フィールド日記

2011年09月

2011.09.30

メリケンカルカヤとツノトンボの幼虫・アザミとイチモンジセセリ

平成23年9月30日 金曜日

 9月24日に紹介した、メリケンカルカヤの茎に付いていたツノトンボの卵が孵化しました。
ツノトンボは宮城県で絶滅危惧Ⅰ類、千葉県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
今回はさらにもう一か所、別のメリケンカルカヤの茎でも孵化を確認しましたので、メリケンカルカヤの
産卵場所提供による希少種保護への貢献度もいっそう 高く評価しなくてはならなくなりました。
要注意外来生物と絶滅危惧種との関わりは、自然を見つめる私たちに複眼的思考を求めています。

 ここのところアザミにとまるイチモンジセセリの姿が毎日見られています。不二聖心の野は
開花を待つアザミの蕾にあふれています。そのことを思うだけでも心が豊かになるのを感じます。

 

      今日のことば

あなたは世の中をどうにもできません
あなたは自分の家族さえ変えられません
あなたが変えられるのはあなた自身だけです

                    葉祥明

2011.09.29

ホタルガ・シソの花・ヤママユガ

平成23年9月29日 木曜日

 昨日は天皇陛下が稲刈りをされたという記事を読みました。今朝は家のドアをあけてすぐに藁を焼く
煙の匂いを感じました。貴重な秋の風物詩です。
学校に来たら空をホタルガが舞っていました。6月25日にもホタルガを紹介しましたが、
その世代が産んだ卵が今月になって成虫になったようです。このようにしてホタルガは年に2回、発生します。

 気付いたらシソがたくさんの花を咲かせていました。そこにオオハナアブやキンケハラナガツチバチが集まり、
シソの花の周りは朝からたいへんにぎやかでした。目立たない花ではありますが、
実に多くの生物の命を養っています。

 夜、職員室で仕事をしていたらヤママユガが飛来してきました。ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」で、
主人公の「ぼく」がエーミールから盗んでしまうのは、このヤママユガの仲間の蛾です。

           今日のことば

学ぶとは心に誠実を刻むこと。教えるとはともに希望を語ること。

                         ルイ・アラゴン

2011.09.29

秋の雲・ヒガンバナ

平成23年9月28日 水曜日

 空を彩る雲の様子にも秋が感じられるようになってきました。

 築山の近くの彼岸花の写真を撮りました。図書館の花壇の白い彼岸花が咲き始めた頃にはまだ全く姿を
見せていなかった花です。今もまだ蕾が残っています。白と赤で開花の時期に差があるのか、
来年も引き続き開花の時期に注目していきたいと思っています。

                      今日のことば

神秘的生活の不思議の一つはこうである。人はけっして彼自身の最奥に入り、その中心を通りぬけて神へと
到達することはできない。彼が完全に自分自身からぬけ出て、みずからを空しくし、
無私の愛の純粋さのうちにみずからを他の人々に与えることができないかぎり。

                                     トマス・マートン

2011.09.27

富士山の初冠雪・アシダカグモ

平成23年9月27日 火曜日

富士山の初冠雪は9月24日でしたが、今朝の富士山を見ても雪が降った様子がよくわかりました。

 中学3年生の生徒が図書館に大きなクモが出たと教えてくれました。
確認してみたところアシダ カグモでした。
アシダカグモはさまざまな害虫を食べるので、益虫としてとらえることのできるクモです。
アシダカグモの子どもは体から糸を出して上手に風に 乗り遠くまで自分の体を飛ばすことで知られています。
いわゆる飛行蜘蛛と呼ばれるものですが、この飛行蜘蛛の話を実に印象的に使っているのが、
宮本輝の 『約束の冬』という小説です。

 

    今日のことば

私達の魂の故郷は静寂の国である。
魂の孕むすべての美しいものは、
この寂しさから生れ出て来るのだ。

                薄田泣菫

2011.09.26

ベッコウシリアゲ

平成23年9月26日 月曜日

今朝、ベッコウシリアゲの写真を撮りました。ベッコウシリアゲは、5月8日のフィールド日記で紹介した
ヤマトシリアゲムシとは別種であると考えられてき ましたが、最近では、ヤマトシリアゲムシの夏型であると
考えられるようになりました。昨日のキタテハと同じように季節によって姿を変えているということです。
シリアゲムシは、完全変態をする昆虫の中では最も原始的な種類で2億数千万年前から地球上に存在していたと
言われています。もしベッコウシリアゲをヤ マトシリアゲムシの季節型とするならば、四季の存在を前提として
季節型の発生を考える必要があります。いったいいつ頃からベッコウシリアゲが存在するようになったのか、
興味のあるところです。

 

    今日のことば

Honesty is such a lonely word
Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard
And mostly what I need from you

               Billy Joel

2011.09.25

キタテハ(秋型)

平成23年9月25日 日曜日

 昨日は富士山の初冠雪が確認されました。今日は、朝7時04分発の御殿場線に乗ったら暖房が入っていて
驚きました。季節の変化のあまりの速さに体がついていけていないように感じます。
しかし、自然界の生き物は季節の変化にしっかり対応しているようです。秋らしい気候になって秋の生物が
次々に活発な動きを見せ始めました。昨日はキタテ ハの秋型をこの秋はじめて観察しました。地色が濃くなり
翅の外縁の切れこみが鋭くとがるのが秋型の特徴です。季節によって、色だけでなく形まで変えてしまう
キタテハを見るたびに自然の不思議を感じます。

