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フィールド日記

2016.07.09

夏休み子供自然体験教室のコースの下見  キマダラカミキリ  ウスバキトンボ

 7月8日に夏休み子供自然体験教室のコースの下見を生徒スタッフと行いました。予期せぬ出会いに恵まれた下見でした。
中学2年生が見つけたノコギリクワガタです。原因はよくわかりませんが、不二聖心で見られるノコギリクワガタの個体数はこの20年でかなり減少しました。久しぶりの出会いです。


次は高校1年生が見つけたキマダラカミキリです。ビロード状の翅の光沢が特徴的なカミキリムシです。一行を出迎えるかのように樹上から落下してきました。


キマダラカミキリを観察する生徒スタッフたちです。

枯れ葉や枯れ枝に同化するキマダラカミキリの見事な擬態に驚いていました。


何と言っても圧巻はウスバキトンボの群舞でした。百近いウスバキトンボが空を舞う姿に生徒スタッフは感嘆の声を挙げていました。
次の画像は翅を休めるウスバキトンボです。


今日のことば

テレビで夏の甲子園を見ていると、画面の片隅にチラチラとトンボの姿が映し出される。トンボの番組ではないのでピントぴったりとはいかないが、トンボを知る人ならウスバキトンボとわかるだろう。ボントンボ、ショウリョウトンボなど、お盆にちなんだ別名が各地に残っている。お盆の頃によく目に付くことに加えて、漂うような独特の飛翔ぶりにもよるのだろう。赤道を中心とした広い地域に分布する、唯一の世界共通種でもある。実はこのトンボ、海洋渡来の習性をもっていて、沖縄などの南の暖かい地方で越冬したものが、春に日本本土まではるばる飛んでくるのだ。                            杉村光俊

2016.07.03

ニイニイゼミの抜け殻

 ニイニイゼミの抜け殻を二つ、確認しました。確実に羽化が進んでいるようです。関西ではクマゼミの羽化が例年より早いという話を聞きました。それぞれの蝉の羽化の時期を記録することも重要な環境指標になりそうです。ちなみに、芭蕉の「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の蝉はニイニイゼミだと言われています。


今日のことば

岩に爪たてて空蝉泥まみれ   西東三鬼

2016.07.02

母鹿と子鹿

 母鹿が子鹿に母乳を与えていました。撮影したのは18時過ぎ、ちょうど空腹をおぼえる頃なのかもしれません。

今日のことば

子が食べて母が見ているかき氷     森澄雄

2016.06.25

6月の野鳥の調査  キビタキ  ホオジロ

 日本野鳥の会の滝道雄先生と6月の不二聖心の野鳥の調査を行いました。今日、確認できた野鳥は以下の通りです。

 1キセキレイ   1
 2ツバメ     11
 3シジュウカラ  7
 4キビタキ    3
 5ヒヨドリ    24
 6メジロ     5
 7ホオジロ    4
 8ハシブトガラス 5
 9ガビチョウ   7
 10ウグイス   7
 11オオルリ   2
 12ホトトギス  1
 13ヤマガラ   6
 14カワラヒワ  2
 15スズメ    1
 16ハクセキレイ 1
 17コゲラ    1

キビタキはこの夏、最も美しい声で鳴いていました。残念ながら姿をカメラでとらえることはできませんでしたが、代わりにこの夏、裾野市で撮ったキビタキの写真を載せておきます。


高3の教室から見えるイロハモミジの大木に餌をくわえたホオジロのオスがとまっていました。こちらの気配を察して巣に餌を運ぶのを躊躇していましたが、近くに巣があることはほぼ間違いありません。


今日のことば

ほととぎす瑠璃の御堂の若楓若葉ゆるがせてひた啼きになく    川村多実二

2016.06.22

トウキョウウズクモの円網

 お茶畑で地面と水平に張られたクモの円網を見つけました。適度に存在するクモの巣は茶畑の害虫をとらえ、生態系をバランスよく保つことに貢献しています。


この円網を張っているのは体長約4ミリの小さなクモです。専門家の同定により、このクモはトウキョウウズグモ属の一種でヤマウズグモかエゾウズグモであることがわかりました。「ウズ」はもちろん円網の中心の渦模様に由来します。

