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フィールド日記

2018.01.15

8頭のシカの群れ

 今朝、オムニコートの横を通過していくシカの群れの写真を撮りました。このシカたちは、お茶畑を抜けて、築山を通り、テニスコートの横を通って、グラウンドへと移動していきました。群れは8頭で構成されていたようです。

群れを作って行動するシカは、不二聖心の貴重な植物にも大きな被害をもたらしています。被害は不二聖心だけにとどまるものではなく富士山麓全体、いや日本全体に及んでいます。愛らしいシカを駆除するのは忍びないですが、生態系全体を守るためには害獣対策がどうしても必要になってきます。

今日のことば
シカが増えすぎたことによる影響は山全体におよび、その影響がシカ自身の生活の場を変え、さらにべつの生物どうしのつながりまで大きな影響をおよぼすのです。このようなことは、サルやクマではありません。クマは猛獣と呼ばれることがあるのに対して、シカは優美でやさしそうな動物と思われています。確かにそうですが、人間へおよぼす影響という点でいえば、シカのほうがはるかに恐ろしい動物なのです。ニュージーランドでは、増えすぎるシカ対策にとりくむことを「ディア・ウォーズ」つまり「シカとの戦争」と呼んでいるほどです。 
『野生動物と共存できるか』(高槻成紀)より

2018.01.14

キンランと歌会始

昨日の朝の雑木林の様子です。

近づくとキジバトが何羽も飛び立ちました。
この写真に写っている木はクヌギとコナラで、いずれもブナ科に属しています。天皇陛下は歌会始(お題「語」)で「語りつつあしたの苑を歩み行けば林の中にきんらんの咲く」という歌をお詠みになりました。この歌の「きんらん」は全国各地で絶滅危惧種に指定されている植物で、ブナ科の樹木ときんらんと菌根菌は三者の共生関係を築いていることで知られています。きんらんが減少したのは、手入れの行き届いた雑木林が少なくなったことと無関係ではありません。
次の画像は不二聖心の雑木林で5月に撮影したキンランの画像です。


今日のことば
語るなく重きを負ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ 皇后さま

2018.01.08

黄色いイロハモミジ

墓所から降りる道の途中に黄色いモミジの葉がたくさん落ちていました。

まるで舞い落ちたイチョウの葉のようでした。実はこれは、中学校校舎の中庭などでも見られるイロハモミジの葉なのです。周りの環境によって、普通なら真っ赤に紅葉するイロハモミジがこのように黄色くなることに驚きました。

今日のことば 
人いつか還る虚空に銀杏舞ふ   青野迦葉

2018.01.04

「共生の森」のナツグミ

「共生の森」に生徒が植えたナツグミが、年が明けてもたくさんの実をつけています。食べると甘い味がしますが、多少の渋みがあります。どうやら鳥たちはこの実をあまり好まないようです。かつて「共生の森」の樹木はほとんどが鹿の食害で枯れてしまいましたが、ナツグミだけは鹿がその葉を好まないことで生き残りました。葉を鹿に嫌われ実を鳥に嫌われるナツグミは実にユニークな植物です。

今日のことば
自然を見るということは、その奥におられる神を見ることじゃないでしょうか。自然をじっと見ることで、少しでも神に近づくことができたら、と思いますね。
稲畑廣太郎

2018.01.01

カラスザンショウ

墓所の近くにある高木がたくさんの赤い実をつけています。この木の名前がどうしてもわかりませんでした。複数の専門家の方が、時間をかけて検討してくださった結果、ようやくカラスザンショウであるという結論に至りました。不二聖心の自然にはまだまだ未知の領域があることを痛感しました。今年も不二聖心の植物相をさらに詳細に明らかにできればと思います。

今日のことば
カヤノが持つ大切なものを本当に必要としている人にあげなさい。カヤノが必要としているものは、カヤノが必要なときに、神様がちゃんと与えてくれるから。(永井隆が病床から愛娘に遺したことば)

2017.12.26

12月の野鳥の調査 チョウゲンボウ

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生から昨日の12月の調査の報告書が届きましたので転載します。

