フィールド日記

2012年04月

2012.04.30

新緑のお茶畑  絶滅危惧種キンラン  ハグロケバエ

  2012.04.30 Monday

今日の天気は曇りでしたが、曇天の下に美しい新緑のお茶畑が広がっていました。


ついに今年もキンランが咲きました。写真の上に写っているのが、クヌギの木です。菌根菌という菌がクヌギからキンランへと養分を送っています。(菌根菌については『もやしもん』の第4巻を読むとよく理解できます。)全国で絶滅危惧種に指定されているキンランですが、この環境でしか生きられない花だと思うといっそうその貴重さがわかります。


 
今日はお茶畑でハグロケバエの大量発生が見られました。大型の双翅目が群舞する光景は壮観です。攻撃性はいっさいなく、そのことを知っていれば毎年の季節の便りとして落ち着いて受けとめることができます。下の写真の左がメスで右がオスです。


 

                今日のことば

 「3.11」の後には私も落ち込みました。高齢者がたくさん亡くなり、高齢者を助けようとした若い命も奪われました。テレビ画面に映る、高齢女性、どうやら家族を失って一人避難所にいる方を見て、気軽に「人生百年」なんて言っていた自分に疑問を覚えたのです。
そんなある日、天皇、皇后両陛下の被災者お見舞いがテレビニュースで流れ、皇后さまのおことばがこう聞き取れました。
「よく助かってくださいましたね」
心を揺さぶられました。年齢、性別を問わず、今ここにある命への全き受容と感謝。命への敬意と祈り。それは、私たちがこれからも歩みつづける基本だと思い、また、勇気が出てきたのです。                                

                                 樋口恵子



お知らせ

 2012年8月7日に不二聖心女子学院では「夏休み子供自然体験教室」を開催することになりました。
不二聖心女子学院には約20万坪の敷地があり、そこには雑木林、すすき野原、竹林、針葉樹林、茶畑、栗畑、草原などさまざまな環境があります。夏休みの一日を豊かな自然の中で過ごし、広い敷地をウォーキングしながら生き物について学び、たくさんの命を感じてみたいという方はどうぞお申し込みください。
牧草地での虫取りゲームや日本でここにしかない幻の紅茶「ただにしき」を飲みながらのティータイムも企画しています。
  詳細をお知りになりたい方は、不二聖心女子学院のホームページのトップページの「夏休み子供自然体験教室小学生対象募集中!」のバナーをクリックしてください。

2012.04.29

アケビの花  オクマワラビ

  2012.04.29 Sunday

校舎の裏の道で今、アケビとミツバアケビの両方の花を見ることができます。下の写真はアケビの花です。アケビの花は、同じ花序に雄花と雌花がまじっているのが特徴です。奥の方に移っている小さい花が雄花で、手前の大きい花が雌花です。写真を撮っている間にもハチが飛んできていました。受粉が上手く成功して秋に実がなるのが楽しみです。

 新緑が美しいのは樹木だけではありません。シダの新緑にも思わずはっとするほどの美しさがあります。4月18日のフィールド日記で紹介したズアカシダカスミカメがついていたシダはオクマワラビであることがわかりました。この時期に鮮やかな黄緑色の葉が一際目立つシダです。オクマワラビは、ズアカシダカスミカメがこの時期に最も好むシダではないかと思っています。

 

               今日のことば

科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである。

                                寺田寅彦


お知らせ

 今年の夏に不二聖心女子学院では「夏休み子供自然体験教室」を開催することになりました。
不二聖心女子学院には約20万坪の敷地があり、そこには雑木林、すすき野原、竹林、針葉樹林、茶畑、栗畑、草原などさまざまな環境があります。夏休みの一日を豊かな自然の中で過ごし、広い敷地をウォーキングしながら生き物について学び、たくさんの命を感じてみたいという方はどうぞお申し込みください。
牧草地での虫取りゲームや日本でここにしかない幻の紅茶「ただにしき」を飲みながらのティータイムも企画しています。
  詳細をお知りになりたい方は、不二聖心女子学院のホームページのトップページの「夏休み子供自然体験教室小学生対象募集中!」のバナーをクリックしてください。

