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フィールド日記

2017.09.27

三井物産環境・社会貢献部社有林室の講演

高1総合学習の時間に三井物産環境・社会貢献部社有林室の斉藤江美先生と近藤大介先生に講演をしていただきました。講演では三井物産の森を生かした活動の話などを通して森林管理や木材利用について理解を深めることができました。

話を聴くだけではなくハーベスターという林業機械を用いた伐採の様子を動画で見たり、チェーンソーで伐採をする際に用いるヘルメットをかぶる体験をしたりしました。

林業用のヘルメットをかぶると音はすべて遮断され、まるで深海にいるようだという声も聴かれました。

三井物産の所有する、特別保護林、環境的保護林、文化的保護林などの多様な森の紹介もあり、生物多様性を維持し持続可能な社会を実現していく上で森林が果たしていく役割について、実例を通して学ぶことができました。

今日のことば
眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれることを望む
益田孝

2017.09.25

白いヒガンバナ

今年も白いヒガンバナが校舎の裏に咲きました。毎年、同じ場所で同じ色の花を咲かせています。今はお彼岸の季節を知られる花としてヒガンバナは知られていますが、かつては救荒植物(飢饉などで食べものが不足した時に利用される植物)として田んぼの畔に植えられました。毎年同じように花を咲かせる姿にこの植物が長年人々を支え続けてきた歴史がしのばれます。

今日のことば
4年かけ仕上げた卒論9秒台  甘利生人さんの川柳

2017.09.20

ウッドキャンドル作り

高校1年生の総合学習(ESD)の時間に、キャンドルサービスなどで使用するウッドキャンドル作りをしました。ウッドキャンドルの台には間伐したヒノキの根を使用しました。一般的には経済的な価値はないと考えられている間伐材の根が、ウッドキャンドルとして有効に活用されました。このウッドキャンドルは国立青少年自然の家などで利用していただく予定です。

生徒が考案した木工作品のデザインをもとにNPO法人「土に還る木 森づくりの会」の方々が試作した作品を鑑賞し改良点を話し合う授業(平成29年9月13日実施)の様子が東京新聞の記事になりました。
今日のことば
書(ふみ)よめば電燈のぬくみ額(ぬか)にしむ秋の夜頃となりにけるかな
松田常憲

2017.09.18

ナンバンギセル  

 ナンバンギセルの写真を撮りました。ナンバンギセルはススキに寄生していることで知られていますが、この花はササの近くに生えていました。先日のニュースではミョウガに寄生するナンバンギセルのことが話題になっていました。ナンバンギセルは進化の過程で与えられた環境を生かす術を身につけてきたのかもしれません。


今日のことば

道端にひっそりと咲く
草花を見ていると
気持ちが素直になるのを感じます

自分を飾らず
与えられた地で
ありのままに生きている草花に
教えられます

井澤雅子

2017.09.13

木工作品アイディアコンテスト

 高校1年生の総合学習(ESD)の時間に、生徒が考案した木工作品のデザインをもとにNPO法人「土に還る木 森づくりの会」の方々が試作した作品を鑑賞し改良点を話し合いました。

制作していただいた作品は、地球儀から木製バックまでさまざまでしたが、どれも見事な出来栄えで、生徒は作品が紹介されるたびに歓声をあげていました。
いくつかの作品を紹介します。
木製のバックです。

キリンの玩具です。

地球儀です。制作途中ですが、もうこれで完成品としていいのではないかという声も聞かれました。

鹿のアクセサリー立てです。アクセサリーを飾るには台はないほうがいいという提案が生徒からなされました。

巨大なヒヨコの玩具です。子供が乗ることができます。生徒たちも童心に返って遊んでいました。

今日のことば
詩を作る者が詩人なのではなく、詩が通り過ぎる人間を詩人と呼ぶのがふさわしい。詩人が詩を書くのではない。「内なる世界」からの呼びかけを詩人が受け止める。詩人が何かを語るのではなく、何ものかが語る通路になる。
若松英輔

2017.09.10

ツマグロヒョウモン

 キバナコスモスにツマグロヒョウモンのオスがやってきました。ヒョウモンチョウの仲間は、識別が難しいですが、ツマグロヒョウモンは名前の通り、(後翅の)ツマ(褄)が黒いので容易に見分けがつきます。ツマグロヒョウモンはいわゆる温暖化指標のチョウで、かつては静岡では見られなかったチョウです。ただし、分布域の拡大の原因は地球温暖化だけではありません。ツマグロヒョウモンの幼虫はスミレの仲間を食草としますが、寒さに強いスミレ科のパンジーなどの園芸植物が多く植えられるようになったことが分布域の拡大の拍車をかけているという説もあります。自然界の現象を観察する際には、複眼的な思考が求められるとよく言いますが、ツマグロヒョウモンの分布域の拡大要因の考察についても同様のことが求められます。

