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フィールド日記

2011年10月

2011.10.20

アオドウガネ

平成23年10月20日 木曜日

 カネタタキやエンマコオロギの声が聞かれる秋らしい一日でした。
朝、図書館に行こうとして本館の前を横切った時に、ソテツの葉にアオドウガネがいるのを見つけ驚きました。
ソテツの葉の上というのも意外でしたが、それ より何より昨日の低温を経てなお温暖化指標の昆虫と言われる
アオドウガネがいたことに驚いたのです。アオドウガネはもともと静岡にはいなかった虫です。
それが温暖化とともに北上したと考えられているのですが、この時期まで見られるようになったのは
最近ではないのかと思います。

  今日のことば

わたしはダイヤモンドを首にかけるより、机をバラで飾りたい。

                     エマ・ゴールドマン

2011.10.20

クサギ

平成23年10月19日 水曜日

 クサギの実が萼に包まれている姿です。まもなく萼が開き、紺色に熟した美しい実が姿を現します。
温情舎の跡地には、クサギの群生地があり、さまざまな生き物をそこに招いています。


今日のことば

困難だから、やろとしないのではない。やろうとしないから、困難なのだ。  

                          セネカ

2011.10.19

シロスジベッコウハナアブ

シロスジベッコハナアブ

 平成23年10月19日 火曜日
早朝の駐車場でシロスジベッコウハナアブを見つけました。クロスズメバチの巣に寄生すると言われている
ハナアブです。クロスズメバチは地中に巣を作りま すが、その幼虫は珍味として知られています。
シロスジベッコウハナアブがいるということは、不二聖心のどこかにその珍味が潜んでいるということを
意味して います。

 


今日のことば

足のない人を見るまで、私は靴のないことを嘆いていた。

                    古代ペルシアのことわざ

2011.10.17

ニッポンマイマイ

平成23年10月17日 月曜日

 10月10日に採集したカタツムリの同定を専門家に依頼していたのですが、その同定結果が今日届きました。
ニッポンマイマイだということです。ニッポンマイマイは日本で最初に学名がつけられたカタツムリです。

 

今日のことば

自分のためだけに生きようとしたときは、ほんとうの意味で自分のいのちを生かしているのではない。

                               星野富弘

2011.10.16

お茶畑の池周辺の生き物たち -- オタマジャクシ・キボシカミキリ・ポポー --

平成23年10月16日 日曜日

 昨日の嵐が嘘のような気持のよい秋晴れとなりました。
お茶畑の池ではオタマジャクシがたくさん浮かんでいました。もう脚が生え始めています。
何ガエルのオタマジャクシか、調べてみようと思います。

 池の縁に生えているイチジクの木にはキボシカミキリがいて、木の幹をかじっていました。
キボシカミキリはイチジクの木を食害するカミキリです。
不二聖心のキボシカミキリは何代にもわたってこの木で世代交代を繰り返しています。

 池の近くのポポーの木は先日の台風で大きな被害を受けました。残り少ない実を理科の平本先生が
ネットで保護していたところ、先週ネットの中に実が落ちました。職員室で観察していたところ、
部屋中にポポーの香が広がりました。

 

                       今日のことば

 まだ、今すぐみなさんにできることがあります。まず自分の意識レベルを上げるような勉強をして下さい。
いい芸術に触れることをお勧めします。特に優れた文学を読みよく考えて下さい。
あなたの周囲の人の意識レベルを上げるような会話をして下さい。
私の生涯の残り時間は少なくなりました。神経も若い頃のように活発には働きません。
これからますます悪くなるでしょう。私の人生の終わりに際して、これから地球に生きる生物に、
これから生まれて来るものたちに幸せに暮らしてほしいと祈らずにはいられません。
まして私たちが木を切り倒し、地面を砂漠化し、たくさんの高レベル放射性物質を残してこの世を去る
などということはとても悲しいことです。私は病気でほとんど寝たきりですので、
病床で本を書くことしかできません。元気な皆さん、どうか力を貸して下さい。

                               『いのちと環境』(柳澤桂子)より

2011.10.16

お茶の花・オオスズメバチ・オオヒメノカサ

平成23年10月15日 土曜日

 しばらく前からお茶の花が咲き続けています。不二聖心の農園ではおそらく何十万という数のお茶の花が
咲くのだと思います。その一つ一つが何らかの生命を養っています。下の写真は朝7時過ぎに撮影しました。
まださすがに訪れる生き物は少なかったで すが、オオスズメバチだけは活発に活動していました。



 中学2年生が本館と寄宿の間の中庭で見つけてくれたキノコを専門家に同定していただいたところ、
オオヒメノカサというキノコであることがわかりました。芝生に生えることが多い仲間だそうです。
カサの真ん中に裂け目ができて穴が開いたようになるのもオオヒメノカサの特徴です。