さまざま生き物が生息する6月のお茶畑です。


今日のことば

仏性は白き桔梗にこそあらめ    夏目漱石

2016.06.17

ホタルブクロ

 ホタルブクロはキキョウ科の多年草です。本館の裏には毎年同じ場所で花を咲かせるホタルブクロがあります。昨日はまだ蕾でした。

今朝、開花を確認しました。


来年は何日に開花するか、今から楽しみです。

今日のことば

ながれにそひて 咲きいでし
ほたるぶくろを あはれめど
摘みがたかりき 岸遠く
流れを越えんすべをなみ
                  佐藤春夫「路傍の花」より

2016.06.14

ナガコガネグモ  ササグモ

 ナガコガネグモの幼体が巣を張っていました。コガネグモの仲間は巣の中心に隠れ帯(白い糸の装飾)を持つことで知られています。装飾の仕方は種類によって異なります。ナガコガネグモは幼体でも立派な隠れ帯を持っていました。


近くにはササグモがいました。ササグモは巣を張らず、俊敏さを生かして獲物をとらえます。杉林の害虫のスギタマハエを駆除するために林に大量のササグモが放たれたということがかつてありました。


今日のことば

生きることが、大切なのだと思う。生きるとは、毎日のすべての瞬間を、愛しつくしてゆくことである。  
須賀敦子


2016.06.11

小さな親切運動  モリアオガエルの高所の卵塊

 静岡銀行裾野支店の関係者の皆様が「小さな親切運動」の一環として「共生の森」の整備をしてくださいました。

「共生の森」の看板の古くなった支柱を竹製(竹は不二聖心産)の支柱に変えてくださいました。


シイタケの榾木を本伏せする支柱も竹で作ってくださいました。

これが今日収穫されたシイタケの一部です。季節外れのシイタケが収穫できることは、この環境がいかにシイタケ作りに適しているかを表しています。


今日は一つ大きな発見がありました。かつてない高所でのモリアオガエルの産卵を確認したのです。卵塊のある位置は地上から約8メートルほどの場所です。赤丸の中心に卵塊があります。




今日のことば

落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう

美しい
願いごとのように

黒田三郎

2016.06.05

ゴミグモの巣

 「共生の森」でゴミグモの巣を見つけました。
ゴミグモは巣の中心に線状にゴミを集めることで知られています。



よく見ると、そのゴミの中心にゴミに擬態しているゴミグモを見つけることができます。


今日のことば

ルッペルツホーフェン博士は、このほかずいぶんおもしろい仕事をしている。それは、クモを使って森林を保護しようというもので、博士はこの方面の開拓者といっていい。(中略)森林学者に興味があるのは、どういう網をクモがかけるか、という点である。車輪状の網をかけるクモが、いちばん役に立つ。この種のクモがかける網のうちには、目のとても細かいのがあり、空中を飛ぶ虫という虫がひっかかってしまうからなのだ。  『沈黙の春』(レイチェル・カーソン)より

2016.06.03

幻のアジサイ シチダンカ

 今年も中学校校舎横の中庭でシチダンカが美しい花を咲かせています。シーボルトが『日本植物誌』に記載して以来、約130年、その存在が確認できなかったシチダンカが1959年に兵庫県の六甲小学校の荒木慶治先生によって発見されました。その後、挿木によって全国にこのアジサイは広まりました。不二聖心にもいずれかのルートで伝わり植えられたものと思われます。
不二聖心の裏門を出たところには、『日本植物誌』に含まれる珍しい植物としてケンポナシの大木があります。今年の7月には高1の総合学習で新たに生徒がケンポナシを植える予定もあります。他にもシーボルトゆかりの植物はあり、いずれシーボルトゆかりの植物ツアーができるようになるかもしれません。

今日のことば

詩と科学とは同じところから出発したばかりではなく、行きつく先も実は同じなのではなかろうか。      湯川秀樹