2012.04.28

クビキリギス  アミガサタケ

  2012.04.28 Saturday

 昨日から職員室の横の庭でモリアオガエルが鳴き始めました。今朝はキャンプ場の池でも鳴いていましたので、モリアオガエルも本格的に活動を始めた様子がうかがわれます。
昨晩は、帰宅する時にクビキリギスの声を聞きました。真っ暗ななかを、声を頼りに姿を探しましたが、すぐ近くと思われた鳴き声の主は結局50メートルほど離れたところで鳴いていました。写真は暗い中でフラッシュをたいて撮ったものですが、暗くても声がとても力強くてすぐに居場所はわかりました。今年の寒い冬を成虫で乗りきった個体です。その生命力に驚いてしまいます。


 
キャンプ場でアミガサタケを見つけました。中学校校舎の中庭のアミガサタケよりだいぶ遅れて発生したようです。不二聖心の環境は高度もさまざまなので、同じ種でも発生の時期が異なる場合がよくあります。


 

          

             今日のことば

ことばで祈れなくとも、頭で祈れなくとも、
生きることによって祈れる。
愛したいとねがって生きることそれ自体が
立派な祈りなのだ。

                        ルネ・ヴォアイヨーム

 

 お知らせ

 今年の夏に不二聖心女子学院では「夏休み子供自然体験教室」を開催することになりました。
不二聖心女子学院には約20万坪の敷地があり、そこには雑木林、すすき野原、竹林、針葉樹林、茶畑、栗畑、草原などさまざまな環境があります。夏休みの一日を豊かな自然の中で過ごし、広い敷地をウォーキングしながら生き物について学び、たくさんの命を感じてみたいという方はどうぞお申し込みください。
牧草地での虫取りゲームや日本でここにしかない幻の紅茶「ただにしき」を飲みながらのティータイムも企画しています。
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2012.04.27

絶滅危惧種カヤラン  「夏休み子供自然体験教室」のお知らせ

  2012.04.27 Friday

 全国各地で絶滅危惧種に指定されているカヤランが今年も咲きました。カヤランは樹上に着生するランで、樹木から栄養を得ています。黄色い花の美しさはまるで樹木の精霊のようです。

 

 マリアガーデンのツツジが見ごろになってきました。近づくとハチの羽音があちこちから聞こえてきます。そのほとんどはマルハナバチで花の中にもぐって上手に蜜を吸っています。
ハチの中にはもぐることが非常に得意な種類がいくつかありますが、マルハナバチはその代表で、マルハナバチに受粉を助けてもらっている花もたくさんあります。


 
 
 

 

                今日のことば

 人間は、「私」の身体は周囲の自然から独立したものだ、と思っている。「私」の皮膚から外の世界は他者だ、と思っている。しかし、これは人間の個体意識が作りだした大きな錯覚だった。
人間の身体は、もともとすべての自然、すべての生命とつながったものだ。「私」はもともと「我々」だったのだ。

                                  龍村仁

 
お知らせ

 今年の夏に不二聖心女子学院では「夏休み子供自然体験教室」を開催することになりました。
不二聖心女子学院には約20万坪の敷地があり、そこには雑木林、すすき野原、竹林、針葉樹林、茶畑、栗畑、草原などさまざまな環境があります。夏休みの一日を豊かな自然の中で過ごし、広い敷地をウォーキングしながら生き物について学び、たくさんの命を感じてみたいという方はどうぞお申し込みください。
牧草地での虫取りゲームや日本でここにしかない幻の紅茶「ただにしき」を飲みながらのティータイムも企画しています。

