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フィールド日記

2017.07.09

ヤマモモ

 「共生の森」のヤマモモがかつてないほどのたくさんの実をつけています。昨年はほとんど実をつけなかったことを考えるとヤマモモも、他の多くの果樹と同様に、年により実の付き方に違いがあることがよくわかります。


今日のことば

もはや詩が書けない
詩のないところに詩がある
うつつの断片のみ詩となる
うつつは淋しい
淋しく感ずるが故に我あり
淋しみは存在の根本
淋しみは美の本願なり
美は永劫の象徴

西脇順三郎

2017.07.06

高1総合学習の植栽体験  キタテハ

7月5日に高校1年生が総合学習の時間に植栽体験をしました。「共生の森」の生物多様性を高めるために自分たちで樹種を選んで植樹をしました。選ばれた樹種はさまざまで、クルミ、ブルーベリー、ヤマモモなど実のなる木がたくさん含まれていました。カツラの木の香りの良さに感嘆の声をあげている生徒の姿も印象的でした。

「共生の森」ではいろいろな生き物との出会いも体験することができました。次の画像は生徒の手にとまった夏型のキタテハの画像です。縁の黒が濃いのが夏型の特徴です。梅雨の晴れ間の、夏らしい一日にふさわしい蝶との出会いでした。
今日のことば
 カムチャッカのクマの王国といわれるミーシャ・ドーマの地を旅した。道は川に沿ってどこまでも続き、草原を横切り山を越えた。途中、小道が次々と合流し、時には小さな広場があり、見晴らしのいい所では腰を下ろす場所が用意されている。
 リュックを置き、水筒を取り出す。ゆっくりと眺めるといろんな所が見える。はるかな谷間の小さな滝が赤く染まっていた。ベニザケが最後の遡上を試みているらしい。向こうの高原がほんの少し色づき、木々の実が短かった夏の終わりを告げていた。
 もう肉眼では見えないほど遠くに「旅人」の姿を見た。ゆっくりゆっくりと歩いている。時々、道端で遊んでいる。どうやらフレップの赤い実を摘んでいるらしい。30分もかけて500メートルくらい近づいた。風がゆれたのか、立ち上がってゆっくりあたりを眺めている。双眼鏡を取り出してみた。体重が500キロあたりかなと呟く。道の建設者ヒグマである。この道でどのくらい会っただろうか。
 カムチャッカに生きる多くの動物はクマの道を利用する。キツネもネズミも歩いていた。オオカミもこの道を使うと言った人がいた。旅の途中で遠くカザフ共和国からきたという5人のハイカーに会った。35日間かけてミルコーという中部の小さな町まで歩くのだという。今日は27日目だと、こともなげだ。ずっとこの道を歩いているのだと言った。この地では人もまた、ヒグマの道を利用させてもらっているのである。
竹田津実

2017.07.05

ヒヨドリバナ

 ヒヨドリバナが咲き始めました。この花が白く野を彩り始めると本格的な夏の訪れを感じます。ヒヨドリバナは蝶に特に好まれる花でバタフライガーデンを作る時には、この花を植えることが推奨されます。ヒョウモンチョウ類は子孫を残すために、この花の蜜に含まれる特別な養分を必要としていると言われています。


今日のことば
青春はみずきの下をかよふ風あるいは遠い線路のかがやき  高野公彦

2017.06.29

オオカナダモとクロイトトンボ

築山の池のオオカナダモがたくさんの花を咲かせています。

オオカナダモにクロイトトンボが卵を産みつけていました。クロイトトンボはアオモンイトトンボに似ていますが、アオモンイトトンボは雌雄が連結した状態で産卵することがありませんから、画像の個体は間違いなくクロイトトンボです。
今日のことば
あなたが書かずにいられない根拠を深くさぐってください。それがあなたの心の最も深い所に根をはっているかどうかをしらべてごらんなさい。もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください。何よりもまず、あなたの夜の最もしずかな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい。私は書かなければならないかと。
リルケ

2017.06.26

モリアオガエルとヤマアカガエル

全国各地で絶滅危惧種に指定されているモリアオガエルが築山のシダレザクラの高所に産卵しました。下の画像の赤丸の位置です。この位置から卵が池に落下することを認識できていることに驚きます。

全国各地で絶滅危惧種に指定されているヤマアカガエルが校舎のすぐ近くを移動していました。以前、カエルの研究者に校内にヤマアカガエルがいると話したらたいへん驚かれました。
昭和、平成と蛙たちは激減の一途をたどりましたが、次の世には個体数の増加が見られることを願っています。
今日のことば
「ハガキにて失礼します」と書き出せるかかるたしなみありたる昭和  佐藤通雅

2017.06.25

オオセンチコガネとセンチコガネ

お茶畑の中にある鹿の獣道でオオセンチコガネとセンチコガネを見つけました。それぞれが構造色の美しい輝きを放っていました。センチコガネはファーブル昆虫記にも出てくる糞虫の仲間ですから、2個体は鹿の糞を餌としていると考えられます。