今日のことば

生きること「辛し辛し」という君に甘栗をむきそっと差し出す

                        柳澤桂子

2011.10.14

オオセンチコガネとムネアカセンチコガネ --不二聖心の糞虫たち--

平成23年10月14日 金曜日

 高校3年生が、わざわざ職員室まで、つかまえたオオセンチコガネを持ってきてくれました。
姿の美しさにひかれたようでしたが、糞虫であると伝える と少々がっかりしたようすでした。確かに、
草食獣の糞を食べて生きる虫がなぜこんなにも美しい姿になるのか、不思議でなりません。
静岡高校出身の作家の三 木卓は「糞のような素材を用いてそこに燦然たる美が生み出されるというのは、
生が高度な秩序の創造というすばらしい営為であることをはっきりと示してい る。」といささか大げさな表現で、この不思議を表現しています。

 オオセンチコガネがたくさん見られるということは、
それだけ多くの草食獣が不二聖心に生息していることを示しています。

 今週は、高校1年生の教室のベランダでムネアカセンチコガネの死骸も見つけました。
こちらは県によっては絶滅危惧種に指定している希少種です。
昨年も理科室から本館への渡り廊下で採集しており、2年続けての発見となりました。

今日のことば

飢えた子の前で、文学は可能か。

             サルトル

2011.10.12

アオダイショウ・ニホントカゲ

平成23年10月11日 火曜日

不二聖心では今日から後期が始まりました。

 今日は校舎内に幼体のアオダイショウが迷いこんできました。成体のアオダイショウは写真のような
模様がありません。不二聖心で最もよく見られるヘビはシマヘビとアオダイショウですが、
シマヘビと比較するとアオダイショウは性格的にはずっと大人しいヘビです。

 昨日は裏門の近くでニホントカゲを見かけました。
不二聖心ではたくさんの種類の爬虫類を目にすることができます。

今日のことば

祈りを唱える人でなく、祈りの人になりなさい。

マザー・テレサ

2011.10.11

サネカズラ・キンケハラナガツチバチ

平成23年10月10日 月曜日

 今日も裏門の外に立つケンポナシの木のあたりからアブラゼミの鳴き声が聞こえてきました。
今週も気温は比較的高いということですから、明日も鳴くかもしれません。

 希少種のサネカズラが東名高速の近くで咲いていました。もう既に実もなっていました。

 最近、急にキンケハラナガツチバチのメスの数が増えてきたように思います。
今日は腹部の大きく膨らんだメスを何匹か見かけました。産卵の季節を迎えているのかもしれません。

 10月7日にフィールド日記で紹介したアカガエルはヤマアカガエルで間違いないだろうという
メールが専門家の方から今日届きました。そのメールには、同定結果に添えて
「校内でヤマアカガエルが生息しているのはすばらしいですね」と書かれていまし た。
ヤマアカガエルが見られるのは普通のことではないことを忘れないでいたいものです。

  今日のことば

いのちが 一番大切だと
思っていたころ
生きるのが 苦しかった

いのちより大切なものが
あると知った日
生きているのが嬉しかった

         星野富弘

2011.10.11

アブラゼミ・アオドウガネ・ツマグロヒョウモン

平成23年10月9日 日曜日

 今日の静岡新聞の1面に「CO2 20年間で45%増 インド、中国が急伸」という見出しの記事が載りました。
記事の冒頭の1文は次のようになっています。

 2010年の世界全体の二酸化炭素排出量は、1990年に比べて45%増え、過去最高の約330億トンに
達したとの報告書を、欧州連合の研究機関などが8日までにまとめた。

 45%という数字に背筋の寒くなる思いがします。地球温暖化についての議論をさらに活発にしていかないと
非常に深刻な事態を招きかねないでしょう。

 不二聖心では興味もセミが鳴いていました。ツクツクボウシに加えてアブラゼミまでもが裏門のところで
鳴いていました。午後にはヒグラシも鳴きました。

 

 アブラゼミが鳴いていた木の近くにはアオドウガネが2匹いました。アオドウガネは暖地系の昆虫です。
もともと西日本でしか見られなかった甲虫が10月の静岡でまだ活動を続けています。

 お茶畑ではツマグロヒョウモンの繁殖行動を観察しました。
ツマグロヒョウモンは最も有名な温暖化指標の昆虫です。今も温暖化によって北上を続けていると言われます。
これらの小さな生き物たちが私たちに伝えようとしていることはなんなのでしょうか。それに対して
私たちはどう行動すべきなのでしょうか。それぞれが真剣に考える必要のある問いかけだと思います。

             今日のことば

今はあなたは問いを生きてください。
そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遥かな日に、
答えの中へ生きて行かれることになりましょう。

                           リルケ