 今日のことば

あなたは教えてくれた
小さな物語でも
自分の人生の中では
誰もがみな主人公

        さだまさし

 

2011.09.24

アゲハチョウの幼虫・ツノトンボの卵・シロスジメイガ

平成23年9月24日 土曜日

 さわやかな秋晴れの一日となりました。
台風の影響がまだあちこちに残っていますが、一つうれしいことがありました。校舎の裏のミカン科の木にいた
アゲハチョウの幼虫が生き残っていたのです。 9月19日のフィールド日記で紹介した2匹のうち、
残念ながら大きい方の幼虫の姿は見当たらず嵐を乗り越えられなかったようですが、
小さい方はしっかり生存を続け、今日も元気に採食する姿が見られました。

 

 驚いたのはツノトンボ卵を発見したことです。台風15号が通過した時、産卵が終っていたのかどうか
定かではありませんが、いずれにしても、成虫か卵が台風を乗り越えたということになります。
産卵場所を提供しているのはメリケンカルカヤという要注 意外来生物で日本の自然の生態系に
大きな影響を与えており、不二の自然も一部でメリケンカルカヤの多大な影響を受けています。
しかし、ツノトンボのような希少種に産卵場所を提供していることを考えると悪者扱いばかりもしていられない
のかと少し考えてしまいます。

ツノトンボの卵の近くでシロスジメイガに出会いました。こちらは普通種ですが、
よく見るとなかなか美しい姿をしています。


  今日のことば

私は不思議でたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀にひかつてゐることが。

私は不思議でたまらない、
青い桑の葉食べてゐる、
蚕が白くなることが。

私は不思議でたまらない、
だれもいぢらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。

私は不思議でたまらない、
誰にきいても笑つてて、
あたりまへだ、といふことが。

             金子みすゞ

2011.09.24

ノダケ・アオドウガネ

平成23年9月23日 金曜日

 今日は、上着を着ていても暑くないほど気温が下がりました。昨日までの暑さがうそのようです。
18時以降に職員室で仕事をしていたらマツムシの声が聞こえてきました。だんだん鳴き声は大きくなり、
やがて絶え間なく聞こえるようになりました。絶滅危惧種の声を思う存分味わうことのできる贅沢な時間です。

ノダケが咲き始めました。古くから薬草として利用されてきた植物で、根を煎じて飲むと解熱、発汗、鎮咳の
効能があると言われています。

昨日、ハナムグリがいたところに今日はアオドウガネがたくさん来ていました。10個体近くを確認できました。

 今日のことば

ゆっくり生きよう
自分を取り戻すために
ゆっくり生きよう
心の声を聞くために

    ドロシー・ロー・ノルト

2011.09.23

アミガサハゴロモ・ハナムグリ

平成23年9月22日 木曜日

 台風15号が去り、これで少し残暑もやわらぐということです。
生き物の世界はこの一日でだいぶ様変わりしたように感じます。
今朝、台風の影響を確認しながら裏道の様子を見てみたところ、クズの葉の上にたくさんのアミガサハゴロモが
いました。本来カシ類につくアミガサハゴロモがクズの葉の上にたくさんいるというのは、
初めて見る光景でしたが、台風と何か関係があるかもしれません。

 東名高速沿いの道に生えるイタドリの花にたくさんのハナムグリが来ていました。
裏の駐車場の 近くの道ではコアオハナムグリがたくさん見られます。この違いは、環境の高低差によるのか、
植生の違いによるのか、あるいは全く他の要因があるのか、生き 物についての疑問はつきることがありません。

 

今日のことば

人間の自由とは、諸条件からの自由ではなくて、それら諸条件に対して自分のあり方を決める自由である。

ヴィクトール・E・フランクル

2011.09.21

月下美人・コアオハナムグリ・オオハナアブ・『不二の自然3』

平成23年9月21日 水曜日

台風15号の影響で学校は休校となりました。
今日は、最近、撮影された写真から不二の自然を紹介します。

まず9月15日に司書の袴田あゆみ先生によって撮影された月下美人です。
21時過ぎに撮影されたもので、花はかなり満開に近づいています。図書館の花壇の近くで咲いていました。

 次は、ヒヨドリバナに来たコアオハナムグリの写真です。9月19日に雑木林の横の道で撮影しました。
よく見ると体の表面にたくさんの毛が生えています。
この毛に花粉が付くことでヒヨドリバナの受粉を助けています。

 ヒヨドリバナには他にもたくさんの虫がやってきます。下の写真はオオハナアブです。
ハチに擬態していますが、顔つきはどう見ても双翅目(ハエ目)です。

 不二聖心女子学院の自然を30枚の写真と文章で紹介した小冊子『不二の自然3』が完成しました。
9月23日(金)に小中学生とその保護者を対象とした学校説明会が行われますが、
そこにいらした方には、この冊子をさしあげます。

   今日のことば

優か劣か、
自分はいわゆるできる子なのか
いわゆるできない子なのか、
そんなことを
教師も子どもも
しばし忘れて、
学びひたり
教えひたっている、
そんな世界を
見つめてきた。


教師も子どもも
学びひたり
教えひたっている
それは優劣のかなた。
ほんとうに持っているもの
授かっているものを出し切って、
打ち込んで学びひたり
教えひたっている
優劣を論じあい
気にしあう世界ではない。


成績をつけなければ、
合格者をきめなければ、
それはそうなのだ。
今の日本では
教師も子どもも
力のかぎりやっていないのだ
やらせていないのだ。
優劣のなかで
あえいでいる。


学びひたり
教えひたろう
優劣のかなたで。

           大村はま