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フィールド日記

2016.03.12

カルガモの夫婦

 久し振りにプールにカルガモの雌雄が飛来しました。カルガモについては、名著『かまくら鳥とりどり』(岡田泰明)に簡にして要を得た説明があります。次に引用します。

ヨーロッパのカモの行列写真を見ると、種類はほとんどマガモである。カルガモは東アジア特産のカモで、欧米にはいない。日本産のカモ類がほとんど冬鳥で、北半球に広く分布する種類が多い中で、カルガモだけは一年中日本に住む留鳥である。また雌雄が同色で、雄だけが美しい他のカモ類と異なり、雌雄の判別がむつかしい。


画像からも雌雄の見分けのつきにくさが、よくわかります。

今日のことば

人がかえりみぬものに眼を向け、それを深くきわめることにつとめよ。人としてこの世に生をうけたかぎり、そうしたことに身をささげねばならぬ。
宮田全澤

2016.03.08

雲南黄梅

 正門のところで毎年、早春に花を咲かせる雲南黄梅の開花の時期となりました。「雲南」は中国南部が原産であることに由来し、中国では「黄梅」を「迎春花」と呼びます。

対生する蕾には花とは異なる美しさがあります。

不二聖心には、もう一ヶ所、雲南黄梅の見られる場所があります。どうぞ探してみてください。

今日のことば
私は遺言を残しません。常日頃話していることが、すべて私の遺言です。
広岡浅子

2016.03.06

富士山と笠雲  ハシブトガラス

 昨日の朝、富士山の写真を撮りました。笠雲が富士山の山肌に影を落している珍しい情景です。

下の方に写っているのは、ハシブトガラスです。ハシブトガラスは「カーカー」と鳴き、ハシボソガラスは「ガーガー」と鳴きます。
不二聖心に生息しているカラスの多くはハシブトガラスです。



今日のことば

今日は富士山と話しながら
少しだけゆっくり歩いてみた

この空気 何かが違う
空の高さ 雲の模様……
わたしより早く気づいていた草花
ちゃんと衣替えをすませている
季節が進んだことを
虫たちがそっと知らせてくれた

気持ちにゆとりがないと
大切なことを見落としてしまう
冬支度が整った富士山から
しあわせの近道を教えてもらった

髙裕美子

2016.03.02

白梅

 築山の梅を見ていると、梅は木によって花の盛りの時期が異なることがよくわかります。築山の薩摩紅梅は既に花の盛りを過ぎ、白梅は今ほぼ満開です。それぞれに、それぞれの良さがあります。

今日のことば
花は盛りに月は隈なきをのみ見るものかは。  吉田兼好

2016.02.28

校内の野鳥の調査

 今日は、日本野鳥の会の滝道雄先生と不二聖心の野鳥の調査をしました。

スタートは朝8時、気温は6度でした。
裏の駐車場で先ず目にしたのはキジバトです。キジバトは今日だけで70羽ほど確認しました。
狩猟の対象とならなくなったキジバトは個体数を増加させています。滝先生は、猟師が自分で撃ったキジバトを腰にぶらさげて歩く姿を昭和30年代に裾野市でよく目にしたそうです。
次にツグミとヒヨドリとハシブトガラスを確認しました。
姿は見えませんでしたが、ホオジロの囀りを聞くこともできました。
共生の森からすすき野原に向けて歩く途中で、シロハラ、アオゲラ、メジロ、シメ、コゲラなどを確認しました。
すすき野原を通って牧草地に向かう途中で、電線にとまるツグミを見つけました。ツグミが電線にとまることはめったにありません。
牧草地では、ウグイスの初鳴きを確認しました。
第一牧草地から第二牧草地に向かう途中の道でヤマガラの「二―、二―」という地鳴きを確認しました。
第二牧草地ではアオジを数羽、確認しました。
林道に入ってから、メジロの声を聞きました。1月の調査では林道でメジロの声は聞かれませんでした。春になって活動域が広がってきていると感じます。林道では地面に落ちたメジロの巣を見つけました。巣材として鹿の毛とコケとビニール紐が使われていました。ビニール紐がメジロの脚にからまるとメジロを命の危険にさらすことになりかねません。
林道ではルリビタキの地鳴きを聞くこともできました。
帰り道ではトビの姿を空に見つけ、マリア修道院近くのサクラの木にシメが2羽、いるのを確認しました。シメは桜の種を好むと言われます。
校舎周辺まで降りて来てようやくシジュウカラを確認しました。満開の河津桜にはメジロが来て蜜を吸っていました。
築山では1月の調査の時と同じ場所でアカハラを確認しました。
築山でジョウビタキの雌を確認し、マリアガーデンで雄を確認しました。通常は、ジョウビタキの2個体をこれだけの近距離で確認することはできません。縄張りを解いて群れをつくり北に帰る時期が近い可能性があります。
図書館の花壇ではシロハラを確認しました。アカハラとシロハラはともにツグミの仲間ですが、アカハラは漂鳥であり、シロハラはツグミと同じ冬鳥です。
裏道ではガビチョウとエナガが確認されました。
今日、確認できた鳥は全部で20種類です。
滝道雄先生が、これまでの調査記録をまとめてくださいました。
この表に今日の20種類が加わることになります。
今日のことば
人それぞれ自分を保つために不可欠なことがある。私の場合は自分とむきあう情報シャットアウトのひとときだが、あなたの場合はどんなことが不可欠だろう。        海原純子

