フィールド日記

2012年03月

2012.03.31

齧歯類調査報告  アカネズミの生息を確認

  2012.03.31 Saturday

  齧歯類調査のための仕掛けを確認したところ、栗畑の縁に仕掛けたケースにアカネズミが入っていました。オスのアカネズミで、体長は21㎝、体重は39.8gでした。齧歯類調査のベテランである浜田俊先生に計測をしていただいたあとは、また野に放しました。
アカネズミは森にすむネズミで、ドングリを分散貯蔵することで知られています。貯蔵したまま放置されたドングリはやがて芽を出し育っていきます。ある調査ではアカネズミが木の実を100m以上移動させたという記録も残っています。不二聖心の森の中にもアカネズミによって運ばれた種やドングリから芽生えた樹木がきっとあるはずです。

 
 

                今日のことば

そうだ僕は僕だけで出来てるわけじゃない
100年1000年前の遺伝子に
誉めてもらえるように いまを生きてる
この生命で いまを生きてる
今日も生きてく

                      福山雅治

2012.03.31

ハナニラ  キスジコヤガの幼虫  齧歯類調査

  2012.03.30 Friday

 ハナニラが学院のあちらこちらで見られるようになりした。ほとんどがかつて植えられたものが野生化したもので、繁殖力の旺盛さにおいて際立つ花です。


 写真の中央に移っている棒のようなものは、キスジコヤガという蛾の幼虫です。地衣類を身にまとうことによって、自分が目立たないように工夫しています。まるで地衣類と同化しているようですが、下の写真を見ると確かに移動していることがわかります。


 富士山周辺の哺乳類調査を続けていらっしゃる浜田俊先生に不二聖心にも調査のための仕掛けを設置していただきました。明日の朝、7時に仕掛けの中を確認します。不二聖心の齧歯類の生物相が明かされようとしています。

 

                今日のことば

 達人は少ない。詩人も少ない。われわれ凡人はどうしても現実にとらわれ過ぎる傾向がある。そして現実のように豹変し、現実のように複雑になり、現実のように不安になる。そして現実の背後に、より広大な真実の世界が横たわっていることに気づかないのである。

                                湯川秀樹

2012.03.29

今日の富士山  アズマキシダグモ  クヌギカメムシの孵化

  2012.03.29 Thursday

 今日の富士山の写真です。真冬の富士山とは違って山肌に白以外の部分が増えてきたように思います。

 


 アズマキシダグモの写真を撮りました。このクモの生態は非常にユニークで、求愛の時にオスがメスに獲物を糸で包んだプレゼントを渡したり、メスが卵のうを口にくわえて運んだりします。

 


 2月7日のフィールド日記で紹介したクヌギカメムシの卵が孵化しました。背中にはもうすでに立派に模様が入っています。一度見つかると次々に目に入るもので、このカメムシの卵を何十箇所にもわたって確認しました。

 


  今日のことば

  真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。

                              田中正造

2012.03.28

クサボケ  トビハムシ

  2012.03.28 Wednesday

 草木瓜(くさぼけ)の蕾を見つけました。木瓜を見ると漱石の『草枕』の一節を思い出します。それは次のような一節です。

木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲がった事がない。(中略)評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであろう。世間には拙を守ると云う人がある。この人が来世に生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい。

 「拙を守る」とは「要領が悪く世渡り下手な生き方を貫く」という意味です。文学の力とは不思議なもので、上の一節を読んでいると、自分の「拙」を受け入れて生きていこうという気持ちになります。

  

クサボケの葉の上にトビハムシの仲間を見つけました。他のクサボケにも同じトビハムシがいました。これはクサボケにつくトビハムシだなと思って歩いていくと、今度はキジムシロの上に同じ甲虫を見つけました。はじめは、「クサボケにつくトビハムシのはずなのにおかしいぞ」と思いましたが、よく考えてみたら、クサボケもキジムシロもバラ科の植物でした。トビハムシがクサボケとキジムシロは同じグループに属する植物であることを改めて思い出させてくれました。

