フィールド日記
2014.05.09
卒業生の声とモリアオガエルの声
久し振りに不二聖心を訪れた卒業生が、教室から聞いたカエルの声が懐かしいと話してくれました。教室から聞こえたということは、おそらくそのカエルは希少種のモリアオガエルだと思います。モリアオガエルは樹上生活をするカエルで、木の枝に卵を産み付けることで知られています。
産卵の時期はまだ先ですが、5月3日にはその姿を池で確認することができました。
今日のことば
夏よ夏よ鳳仙花散らし走りゆく人力車夫にしばしかがやけ 北原白秋
2014.05.06
ハルジオンとヤブキリの幼虫
共生の森は今の時期、ハルジオンで覆われています。不二聖心の広いフィールドの中でも独特の風景です。切り開いた土地にいち早く進出する性質をハルジオンが持っていることが改めてわかりました。花の上にはヤブキリの幼虫が乗っていました。ハルジオンを中心に独特の生態系が形作られています。
今日のことば
桜が陽の中で散ってゆくさまを見ますと、花びらの一枚ずつが最後には光になってしまうようで、ああいう花はほかにあるでしょうか。
安田章生
2014.05.03
八十八夜の翌日の茶畑とキンラン
昨日が八十八夜でした。お茶畑の若葉は摘まれるのを待ちかねているように勢いよく茂っています。
お茶畑の肥料とするために不二聖心の雑木林は毎年、きれいに草刈りがなされます。そのおかげで稀少な植物が雑木林の林床に数多く残っています。今日はキンランの写真を撮ることができました。
今日のことば
詩を書きはじめたころ「さびしさを大切になさい」とある詩人にいわれたことがあります。「大切に」とはどういう意味なのか、私ははっきりつかむことが出来ませんでしたが、いま、その意味がわかったように思います。それは、さびしさを知る心を出発点にして、何かを創りだしてゆくことなのでしょう。
高田敏子
2014.05.01
森のネズミと出会う
今日はオリエンテーリング大会でした。
生徒全員が元気に競技を終えたあとで、ポストの撤収をしました。森の中でようやく見つけたポストを持って林道に出たとき、足元にネズミがいるのを見つけました。たとえようもないネズミの愛らしい表情に思わず見入ってしましてました。
今日のことば
みんな僕が虫自体に関心を持っていると思っているけど、そうではありません。虫ってものずこく背景があって、その背景を一言で「自然」もしくは「生態系」と言い換えてもいいけれども、そういうものの一種の象徴として、虫を見ているんですね。 養老孟司
2014.04.26
キジとキンラン
久しぶりにキジと出会うことができました。餌となる小動物の動きが活発になったためにキジも採餌に忙しい様子でした。
キジのすぐ近くの雑木林で、開花直前のキンランの写真を撮りました。今年もゴールデンウィークの頃には美しい花を咲かせてくれそうです。
キンランは菌根菌とクヌギとの三者の共生関係で知られ、全国各地で絶滅危惧種に指定されています。
今日のことば
植物にせよ、小鳥にせよ、又昆虫にせよ、私は其の姿を見て其の名を口にし、其の名によって其の姿を思い出せるようになりたい。それは彼等と一層親密な関係に入りたいが為である。(中略)無知は無縁の兄弟である。愛する事によって一層よく理解し、理解する事によって一層深く愛する事を学ぶのは、幸福の最も静かな又最も純なるものではあるまいか。
尾崎喜八
2014.04.25
アミガサタケ
今年も中学校舎の中庭で春を告げるキノコ、アミガサタケが発生しはじめました。例年より数が多いような印象を受けます。今年はもしかしたらキノコの当たり年かもしれません。どんなキノコに今年は出会えるのか。今から楽しみです。
今日のことば
いま曲がり角にきたのよ。曲がり角をまがったさきになにがあるのかは、わ
からないの。でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの。
『赤毛のアン』より
2014.04.23
楠若葉 春落葉
裏の駐車場のクスノキの巨木の近くは、たくさんの落葉で埋めつくされています。この落葉は俳句の季語で「春落葉」と言います。
木を見上げると新しい葉が萌え始めています。
これはクスノキの若葉で、楠若葉と言います。これも季語です。
不二聖心のフィールドは、たくさんの季語を味わえるフィールドです。
今日のことば
あすなろの明日を重ねし春落葉 丸山海道
2014.04.17
桜づくし
ソメイヨシノが散ってしまっても、まだまだ桜づくしの季節が続いています。
お茶畑の中心にはオオシマザクラが咲いています。
築山のシダレザクラも満開です。
講堂横の坂道の八重桜もまだまだ楽しめそうで、しばらくは桜づくしの季節が続くことでしょう。
今日のことば
さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園 俵万智
2014.04.17
シイタケの植菌
高校1年生が総合学習の時間に、NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々のご指導のもと、シイタケの植菌を行いました。菌を植えたのは、2月の大雪で折れたクヌギの木です。クヌギは炭焼きなどで古くから日本人に利用され、その葉や幹はカブトムシをはじめとしてたくさんの生物に栄養分を提供してきました。切っても切っても生えてくる不思議な力を持った樹木でもあります。シイタケの栽培にも、ブナ科の樹木のなかで、クヌギが最も適していると聞きました。来秋の収穫が楽しみです。
今日のことば
葉かげなる天蚕(てんさん)はふかく眠りゐて櫟(くぬぎ) のこずゑ風渡りゆく 美智子皇后様
2014.04.13
ケシ科のジロボウエンゴサク
ジロボウエンゴサクが今年もたくさん咲きました。あまりにたくさん咲いていて、まるで外来種の雑草のようですが、ジロボウエンゴサクは希少種で長野県では既に絶滅したと言われています。
同じケシ科の春の花であるムラサキケマンなどと比べても希少性は極めて高いと言えるでしょう。
減少している種について知り、大切に守り育てる心を持つことが大切です。
今日のことば
科学者は単に未知の真理を追究するだけでなく、知識のない人に間違った行動をさせないようにすることも科学者の責任である。 ベルトルト・ブレヒト