今日のことば
No one is born hating another person because of the color of his skin or his background or his religion.
People must learn to hate, and if they can learn to hate, they can be taught to love, for love comes more naturally to human heart than its opposite.
生まれた時から肌の色や出自や宗教を理由に他人を憎む人などいない。
憎しみは学ぶものだ。そして、もし憎しみを学べるのなら、愛することも教えられるだろう。なぜなら人間の心にとって、憎しみよりも愛の方がずっと自然なのだから。
オバマ前大統領

2017.09.03

ルリタテハ  クロコノマチョウ  アカボシゴマダラ

8月18日に不二聖心女子学院で行われた「環境市民会議プレゼンツ里山体験教室」の参加者の方から当日の画像データをたくさんいただきました。

その中には注目すべき蝶の画像が含まれていました。
先ずはルリタテハです。ある参加者の方はルリタテハの瑠璃色を見て「宝石のようですね」とおっしゃっていました。
ルリタテハのすぐ近くにクロコノマチョウが写っていました。これは地球温暖化によって分布域を北に広げていると言われる蝶です。不二聖心で確認されたのは数年ぶりのことです。
驚いたのはアカボシゴマダラが写っている画像があったことです。この蝶は、もともと南国の蝶ですが、人為的に移入されたものが関東・東海にも定着してしまいました。温暖化がなければ、移入されても定着はしなかったかもしれません。裾野市の自然への温暖化の影響についても注視していきたいものです。
今日のことば
地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれたりすることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。      レイチェル・カーソン

2017.08.29

8月の野鳥の調査  ツリガネニンジン

 8月28日に日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が不二聖心の野鳥の調査をしてくださいました。調査結果は以下の通りです。

 
 1.ヒヨドリ      11羽
 2.ハシボソガラス    3羽
 3.キジバト       4羽
 4.メジロ        6羽
 5.ハシブトガラス      7羽
 6.ヤマガラ       6羽
 7.イカル        1羽
 8.カワラヒワ      1羽
 9.アオゲラ       1羽
10.シジュウカラ       1羽
11.ツバメ          1羽
12.ガビチョウ        2羽
 
「特記事項」
 1.夏鳥のツバメ、漂鳥のイカル、外来種のガビチョウ以外は留鳥です。
   8月は一年の中で一番野鳥の種類、個体数が少ない時期です。
 2.駐車場から共生の森に行く坂道で、ナンバンギセルの生息を確認した。
   学院内での生息場所は4カ所目となった。
3.夏の終わりを告げるツリガネニンジンの開花を確認した。
   8月から10月が開花期
4.オオシオカラトンボを確認した。
滝先生がお撮りになったツリガネニンジンの写真です。
地域によっては、このような白いツリガネニンジンは非常に珍しいとされています。
今日のことば
霧しげき裾野を行けばかすかなる馬のにほひのなつかしきかな  宮沢賢治

2017.08.20

ナンバンギセル

今年もすすき野原に、ススキの寄生植物であるナンバンギセルが花を咲かせました。例年より若干時期が遅かったようです。万葉集では、ナンバンギセルは「思ひ草」という名で登場します。万葉人は下向きに咲くナンバンギセルの花の姿に、もの思いにふける人間の姿を重ねました。万葉の昔からすすき野原はあり、そこでナンバンギセルも見られたのです。

 
今日のことば

古里の山辺を、墓碑銘などをたずねてさすらう時、無縁の墓地に無心に咲く野菊の愛しさ美しさ。何時の時代にか人の世に生を受け、草葉の陰に消えた先人達、今は忘れられたこれらの人達の、終生の思念を想いつつ静かに手を合わすと声なき声が聞こえてくるようです。生きて、生かされてあるかぎり、より深く、より広く、真実の人の道を求めて歩みたいと思います。みなさまがたとともに。
足立誠太郎

2017.08.18

ジャコウアゲハとお菊虫

5つの県で希少種の指定を受けているジャコウアゲハの幼虫が蛹化する過程を観察しました。

これが8月14日の様子です。幼虫から蛹に変わるところです。
こちらは8月17日の様子です。すっかり蛹になりました。これがあの有名な「お菊虫」です。
今日のことば
「一枚、二枚、三枚、四枚……九枚、やっぱり一枚足りない」
怪談「播州皿屋敷」で大切な皿を割ったと因縁をつけられたお菊は、責め殺されて古井戸に投げ込まれてしまう。そして幽霊となったお菊は、古井戸から夜な夜な現れては、恨めしそうに皿の枚数を数えるのである。
その後、お菊が投げ込まれた古井戸には、うしろ手に縛られた女性の姿をした不気味な虫が出現したという。この虫はお菊の怨念が姿を変えたものだと、人々は噂した。これが「お菊虫」である。
お菊の正体は、ジャコウアゲハというチョウのさなぎである。
稲垣栄洋