 

                今日のことば

地球とそこに存在する生命を扱う私たちのすべてを特徴づけている一つの資質があります。
私たちはけっして退屈しないことです。私たちは退屈するはずはありません。研究すべき新しいことがつねに存在します。一つの神秘を解明すると、私たちはさらにより大きな神秘の入り口に連れていかれます。
                            レイチェル・カーソン

2012.03.27

キブシ  マムシグサ

  2012.03.27 Tuesday

 以前、不二聖心にいらした英語の先生で、キブシの花穂が伸びてくると本格的な春の訪れが近いことを感じるとおっしゃっていた方がいらっしゃいました。何と心豊かな春の過ごし方かと思います。

 

マムシグサの芽生えを初めてしっかりと見ることができました。一年でこれほど姿を変える植物も珍しいと思います。そのことをお伝えするために「不二の自然78」で紹介したマムシグサの記事も載せておきましょう。


 
(お墓の近くの道)

マムシグサ
科名 サトイモ科テンナンショウ属 
学名 Arisaema serratum (Thunb.) Schott


マムシグサは性転換する植物として知られています。十分な栄養を吸収して株が大きくなると雄花は雌花に変わり、実をつけるための準備をします。栄養が不足して株が小さくなると、雌花は雄花に変化して結実することを避け栄養を根に送ります。不二聖心では今の季節になるとあちこちで、この雌花の実を見ることができます。
写真の赤い実の輝きは、この株が生育環境に恵まれ十分な栄養を吸収できたことの証でもあるのです。

                        (平成22年11月30日)

 

              今日のことば

 誰々よりできたできない、そんなことが気になるのは、教師にも子どもにも、余裕というか隙間のようなものがあるからだと気づいたのです。一生懸命自分の学習に打ち込んでいれば、そんな隙間は生まれてきません。優劣など頭に浮かぶひまのない世界にまで、教師は子どもを連れて行かなくてはいけないのだと思いました。

                                 大村はま

2012.03.26

ミツバアケビ ヤマアカガエルの卵  タゴガエルの卵の記事が新聞に掲載

  2012.03.26 Monday

 3月9日のフィールド日記でも紹介した、校舎の裏のミツバアケビがもう花芽をつけていました。アケビの仲間がなぜかアジアと南米のチリのあたりに分布しているという話を以前に書きました。同じ祖先から分化したものと考えられます。この小さな花芽に地球の歴史の謎を解く鍵が隠されているのかもしれません。

 

図書館の花壇の中にある、オオカナダモを栽培している池にヤマアカガエルが卵を産みました。水中に沈んでいる卵の様子が池の表面からもかすかにわかります。

 

 

 フィールド日記で何度か紹介してきたタゴガエルの卵についての記事が岳麓新聞に載りました。先週もタゴガエルは岩穴の奥で元気に鳴いていました。
ヤマアカガエルもタゴガエルもたいへん貴重な両生類で、不二の自然の宝と言えます。
 

 


今日のことば

 さあ、切符をしっかり持っておいで。お前はもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を大股にまっすぐに歩いていかなければならない。天の川のなかでたつたひとつのほんたうのその切符を決しておまへはなくしてはいけない。

                      『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)より

2012.03.25

ミツマタ オニシバリ ヒシベニボタル アクニオイタケ ソトカバナミシャク

  2012.03.25 Sunday

第一牧草地から第二牧草地へ向かう道の途中でミツマタの花が盛りを迎えています。芳香があたりに漂い春を迎えた喜びを感じさせてくれます。


 

 ミツマタと同じジンチョウゲ科のオニシバリの写真を林道で撮りました。こちらもとてもいい香りがします。繊維の強さと並んで芳香もまたジンチョウゲ科の植物の大きな特徴と言えるでしょう。


ヒシベニボタルを倒木の上に見つけました。ヒシベニボタルの近くにはアクニオイタケがたくさん生えていて、かなり腐朽の進んでいる木であることがわかります。ヒシベニボタルの幼虫の生態はまだよくわからないことが多いようですが、住処となる倒木の腐り具合も順調な生育のために不可欠な条件なのだと思います。


