フィールド日記
2013.11.05
ウラナミシジミ
マメ科の植物に卵を産むことで知られるウラナミシジミが「共生の森」の近くにたくさん来ていました。マメ科の植物の中には人間によって栽培されているものも多く、農業の変遷とウラナミシジミの分布の変化は分かちがたく結びついていると言われます。翅についている尾状突起を触角に見せることで攻撃されても致命傷を負わないように擬態していると考えられています。翅の模様は目玉に似せているということです。
今日のことば
無理にプラスに考える必要もなければ、奇跡を信じることもない。あるがままでいいのです。
帯津良一
2013.11.02
オオスズメバチとヤマトシジミ
オオスズメバチが瀕死の状態で横になっているのを見つけました。どうやら働きバチとしての仕事を成し遂げ一生の終わりの時を迎えているようです。今日は秋のつどいの準備をしている時に、別の場所でも同じようなスズメバチの姿を生徒と一緒に観察しました。
「共生の森」では元気に吸蜜するヤマトシジミをたくさん見かけました。オオスズメバチのような暴れん坊が意外に早く生命力を失い、弱々しく見えるヤマトシジミが意外に活動的であり続けることを不思議に思いますが、大より小が予想外にたくましいという例は自然界に多いような気がします。
今日のことば
人間はみんな、生きることが下手だ。
どんなに幸せに生きている人でも、どこかしら下手くそだ。生きることに上達する人もいない。生まれてから死ぬまで、誰もがみんな下手で下手で下手で、下手なまんまで生きてゆくのだ。
宮部みゆき
2013.11.01
ヒヨドリジョウゴとマルバノホロシ
「共生の森」の周辺でヒヨドリジョウゴとマルバノホロシの実を見ることができます。同じナス科で実の形も色もよく似ていますが、ヒヨドリジョウゴはごく普通に見られる種でマルバノホロシは複数の県で絶滅危惧種に指定される希少種となっています。
こちらがヒヨドリジョウゴの実です。ヒヨドリが好きだからヒヨドリジョウゴと名付けられたという説がありますが、今朝もよく鳴いていたヒヨドリが関心を示す様子はありませんでした。
こちらがマルバノホロシです。
今日のことば
生きる意味を納得する言語を、現代は必死に探しているように思います。それは混乱していた戦後よりも、もっと激しい気がします。
園田善昭
2013.10.30
セスジツユムシの褐色型
牧草地でセスジツユムシのメスに出会いました。セスジツユムシの褐色型は比較的珍しいとされており、不二聖心でも初記録となります。セスジツユムシとツユムシはよく似ていて、背中の模様や産卵管の形で二種を見分けます。自然度のより高いところに生息すると言われるセスジツユムシが不二聖心にいるという事実は、不二聖心の環境の良さを表しています。
今日のことば
弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証しだ。
ガンジー
2013.10.28
ノブドウの実
裏道のノブドウの実の写真を撮りました。野の宝石と呼びたいような美しい実です。宮沢賢治は、童話「めくらぶどうと虹」の虹がノブドウに語りかける言葉の中で、「まことのちからが、これらの中にあらわれるときは、すべてのおとろえるもの、しわむもの、さだめないもの、はかないもの、みなかぎりないいのちです。」と表現しました。賢治の残した言葉の中でもとりわけ美しい言葉です。
今日のことば
うつくしい自然よ
どうしたら どうしたら
あなたのうつくしさに
つり合えるだろう
くつを脱いで わたしははだしになってみた
森のしずけさ
風にたわむ 枝のやさしさ
ひと知れずみのる野ぶどうの
思いのゆたかさ
どうしたら つり合えるだろう
うつくしい自然よ 自然よ
わたしはひねもすだまっていた ことばを捨てて
新川和江
2013.10.27
ツマグロヒョウモンの幼虫
牧草地でツマグロヒョウモンの幼虫を見つけました。かつては温暖化指標の昆虫と言われたツマグロヒョウモンもすっかり不二聖心のフィールドに定着してしまいました。成虫は、名著『海をわたる蝶』(日浦勇・講談社学術文庫)に使われるほど、美しい蝶ですが、幼虫の姿は独特です。
今日のことば
わたしは その手が好きです
ただ毎日をまっすぐ生きて
わたしたちを育て旅立たせてくれた
あなたの その手が好きです
福山雅治
2013.10.24
ニホンザル
久しぶりに聖心橋の近くでサルの家族に出会いました。10頭近くの群れで行動していました。不二聖心のサルをよく知っている方の話では、雨の日の前にはよくサルが出るということでした。台風の接近とサルの行動は何か関係があるのかもしれません。
今日のことば
おまえらはガキだ。ガキにはガキにしかできないことがある。
『バッテリー』(あさのあつこ)より
2013.10.23
サラシナショウマ
裏道のサラシナショウマの蕾が膨らんできました。
サラシナショウマは、葉が悪臭を放ち、山菜として利用する時には、水にさらす必要があるところから「サラシナ」という名前がつけられ、「ショウマ」は薬草であることを示す「升麻」の意味を持っています。
サラシナショウマは、さまざまな薬効を持つ植物で、その含有成分についてもさまざまな研究がなされてきました。50年以上前にサラシナショウマの研究を行った草野源次郎先生は、平成2年に研究を再開しましたが、その時にサラシナショウマの自生地が激減したとお感じになったそうです。それから23年、サラシナショウマの自生地はますます少なくなっていることでしょう。不二聖心の裏道では幸い、毎年サラシナショウマを見ることができます。この自生地を大切にしていきたいものです。
今日のことば
草むらにすとんと落ちる夕づく日こともなげなる偉大な定め 柳澤桂子
2013.10.21
クサギの実とスッポンタケ
裏の駐車場のクサギの木が実をつけました。クサギは、葉に独特の臭気があることから臭い木という意味で「臭木(クサギ)」と名付けられましたが、秋に見られる実にも独特の美しさがあります。
2013.10.20
チドメグサとオンブバッタ
「共生の森」の周辺ではたくさんのチドメグサを見ることができます。この植物は、止血作用があることから血止草(チドメグサ)と名付けられ、薬草として利用されてきました。チドメグサと一緒にオンブバッタが写っています。上がオスで下がメスです。雌雄で大きさが全く違います。
今日のことば
真の文明は山を荒さず川を荒さず村を破らず人を殺さざるべし
田中正造