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フィールド日記

2011.06.09

バイマーヤンジンさんのコンサートと中学3年生の「不二聖心の新しい博物学」の調べ学習

平成23年6月9日 木曜日

 今日はバイマーヤンジンさんのコンサートが裾野市民文化センターで行われました。今日のコンサートの
プログラムの挨拶には山本滉校長先生の次のような文章が載っていました。

 待ちに待ったバイマーヤンジンさんのコンサートです。
昨年6月18日に、声楽家バイマーヤンジンさんに講演をして頂きました。お話に講堂全体が感動に包まれ、
涙する生徒も多くいました。最後にバイマーヤンジ ンさんはチベットの歌を一曲歌って下さいました。
ああ、その歌声の素晴らしかったこと。その日のうちに是非コンサートをお願いしようと決めました。
バイマーヤンジンさんの歌はもちろん、人間性、生き方からそれぞれが多くのことを感じ、
自分自身の生き方を真剣に考える機会となるでしょう。

 東日本大震災の被災地の復興を願ってバイマーヤンジンさんの「祈りの唄」で始まった今日のコンサートは、校長先生の期待通りのコンサートとなりま した。バイマーヤンジンさんの歌声の美しさと声量の豊かさに圧倒されるとともに、そのお話から多くのことを学びました。実は今日のコンサートには一曲、曲 目の変更が
ありました。バイマーヤンジンさんは、どうしても「我は海の子」を歌いたいとおっしゃったのです。
過去に東北を何度も訪れ、陸前高田市の海の美 しさに深く感動した経験を持つバイマーヤンジンさんは、
海のないチベットで育った方です。だからこそわかる海の素晴らしさがあり、私たちはバイマーヤンジンさんの話を通して改めて海の素晴らしさを知り、日本の自然を見直すことができました。和歌山の白浜の海の水を
5年間、仏前に供え続けたバイマーヤンジン さんのお母様の話を私たちは忘れることはないでしょう。
海への思いを込めた歌は、復興への祈りの歌でもありました。間違いなくバイマーヤンジンさんの歌声は美しく、その声量は豊かで聴く人の心を圧倒します。しかし、何よりも素晴らしいのは、バイマーヤンジンさんの
歌の精神性の深さではないかと今日改めて思 いました。


バイマーヤンジンさんに私たちから歌の贈り物をしました。曲目は、With Christ。祈りの歌で始まり、
祈りの歌で終わったコンサートでした。私たちの贈り物のお返しとしてバイマーヤンジンさんは
不二聖心の校歌を歌って下さり、私たちも一緒に歌って会場が一つになりました。
バイマーヤンジンさんのお心に感謝の思いあふれる素敵な時間でした。


今日は、中学3年生の国語の授業で「不二聖心の新しい博物学」という調べ学習をしました。
国語の教科書で学習した池内了の「新しい博物学の時代」という文 章をふまえて、
生徒が不二聖心の中に生息する動植物の写真を撮り、その動植物について理科系と文科系の両面から
レポートするという調べ学習です。さまざま な発見のある充実した2時間となりました。
下の写真は、薩摩紅梅についたテントウムシの幼虫と蛹と餌のアブラムシを観察する中学3年の様子です。

2011.06.09

トベラとユキノシタとモリアオガエルの卵

平成23年6月8日 水曜日

 正門近くの今日の様子をご覧に入れましょう。
下の写真の花は、トベラです。正門の手前のトベラの木にたくさんの花がついています。トベラは、
枝葉を切ると悪臭を発するため、節分には魔除けとしてイワシの頭などとともに家の扉に飾られました。
そこから「扉の木」と言われるようになり、それが変化して「トベラ」となったようです。


次はユキノシタです。
今年もたくさんのユキノシタが正門近くの石垣のところに咲いています。今、不二聖心で見られる花のなかでも
特別な趣を感じさせる花です。花弁は5枚で、上の3枚は小さく下の2枚は大きいというのもユニークです。


昼食後に職員室で仕事をしていたら、中学3年生の生徒に「先生来てください」と呼ばれました。
あとをついていってみると、築山の池の近くの道にモリアオ ガエルの卵が落ちていました。
中3の生徒は何とかして卵を助けたい一心で職員室まで呼びに来てくれたようです。
木の枝に産み付けられた卵がどうして道の上 にあるのか。どうやら鳥に運ばれて食べられてしまったようです。
絶滅危惧種のモリアオガエルはこうして益々数を減らしていくのでしょう。
カエルにとっては 気の毒な出来事でしたが、生徒の優しい気持ちに触れることができたのはうれしいことでした。