 
 

 3月13日に職員室の前で見つけた蛾の種名が判明しました。ソトカバナミシャク(Eupithecia signigera)でした。不二聖心初記録です。

 

             今日のことば

 『絵のある自伝』は、86歳になった安野光雅さんの生涯を綴った自伝です。素晴らしいのは、自慢話や手柄話が一つもないこと。周囲にいた温かい人や切ない人たちが愛情たっぷりに生き生きと童話のように描かれています。たとえば、小学校で隣の席だったつえ子さん。
よく笑うけれど、家庭が貧しいため、お弁当を持って来られない日は独り、運動場で過ごす。
そんなつえ子さんを安野少年は、おどけて笑わせます。このエピソードだけで、安野さんのやさしさが伝わってきます。                                

                                阿川佐和子

2012.03.24

シュンラン  ツチイナゴ

  2012.03.24 Saturday

 シュンランの写真を撮りました。花はすでにしおれてしまっています。平本政隆教諭によると3月20日には開花していたということです。シュンランは6つの県で絶滅危惧種か準絶滅危惧種に指定されています。

(上の文章について、平本政隆教諭より指摘があり、写真のランはコクランであることがわかりました。平本教諭によって確認されたシュンランはすでに花が折れてしまったそうです。他にシュンランの開花は見られず、狂い咲きであった可能性が高いとのことでした。
訂正させていただきます。)


 
 

 越冬したツチイナゴと出会いました。ツチイナゴは成虫で越冬することのできる日本で唯一のバッタですが、寒さが厳しいと死んでしまうこともあります。この冬は多くのツチイナゴが越冬に失敗したのではないかと推測します。


 


今日のことば

何か良い物語があって、
それを語る相手がいる。
それだけで人生は
捨てたもんじゃない。

             『海の上のピアニスト』より

2012.03.24

クロヤマアリの営巣  エゾハサミムシ

  2012.03.23 Friday

 昨日までの暖かさとはうって変わり、今日は雨の一日となり、少々肌寒さを感じました。
三寒四温とはよく言ったものです。「三寒」の日はあるものの、確実に春らしさは増してきています。昨日はツクシを見つけたことをフィールド日記で紹介しましたが、もう一つ発見がありました。ツクシと同じように、これもまた遅れ気味であったクロヤマアリの営巣をすすき野原で確認できたのです。
1枚目の写真にうつっている道の上に何年も続けてクロヤマアリが巣をつくっています。
今年もその子孫が活動を始めました。2枚目の写真がクロヤマアリとその巣の写真です。

 

  東名高速の下のトンネルの落ち葉の中にハサミムシを見つけました。見慣れないハサミムシでしたので専門家の方にたずねたところ、エゾハサミムシ Eparchus yezoensis(Matsumura et Shiraki, 1905) メス (クギヌキハサミムシ科  Forficulidae)であることがわかりした。どうもこの種は今の時期から落ち葉の中に潜むようで、越冬は別の場所でしているらしいこともわかりました。「落ち葉をめくってエゾハサミムシがいたら春」、そんなユニークな春の見つけ方もできるのかもしれません。


 

 

            今日のことば

   どうして、この社会は、小さな声を聞かないんだろう。

                             落合恵子

2012.03.22

ツクシとスギナ

  2012.03.22 

 駐車場から続く道の脇に毎年3月になるとツクシが顔を出す場所があります。しかし、今年はなかなかその姿を確認することができませんでした。ようやく今日、ツクシがたくさん生えているのを確認できました。2枚目の写真には、ツクシ(胞子茎)と同じ地下茎から生える栄養茎であるスギナも写っています。3枚目はスギナだけを写してみたものです。シダらしくないシダ植物ですが、ツクシは立派なシダの仲間です。



今日のことば

あなたの道を主にゆだねよ
主に信頼せよ
主が成し遂げてくださる
                 詩編37篇