2016.02.22

ナナカマドの冬芽  アオゲラのドラミング

 「共生の森」でナナカマドの冬芽の写真を撮りました。高校1年生が植えたナナカマドです。比較的標高の高い地域に自生するナナカマドが「共生の森」で順調に生育を続けることができるか、楽しみです。


アオゲラのドラミングの音を聞きました。わずかな時間でしたが、冬の空に響き渡る澄んだ音でした。

今日のことば
私の中にあって、何十年にもわたって、私を動かし続けているのは、未知の世界へのあこがれである。私にとって、それは美しい世界であると期待されている。  
湯川秀樹                                        

2016.02.21

クスノキの大樹の下の猫

 不二聖心には目を瞠るようなクスノキの大樹がたくさんありますが、その多くは防風林として植えられたという話を聞いたことがあります。その大樹の下で風から守られて丸くなる猫の写真を撮りました。


今日のことば
濯ぎ物干して軒下に日向ぼこ    田中たきの

2016.02.19

河津桜

いよいよ明日は卒業式です。

卒業式前日の今日は快晴の一日でした。
河津桜も開花しました。この河津桜は、以前に在職していらした、ある先生のご好意で植えられたものです。
不二聖心の樹木の多くには、学校に関わった方々の深い思いが込められています。

今日のことば

知恵が人間の生活に実際的な影響を及ぼすものであることはいうまでもない。最初のうち、英知を獲得しようとする努力は、同時に自己の生活を全体的によくしようという希望に支えられるものである。しかし知識が進歩するにつれて、知恵そのものに興味をおぼえるようになり、英知の副産物としての種々の徳をも超越したものとなるものである。
                                                 
ソーヴール・カンドウ

2016.02.17

クヌギの伐採  シイタケのほだ木

 1月31日にNPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々が「共生の森」の成長しすぎたクヌギの木の伐採をしてくださいました。クヌギは、切っても切っても生えてくる木で、里山の暮らしをいろいろなかたちで支えてきました。「クヌギ」の語源は「苦をぬぐう」だという説もあります。

NPOの方に伐採していただいたクヌギの丸太は、来年度の高校1年生の総合学習でシイタケの植菌のために活用されます。
今年度、植えたシイタケも順調に成長を続けています。
今日のことば
されば、道人は、遠く日月を惜しむべからず。ただ今の一念、空しく過ぐることを惜しむべし。
                                       兼好法師

2016.02.15

中学3年生が発見したハネカクシについての続報

 中学3年生が理科の授業の時に発見したハネカクシは、クロズシリホソハネカクシもしくはその近縁種であることがわかりました。

この同定をしてくださった、「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の岸本年郎先生から、メールをいただきました。

貴重な情報を含むメールの文章を、先生の了解のもと、引用させていただきます。
今回のハネカクシはシリホソハネカクシ属Tachyporusのもので、図鑑やネットにはクロズシリホソハネカクシが載っていますが、実際には近似した種が多く、現在日本から14種が知られており、まだ未記載や未記録の種も多いと考えています。また、同定には顕微鏡により交尾器を詳細に観察する必要があるので、「クロズシリホソハネカクシもしくはその近縁種」としました。このグループはハネカクシの中でも専門に研究している人が日本人にはおらず(ドイツに一人いますが)、私も不勉強なので、属までの回答にしております。私はハネカクシの分類が専門ですが、他にも甲虫や土壌動物全般に興味を持って調べています。学校で土壌動物を観察するのは、普段意識しない生物多様性に触れる良い機会と思います。生徒さんの中で興味を持ってくださる方が出てくるとうれしく思います。
以上が先生の文章です。
今回、生徒が見つけた個体は、「ふじのくに地球環境史ミュージアム」に保管されることになりました。
「ふじのくに地球環境史ミュージアム」は3月26日にオープンの予定です。「静岡県に県立の自然史博物館を」という多くの人々の長年の願いがついに実現することになります。そのような自然史博物館に不二聖心で採集された生物が標本として保管されるというのは、たいへんうれしいことです。

今日のことば
人が生命の織物を織るのではない。人は、その織物のひとすじの糸に過ぎない。生命の織物に対して人がすることは、それがなんであれ、自分自身にすることなのである。
テッド・ペリー