開催日  平成24年8月7日(火) 時間 10時00分~15時00分
開催場所 不二聖心女子学院(静岡県裾野市桃園198)
駐車場はあります。
内容   不二聖心女子学院内の動植物の観察と採集
(雨天の場合は講演や自然に関するゲームなどを行います。)
講師   平井剛夫  農学博士・昆虫研究家
蒔苗博道  不二聖心女子学院教諭
平本政隆  不二聖心女子学院教諭
対象   小学校4年生から6年生の児童とその保護者。(男女を問わず歓迎します。)
定員   20組(保護者同伴でお願いします。申し込み多数の場合は抽選をします。)


お問い合わせ・申し込み方法
不二聖心女子学院のホームページ(https://www.fujiseishin-jh.ed.jp)の申し込みフォー
ムに、「氏名、住所、電話番号、メールアドレス」等の必要事項を入力して送信してくださ
い。
    (不明な点は電話【055-992-0213】でお問い合わせください。)


申し込み締め切り 2012年7月1日(日)
(申し込み多数の場合には抽選をし、参加決定者には7月10日までに郵便で連絡します。)


参加料  1人500円(昼食代と保険料を含みます。当日、お支払いください。)
◎自然体験教室終了後、希望者を対象としてキャンパス・ツアーを実施します。

2012.04.26

カメノコテントウ

  2012.04.26 Friday

 事務室から講堂へ向かう階段でカメノコテントウが見つかりました。かなり大型のテントウムシで、クルミハムシやドロノキハムシの幼虫を食べると言われています。不二聖心ではまだクルミハムシやドロノキハムシは見つかっていませんが、カメノコテントウが見つかったことで、それらの種の生息の可能性が高まりました。生き物のつながりを手掛かりに生物調査を進めていくのも自然観察の面白さの一つです。

 

今日のことば

 一人の子どもを育てるのにかかるエネルギーの消費というのが、日本で一人増えると途上国で二四人子どもが生まれたと同じことになるというようなことも、いまの日本の人たちは一般には知らないでしょう。

                              長谷川眞理子

2012.04.25

環境指標生物ユミモンヒラタカゲロウの幼虫

  2012.04.25 Wednesday

 今日の高校1年生の総合学習(環境学習)の時間に裏道の沢に沢蟹がたくさんいる理由について話しました。考えられる理由の一つとして、この沢が森とつながっていることを挙げました。森から流れ込む豊かな養分が沢蟹の栄養となっています。さらに加えて、森の土壌の浄化能力によって、きれいな水が流れこんでいることも、重要な要因です。先日、この沢でユミモンヒラタカゲロウの幼虫の生息を確認しました。この幼虫はきれいな水にしか棲めない虫です。そこにいる生き物を調べることによって、私たちは環境の質をはかることができます。

 


下の写真は石の裏にはりついているユミモンヒラタカゲロウの写真で、さらにその下の写真はビニールの袋に移した幼虫の写真です。
 

 


今日のことば

「子どもの個性を伸ばす」というスローガンはもっともらしく聞こえる。しかし、教師自身が何か高みを目指して飛ぶ矢のような勢いを持っていなければ、学ぶ側に「あこがれ」は生まれない。教えるという行為にばかり気をとられて、教師自身が学ぶことを忘れている場合が少なくない。学ぶ側はそれなりに進歩をしているにもかかわらず、教師の側が十年一日の如くであるとするならば、年々若々しさが失われる分、教師の魅力は減っていく。
学び続けていると、人は若くいられる。私はそう考えている。学んでいるときには細胞が活性化し、新陳代謝がうまくいっている気がする。学ぶことを面白いと心底感じ、その学ぶ喜びを生徒たちに伝えようとする教師の心は若々しい。

                                  

                                  齋藤孝

2012.04.24

絶滅危惧種ヤマアカガエルの卵

  2012.04.24

 昼休みに高校1年生の生徒が職員室に来て、寄宿の中庭にカエルの卵が落ちていることを教えてくれました。駆けつけてみると、そこには鳥に運ばれたと思われるヤマアカガエルの卵が落ちていました。ヤマアカガエルは県によっては絶滅危惧種に指定されている希少種です。