2011.06.07

ジャコウアゲハ

平成23年6月7日 火曜日

 昼食後に職員室で仕事をしていたら「先生、来てください」と高校1年生に呼ばれました。
あとをついていったところ、講堂脇の道の上にジャコウアゲ ハがとまっていました。ジャコウアゲハは、
幼虫の食草であるウマノスズクサが激減しているために徐々に数を減らしつつあると言われているチョウです。
この貴重なチョウを今日はじっくり観察することができました。

 

 貴重な生物を生徒たちとともに観察する時間はかけがえのない時間です。
 


顔つきがユニークだという感想が生徒から聞かれましたので、正面からの撮影もしてみました。

2011.06.07

わたしの主張裾野市大会とアザミ

平成23年6月6日 月曜日

 6月5日(日)、裾野市民文化センターで第30回わたしの主張裾野市大会が行われました。本校からは、
中3渡会いくみさん、高1服部真歩さんが出 場しました。二人とも大舞台でも緊張することなく、
日常の経験や社会問題について、落ち着いて丁寧に発表することができました。
聞きに来て下さった奨学会役員の方々、保護者の皆様、ありがとうございました。


  今週は晴天の気持ちの良いスタートとなりました。生徒は中間試験に真剣に取り組んでいます。
自然界の花々も明るい光を受けて生き生きと輝いていました。

2011.06.05

柿の花とナキイナゴとコバネヒメギス

平成23年6月5日 日曜日

 今日は、「世界環境デー」でした。
不二聖心のフィールドでは、ヤマガラやウグイスが元気よく囀り、今年はじめてホトトギスの声も確認することができました。
キャンプ場の柿の花の下はマルハナバチの羽音でにぎわっていました。柿の花は、花の入り口から蜜のある
位置まで距離があるため、花の中にうまく潜り込め る特定のハチしかその蜜を吸うことができません。
秋の実がなった柿の木も風情がありますが、今の季節の花をたくさんつけた柿の木もすばらしいです。


キャンプ場を通ってススキ野原を横断してみましたが、ススキ野原を覆うようにあちこちで鳴いていたのが、
ナキイナゴです。もうこんなにもナキイナゴの声 が聞かれる季節になったのかと驚きました。ナキイナゴの場合、コオロギやスズムシのように翅と翅を擦り合わせて音を出すのではなく、後ろあしと前翅を擦り 合わせることで音を出します。不二聖心のススキ野原では、ナキイナゴが後ろあしを忙しくふるわせる様子もつぶさに
観察できます。


ススキ野原で今日目についたバッタ目の昆虫としては他にコバネヒメギスがいました。
かつてないほどたくさんのコバネヒメギスを目にしました。 

 少し歩いただけでこんなにもたくさんの生き物と出会える不二聖心の自然環境をこれからも大切にしていきたいと「世界環境デー」に強く思いました。

2011.06.04

オオイシアブとアシナガムシヒキ

平成23年6月4日 土曜日

人間に忌み嫌われているけれども実は人間の役に立っている、そういう生き物が自然界にはたくさんいます。
アブの仲間もその一つでしょう。
今日は不二聖心で今の時期に既に活動を始めているアブを紹介しましょう。
下の写真は、ハエ目ムシヒキアブ科のオオイシアブです。人間を刺したり体液を吸ったりするようなことはなく、農作物を荒らす虫を捕らえて体液を吸う益虫で す。京都府は、その存在が環境の自然度の高さを示す
環境指標生物としてオオイシアブを挙げています。顔面の中央に毛が生えているユニークな風貌が印象的です。「温情の灯」の碑の近くで撮影しました。

ムシヒキアブ科のアブをもう一種。アシナガムシヒキです。お茶畑の横の雑木林で撮影しました。獲物の体液を
吸いながら長い前肢を片方だけ挙げている姿をよく見かけます。まるで「やぁ」と挨拶をしているようです。

2011.06.03

畠山重篤さんとハナイカダ

平成23年6月3日 金曜日

6月1日の宗教朝礼で加納健介先生が、ご自身と気仙沼との関わりの話を通して、「受けるより与えるほうが
幸いである」という聖書のみことばについて 語ってくださいました。その中で5月12日に読売新聞に掲載された畠山重篤さんの文章が紹介されていました。畠山さんは気仙沼で牡蠣の養殖業をしつつ、森と海とのつながりの重要さについて伝える活動をなさってきた方です。「それでも海しかない」と題された文章の一節を次に引用します。