12月度調査結果
 1.シジュウカラ      5羽
 2.ヤマガラ        8羽
 3.ハシブトガラス    15羽
 4.ハシボソガラス     3羽
 5.ヒヨドリ       48羽
 6.アオジ                        2羽
 7.ツグミ        81羽
 8.キジバト       17羽
 9.ホオジロ        3羽
10.メジロ        10羽
11.ウグイス        5羽
12.ヒメアマツバメ     1羽
13.シロハラ        1羽
14.キセキレイ       1羽
15.ヒガラ         1羽
16.トビ          2羽
17.チョウゲンボウ     1羽
特記事項
 本日の調査で、新たに2種を確認できました。
1種はヒガラです。ヒガラは当学院より標高の高い
場所では見られますが、標高300m弱の所で
見られるのは珍しいです。
シジュウカラ、メジロと松の木で行動を共にしていました。
もう1種類はチョウゲンボウです。
ツグミの個体数をカウントしていると、2羽のハシブトガラス
に追われたチョウゲンボウが見られました。
綺麗に刈られたススキの草原に居る小動物を探しに来たところ
をカラスに見つかり追われているものと思われます。
チョウゲンボウは冬季には里で見られ、時には高い建物の軒先
などに止まっている事が有ります。
以上が報告書です。
チョウゲンボウの画像をウィキペディアより転載します。
今日のことば
夕鐘の晩鐘となり暮早し  上田正久日
クリスマスイブの夕方の不二聖心(イルミネーションと光の道はすべて不二聖心の竹で作られていました。)

2017.12.25

ツグミの飛来

日本野鳥の会東支部副代表の滝道雄先生と12月の不二聖心の野鳥の調査をしました。特筆すべきことは、今年初めてツグミの群れが確認できたことです。40羽以上で移動している群れもありました。群れがまだ維持されているということは、不二聖心に飛来してまだ日が浅いことを示しています。

調査結果の詳細は後日、報告します。
今日のことば
あなたの歌を読んで泣きましたと微笑みき手術する朝妻われに来て    菊地新

2017.12.18

木工作品アイデアコンテストの作品をチャリティーセールで販売

 高校1年生がクヌギの榾木(ほだぎ)に植菌したシイタケが「共生の森」で今年もたくさん発生しています。シイタケ栽培は、里山文化が育んだクヌギの木の有効利用の典型的な例です。



明日のクリスマスキャロル・チャリティーセールでは、高校1年生が間伐材の有効利用を目的としてデザインした木工作品がチャリティー品として販売されます。
こちらは木製のバインダーです。バインダーが木製の箱のフタになっていて箱の中には書類などを入れることができます。
こちらは木製のランプカバーです。中には電球もセットされています。
木工作品アイディアコンテストの授業の様子は独立行政法人教職員支援機構のホームページで紹介されました。
http://www.nits.go.jp/jisedai/achievement/jirei/jirei137.html
今日のことば
自分の五感で体感しながら、自分で感じ取る。その体験が、今とても求められている。そこが鍛えられていると、いろいろな発想ができて、問題解決につなげられる。人生は課題や問題にたくさん出合うものですから、その時にふんばれる力が大事です。そういう意味でも、自然の力は大きいですね。
小林朋道

2017.12.16

マユミの実

現在の大学3年生が高校1年生だった時に「共生の森」に植えたマユミの木が今年たくさん実をつけました。マユミは鹿がとりわけ好む植物のため、富士山麓でも多くのマユミの木が鹿の食害にあっています。この美しい秋の風景を守るためにも有効な鹿の駆除対策は不可欠です。





今日のことば
ある時期まで、人生は問うだけの厳しい教師のように思われた。しかし、今は少し違う。分からない、と正直に思いさえすれば、人生は豊かな光で道を照らし出してくれるようにも感じられる。そして光は、無音の声でこう語りかけるのである。あまり速く歩いてはならない。大事なものを見過ごすことになる。お前が失敗と呼ぶ出来事のなかに人生からの呼びかけが含まれているのを、聞き逃すことになる。
若松英輔

2017.12.09

クヌギの黄葉

校舎の裏のクヌギの葉が黄色く色づいています。

雑木林の代表的な木であるクヌギほど人々の暮らしと深い関わりを持ってきた木はありません。不二聖心でもかつては炭焼きの材としてクヌギが使われていました。初冬のクヌギはその黄葉の美しさで私たちの目を楽しませてくれます。
今日のことば
クヌギは昔から「苦をぬぐう木」という意味から、そう呼ばれるようになったんや。なんせ、はよ大きくなるし、カシなんかと変わらんほど質のいい炭がとれるし、木を切ってもまた芽がでてきて、スギやヒノキみたいに植え直さんでもええからな。手間のかからん木や。林には、アベマキもあるけど、やっぱりクヌギが幹の表面のコルク質の部分が少ないんで一番やな。
小谷利夫