖地に帰るのが遅いと思われる。
4.ランの仲間のエビネ、キンラン、ギンランが咲いていた。

2018.05.25

タチツボスミレ

 タチツボスミレが閉鎖花をつけています。つぼみのように見えますが、このまま花が開くことなく受粉が行われ、種子がつくられます。


 ふつうの花では、昆虫などに花粉を運んでもらうため、うまく受粉に成功しなければ種子をつくることはできません。しかし、閉鎖花では下の写真のようにほとんど受粉に成功し、種子をつけているようです。


 今日は創立者聖マグダレナ・ソフィアの祝日です。彼女は特にスミレの花を好んだといわれています。残念ながら今の時期に紫色の可憐な花を見ることはできませんが、花期の終わりに閉鎖花をつけて確実に子孫を残すスミレの姿を見ることができます。

2018.05.22

アカガネサルハムシ

 共生の森の近くにあるサクラに、タマムシを小さくしたような美しいハムシがいました。アカガネサルハムシといってブドウの葉を食べる害虫として有名だそうです。写真を撮ろうとした瞬間、地面にポトリと落ちてしまいました。


 ブドウの葉を食べるハムシがサクラにいたことが不思議でしたが、よく見ると、サクラにはブドウ科のツタが巻き付いていました。おそらくこれを食べていたのだと思います。
 共生の森はもともとブドウ畑でしたので、この美しいハムシはかつて農園の方々を困らせる存在だったのかもしれません。

2018.05.18

コスギゴケとヒメスギゴケ

 オークヒルの道路わきにコスギゴケが群落をつくっています。スギゴケの仲間は植物体がスギの枝のように見えることが特徴です。コケ植物のセン類の代表として紹介されることも多いです。

 近くに雄花盤をつけた群落もありました。肉眼での観察では同じコスギゴケに見えましたが、非常によく似たヒメスギゴケである可能性が高いです。


 スギゴケの仲間は葉の表面に薄板という細胞が積み重なった板状のつくりがあることも大きな特徴です。コスギゴケは薄板の先端の細胞が横に広がっていて、ヒメスギゴケは横に広がらずやや凹むことがあるという違いがあります。下の顕微鏡写真を比べると、やはりコスギゴケとヒメスギゴケだろうと思います。