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フィールド日記

2012.12.06

メジロの亡き骸  不二聖心のすすき野原が希少種の宝庫である理由

  2012.12.06 Thursday

 昨日は忘れがたい光景に二つ出会いました。一つは、中学校校舎の入り口の窓ガラスにぶつかって息絶えたメジロの姿です。生徒が次々に職員室に報告に来てくれました。メジロの死を心から悲しむ子どもたちの姿を見て本当に心の優しい生徒たちだと思いました。


 

 昼休みにメジロを森の土に返しに行きました。そこで思わぬ光景に出くわしました。不二農園の関係者の方々が広いすすき野原の草をすべてきれいに刈りとっていたのです。生物多様性を脅かす要素は「開発の影響」と「外来種の移入」と「人間の手入れの不足」だと言われます。絶滅危惧種の宝庫である不二聖心のすすき野原は、十分な「人間の手入れ」によって守られています。
農園の方に、刈り取ったすすきの束をどうするのかうかがったところ、茶畑に敷くということでした。
すすき野原を健全に保つために刈られたすすきが、茶畑を健全に保つことに役立っているということです。
来年も、再来年も、そしてまた次の年も、枯れたすすきはおいしいお茶を作るために役立ち続けることでしょう。
不二聖心の中だけで一つの持続可能な関係が成り立っているというのは素晴らしいことだと思います。


 

                今日のことば


私は人間的な感動が基底に無くて、風景を美しいと見ることは在り得ないと信じている。風景は、いわば人間の心の祈りである。私は清澄な風景を描きたいと思っている。汚染され、荒らされた風景が、人間の心の救いであり得るはずがない。風景は心の鏡である。庭はその家に住む人の心を最も良く表すものであり、山林にも田園にもそこに住む人々の心が映し出されている。河も海も同じである。その国の風景はその国民の心を象徴すると言えよう。
日本の山や海や野の、何という荒れようであろうか。また、競って核爆発の灰を大気の中に振り撒く国々の、0何という無謀な所業であろうか。人間はいま病んでいる。
母なる大地を、私達はもっと清浄に保たねばならない。なぜなら、それは生命の源泉だからである。
自然と調和して生きる素朴な心が必要である。人工の楽園に生命の輝きは宿らない。

                                      

                                  東山魁夷