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フィールド日記

2012.08.05

オトギリソウとその伝説

 

2012.08.05 Sunday

牧草地と雑木林にオトギリソウが咲いています。オトギリソウは古くから薬草として知ら
れ、今から千年以上前に活躍した晴頼という鷹匠は鷹の傷薬として使用していました。この
薬は秘薬され、オトギリソウから作る薬であることを晴頼は秘密にしていました。ところ
が、その秘密を晴頼の弟が洩らしてしまいます。怒った晴頼は刀で弟を切ります。花弁につ
いている黒い染みは、その時に飛び散った弟の血だと言い伝えられています。
オトギリソウに薬効があることは事実で、2004年には、松岡絵理香、町田浩一、菊地正雄
の三氏によって「オトギリソウの化学成分について」という論文が発表されています。

 

 
今日のことば

日本の自然を保護するとか、日本の生物を守るとかは、今日大きな社会問題となっている。
日本の生物相は、第三紀型生物と第四紀型生物の混合である。人間が活動を広げるにつれ、
放っておけば必ず衰退してゆく第三紀型生物の占める割合は、ヨーロッパや北アメリカにく
らべて大きいのではないか。島国という条件や、氷河時代の気候変動がおだやかであったと
いう歴史的条件によるものだろう。人間の繁栄が第四紀を特徴づけるものであり、それ故に
第三紀型生物の温存を否定するのが当然であるならば、それは時代の必然の方向である。そ
んなひ弱いものをいちいち守ってやる必要がはたしてあるのか、という意見を吐く人もある
だろう。しかし、本当に、われわれ庶民のひとりひとりの生活にとって、物質生活と精神生
活の双方で、第三紀型生物は不要な、余計なものだろうか。弱いものを切り捨てるという論
理は間違っており、守り育ててゆく必要がわれわれにはあるのだ、ということになれば、そ
のための自然科学での方策は、第三紀型生物の生活の実態を知ることで建てていかなければ、
成功はおぼつかないだろう。


日浦勇