こちらがオオセンチコガネです。
こちらがセンチコガネです。
2個体を確認した場所は数メートルしか離れていませんでした。僅かな違いから種の違いを認識できると生物多様性についての理解も深まります。
今日のことば
流れ星流れてよしや消ゆるとも瞬時は光れわれの命よ  堀口大学

2017.06.23

ホタルブクロとゲンジボタル

ホタルブクロの咲く季節となりました。


この花の中にホタルを入れて遊ぶ習慣からこの花の名前は生まれました。ですからこの花の時期はホタルの飛ぶ時期と重なることになります。2015年6月24日には不二聖心の構内で初めてゲンジボタルの生息が確認されました。

今日のことば
We are the earth ,and whatever we do to the earth ,we do to ourselves.
DAVID SUZUKI

2017.06.22

カノコガ

 6月16日の野鳥の調査の時に滝道雄先生がお撮りになった写真の中にカノコガの写真がありました。
今日は図書館から中学校舎に向かう途中でカノコガが飛んでいるのを確認しました。
鹿の子模様の翅を持つカノコガは6月の不二聖心で必ず見ることができる蛾です。



今日のことば

What is the good lifef? The good life is to be a good neighbor , to consider your neighbor as yourself.
K.VISHWANATHAN

2017.06.18

トラフシジミ

 温情舎の跡地の近くでトラフシジミが確認されました。不二聖心では初めての確認となります。トラフシジミの幼虫の食草はフジ、クズ、ネムノキ、ウツギ等々、かなり広範囲に及ぶことが知られていますので、今まで確認されなかったことが不思議なくらいです。トラフシジミは長崎県で絶滅危惧Ⅱ類、千葉県と鹿児島県で準絶滅危惧種に指定されています。広食性でありながら個体数を減らしている地域があるということは食性以外にトラフシジミを生きにくくさせている要因があるのかもしれません。


今日のことば
キリスト教徒らしく生きるということは、人よりもたくさん祈りの時間をもつことにあるのでもなく、行いを澄まして徳たかい人になることにあるのでもなく、人生のあらゆる瞬間を観想に生きるーー愛のまなざし、すなわち神のまなざしをもって生きるということなのです。
須賀敦子

2017.06.17

6月の野鳥の調査  ニホンジカ

日本野鳥の会の滝道雄先生が6月16日に不二聖心の野鳥の調査をしてくださいました。
以下がその報告です。

 6月度の調査結果をご報告いたします。

 確認された野鳥は下記の通りです。
 1.キビタキ          5羽
 2.ヒヨドリ          28羽
 3.スズメ            1羽
 4.コゲラ            3羽
 5.メジロ          12羽
 6.オオルリ         2羽
 7.ハシブトガラス   14羽
 8.ウグイス           6羽
 9.シジュウカラ        5羽
10.ツバメ         11羽
11.ホオジロ        4羽
12.イカル             2羽
13.ハシボソガラス    4羽
14.ヤマガラ        5羽
15.キセキレイ      1羽
16.ホトトギス       2羽
17.カワラヒワ       4羽
18.ヤブサメ        1羽
19.サンコウチョウ    1羽
20.アオゲラ        1羽
21.エナガ         2羽
22.ガビチョウ       3羽
合計  22種類
 
特記事項
1.ヤブサメを始めて確認できた。
不二聖心女子学院で確認された野鳥は54種類となった。
標高300mあたりのヒノキ林で「シシシシ・・・・」と尻上がりの囀りを聞いても、野鳥の囀りだと気づく人は少ないと思われる。名前の由来は、鏑流馬祭りで使用される鏑矢が放たれた時に出る、空気を切る音に似ているからと言われている。御殿場市の仁ノ岡神社で繁殖した事が有るが、当地では繁殖をするには標高が低すぎるか。
 2.サンコウチョウの「ギュイ ツキヒ―ホシ ホイホイ」という囀りを聞く事が出来た。ゴルフ場に接する辺りでは「ギュイ ギュイ」という警戒音を発し続けていたが、繁殖の有無は不明。御殿場市の仁ノ岡では繁殖をした例が有る。
 
3.昨年「ホ~フィ」と囀るウグイスがいたが、今年は同一個体と思われる「ホ~ホフィ」と囀るウグイスに出会えた。
 4.今年もホトトギスの囀りを聞く事が出来た。
 5.エントランスの池でモリアオガエルの卵塊とコシアキトンボを確認した。

滝先生からはニホンジカの写真も送られてきました。
今日のことば 
静かなひんやりとした空気を振るわせるように、「シシシ…」と細いしり上がりの金属音が聞こえてきた。ヤブサメだ。その音色は鳥というよりもむしろ虫といった感じである。
『探鳥山ある記 富士山ろくの野鳥』(高橋節蔵)より
お知らせ
今年も8月に小学4年生から6年生を対象として「夏休み子供自然体験教室」を不二聖心女子学院で開催します。参加を希望する方はホームページの申し込みフォームからお申し込みください。