 我が舞根地区は52世帯中、44世帯が流されてしまった。最近のアンケートによると殆どの人が
舞根湾の見える高台にもどりたい、海辺に小舟を浮かべ、小漁をしたり、アワビやウニを採る生活に戻りたい
という。これだけ海に蹂躙されながら、海に怨みをもつ人はいない。私もその一人だ。

畠山さんは、5月の末には再び筏を海に浮かべ牡蠣の養殖を再開したいとお書きになっていました。
今週から6月に入りました。きっと気仙沼の海には畠山さんの筏がすでに浮かべられていることでしょう。

牡蠣の養殖に不可欠なのは、その稚貝を育てるための筏ですが、筏を名前に持つ植物が日本に一つだけあります。「ハナイカダ」です。葉の上に実をつける姿を 古人は筏に見立て「ハナイカダ」と名づけました。
5月5日に「不二聖心のフィールド日記」で紹介した不二聖心のハナイカダは皆見事に結実し、
いっそう筏らしくなった姿を見せています。

2011.06.02

高校3年生の短歌⑤とミヤマカワトンボ

平成23年6月2日 木曜日

先週詠まれた高校3年生の短歌を紹介します。体育大会の歌と試験に向けての歌が多く詠まれました。

大回旋流した涙は忘れない大切なのは友との絆
もう一度やりたいと思う体育祭ありがとみんな楽しかったよ
ドキドキと高鳴る心を落ちつかせ私の目の前みんなかぼちゃ
ありがとう勝っても負けてもこれだけはみんなに言おう私の気持ち
泣いた顔笑った顔や怒る顔いろんな顔が体育大会
最後だからはりきったのと笑う母ちょっとしょっぱいたまご焼き
競技がね終わるたびに涙する生涯最後の体育大会
ヨーイドン皆の心が一つになって空を見上げて綱を引く
体育大会終わったけれどどうしても来年まだあるそんな気がする
飛鳥時代強気の外交聖徳太子今の政治家も見ならいなさい
テスト前焦るあなたを目の前に私の焦りもさらに増してく
受験生悩みはいろいろあるけれど今にきっと良い思い出に
さぁやるぞ唇かみしめペン握り横目にちらちらご褒美のチョコ
次こそは次は次はと言いながら気づけば3回残りのテスト

昨日から6月に入りましたが、先月から今年もミヤマカワトンボの姿が不二聖心で見られるように
なってきました。「ミヤマ」は漢字で書くと「深山」と なり、このトンボは一般的に渓流に生息すると
言われています。ミヤマカワトンボがいるということは、不二聖心の近くに渓流に近い環境があることを
示してい ます。

2011.05.30

マイマイカブリ

平成23年5月30日 月曜日

高校1年生の教室に向かう階段にマイマイカブリがいました。
マイマイカブリはオサムシの仲間で、首の部分が長くなっていることが特徴です。餌であるカタツムリの殻の中に十分に頭を入れるために、このような姿に進化 したものと考えられます。漫画家の手塚治虫は、オサムシが好きであったことから「治虫」というペンネームをつけたと言われていますが、オサムシの中でも
特にこのマイマイカブリが好きだったそうです。

2011.05.29

モリアオガエルの卵②とアシナガバチの営巣④

平成23年5月29日 日曜日

台風2号の接近により、強い雨の降り続く一日となりました。
今日は、不二聖心の自然の様子について、2点確認したいことがありました。一つはモリアオガエルの卵が増えているかどうかということでした。降り続く雨が モリアオガエルの産卵を促しているのではないかという予感がありました。雨の日には天敵であるヘビが活発に行動できないからです。
予感は当たりました。金曜日には1つしかなかった卵塊が今日は5つに増えていました。


もう一つ確認したかったことは、この大雨の中、巣作りの真最中のアシナガバチの母親たちはどうしているのかということでした。驚いたことに母バチはみな雨 に濡れながら巣を守り続けていました。外敵の少ない雨天時は自分も雨宿りしてもいいのではないかと思いましたが、実は母親たちには巣を離れない理由があり ました。
下の写真を見てください。母バチが巣に口をつけているのがわかります。このあとハチはのけぞるような
かっこうをしました。するとみるみるうちに口 からハチの頭ほどの水滴があふれ出てきたのです。
つまり母バチは巣にたまった水を吸い込み、それを外に吐き出すことで、卵と巣を雨水から守っていたのでし た。