  
 

 築山の池に卵をはなしにいったら、そこには既にたくさんのオタマジャクシが泳いでいました。これもすべてヤマアカガエルだと思われます。

 

             今日のことば

主は人の一歩一歩を定め
御旨にかなう道を備えて下さる。
人は倒れても、打ち捨てられるのではない。
主がその手をとらえていてくださる。

                          詩編第37編

2012.04.23

松の葉のようなオナガグモ

  2012.04.23 Monday

  校舎の裏の車庫の横でオナガグモを見つけました。空中に松の葉が浮いているように見えるクモです。一般的にクモの糸には粘性があって、その粘り気によって獲物をとらえることが多いのですが、オナガグモの糸には粘り気がありません。何も知らずに糸を伝ってのぼってきたクモを食べてしまうのです。写真には犠牲になった他種のクモもはっきりと写っています。
少し刺激を与えるとすぐに動き出しますので、まぎれもなくクモであることが確認できます

 

              今日のことば

 この大宇宙自身、何もない混沌から意味あるものとして造られたものだ。つまり宇宙は本質的に「たてられた」存在なのだといえる。ぼくらが人間関係をたてたり小宇宙をたてたりするのは、その大宇宙が今もたてられ続けていることと共振しているからではないだろうか。ぼくらが何か値うちあるものをたてているときにこそ大きな喜びを感ずるのが、その何よりのしるしだろう。

                               晴佐久昌英

2012.04.22

不二聖心で見られる絶滅危惧種 フデリンドウ ウラシマソウ

  2012.04.22  Sunday

  不二聖心では今の季節から初夏にかけてたくさんの貴重な植物が花を咲かせます。その中には日本の各地で絶滅危惧種に指定されている植物もありますが、そういう植物を見つけると美しさに感動するよりも今年も出会えた喜びにまず安堵の思いを抱きます。この春もそういう経験を何度かしました。先ず紹介したいのはフデリンドウです。不二農園の方々が雑木林の下草をしっかり刈ってくださるおかげで、この美しく可憐な花をこの春も愛でることができました。

 

 今見ることができる貴重な植物としてもう1種挙げるとしたらウラシマソウです。駐車場の近くで毎年お目にかかっているのですが、今年は裏道の全く違う場所で新たな自生地を見つけました。花穂から出る糸状の付属体を釣り糸に見立て、花全体を、釣りをする浦島太郎にたとえて、ウラシマソウと名付けられました。実際に付属体をたどって花の中へとおびき寄せられてしまう昆虫もいるようです。

 

 
今日のことば

 ノスタルジーの語源は「故郷へ帰ることができない心の痛み」。ロシアの音楽を聴くとなぜか、それを強く感じるんです。ロシアには人間の感情すべてを包み込む無条件の肯定、「魂の全体性」への強い希求があります。

                                亀山郁夫

2012.04.21

サルの親子   解明された昨日の謎 クロバネキノコバエ

  2012.04.21 Saturday

 久しぶりにサルの親子と出会いました。東名高速道沿いの斜面でおいしそうに若葉を食む姿を目撃しました。

 昨日の謎の昆虫は、クロバネキノコバエであることがわかりました。この種類のハエは、幼虫が群れを作って移動することで知られています。ARMY WORM と呼ばれることもあるそうです。なぜ集団で移動するのかについての定説はないそうですが、過密になった集団を分散させることによって、集団の密度を下げるためという説があります。移動することで身を危険にさらすこともあるようですが、もともといた集団を救うために敢えてそうすることを厭わないそうです。昨日の写真のハエたちも自己犠牲の精神に富むハエたちかもしれません。


 

               

                今日のことば

 「今ある」ということが無限に「喜ばしく」なければならない。自分がむなしくなり、完全に放棄されて、ゼロになって、そこから「今、ある」を仰ぎ見るようにして考える。そのとき、世界は「すばらしいこと」にみちてくる。世界は「在る」というそのことに恵まれている。                      

                                 辻邦生