フィールド日記
2011.04.27
卒業生の講演とジロボウエンゴサク
平成23年4月27日 水曜日
昨日、高校3年生の総合学習の時間に、第47回生の市村梓さんと小杉祐美子さんの講演がありました。
市村さんは慶応大学卒業後、東京大学の大学院で 学び、現在は外資系金融機関にお勤めです。
小杉さんは聖心女子大学卒業後、広告代理店でご活躍です。不二聖心での6年間の生活を生かして卒業後も
多くのこ とを学び、世界のために何かの役に立ちたいと思いながら生きていらっしゃるお二人の姿に生徒たちは深い感銘を受け、強い刺激と大きな勇気を与えられ、目を 輝かせて聞いていました。
2週間ほど前から職員用の出入り口の近くに群生するジロボウエンゴサクが花を咲かせています。
多くの県で絶滅が危惧され、すでに長野県では絶滅した と言われるジロボウエンゴサクがまるで雑草のように
校舎のすぐ近くに群生している不二聖心の自然環境は、まさに「二つとない」環境だと思います。
2011.04.26
カタクリハムシ
平成23年4月26日 火曜日
4月24日に校内で見つけたハムシについて専門家に同定を依頼したところ、
カタクリの葉につくカタクリハムシであることが昨日わかりました。
カタクリはたくさんの県で絶滅危惧種となっていますが、カタクリが絶滅したらカタクリハムシも生存を続ける
ことは難しくなるわけです。一つの命を救うことが、その命と深く関わる別の命をも助けることにつながる
ことを忘れたくないものです。
2011.04.25
高校3年生の短歌とカヤラン
平成23年4月25日 月曜日
高校3年生が詠んだ歌を紹介します。
あたたかい春の日の昼ねむ気くる私も小道の猫になりたい
背中押す朝六時の風さわやかで春感じつつ駅へと急ぐ
ひらひらと舞い散る桜来年へ花びら追いつつ涙ごまかす
満開の桜を見つめて心に誓う来年咲かそう私の桜も
今日の授業で生徒が読んだ震災の歌も載せておきまょう。
震災でガラスの割れた写真立て素通しとなり妻がほほゑむ 仙台市 岩間啓二
被曝検査受けねば避難受けつけぬと雨を濡れきし親子帰さる 福島市 中村晋
地震起きし時刻を指して止まりたる校舎の時計背に給水を待つ 仙台市 鹿野道子
生徒の歌に詠まれた桜はソメイヨシノだと思いますが、先週から八重桜も咲き始めました。
授業に行ったら教卓に八重桜の花が置いてあり、その日は一日それで心が和みました。
校内の桜の木についたカヤランがついに花を咲かせました。1年前に、校内のカヤランの数の減少 を嘆いた
教頭の田中正延先生が移植したカヤランです。全国的に絶滅が心配されているカヤランの移植に成功したのは
すばらしいことだと思います。田中先生は 湿度を含む周辺の環境にまで配慮して移植場所を選んだそうです。
自然を見つめるまなざしの深さが生んだ快挙です。
2011.04.22
聖週間と竹の子
平成23年4月22日 金曜日
今日は聖金曜日です。聖週間に入って校長室前の掲示の内容も変わり、今はキリストの受難の物語に関係する
絵などが飾られています。絵の下にあった祈りのことばに心を打たれました。次のような祈りです。
今このとき、イエスの受難と苦しみの道をともに歩みます。
祈りを最も必要としている人びとに主の光と慰めが与えられますように。
復活祭を迎えると季節が一つ進むような感覚にとらわれます。不二聖心でも聖週間に合わせるかのように
竹の子が採られ始めました。
下の写真は本館の受付に飾られている竹の子です。たてかけある葉書と比較すると竹の子がいかに大きい
かわかります。
2011.04.21
新年度祈りのつどいとクサボケ
平成23年4月21日 木曜日
今日は「新年度祈りのつどい」がありました。宮内毅神父様は、お話の中で、「愛する相手のすべてを見る、
相手のいいところも悪いところも目をつぶることな く見ていくことが愛である。これは自分についても言える
ことで、自分のいいところも悪いところもしっかり見つめていくことが自分を大切にすることであり、
その姿勢は学校目標の『謙虚に自己を培う』にも通じる。」とおっしゃいました。この言葉を一年間、
心にとめて生活したいものです。
下の写真は各クラスの幹事が、クラス目標についての祈りの紙とパンを祭壇に捧げている場面です。
今、牧草地の横の道では、クサボケの花が咲いています。この花を見ると夏目漱石を思い出しま す。
漱石は「木瓜(ぼけ)咲くや漱石拙を守るべく」と詠みました。この句からは漱石の、「拙」すなわち「愚かさ」を受け入れて生きていこうとする心が伝 わってきます。漱石も生涯、「謙虚に自己を培う」ことを続けた人ではないでしょうか。
クサボケは、13の県で絶滅危惧種に指定されています。
2011.04.20
竹筒とオオフタオビドロバチ
平成23年4月20日 水曜日
下の写真は、12月2日に撮影したオオフタオビドロバチの幼虫の写真です。夏にしかけた竹筒トラップに
産み付けられた卵が成長して写真のような姿になりま した。泥で仕切られた産室の中でここまで成長できたのは、親バチがあらかじめ部屋の中に蛾の幼虫を餌として入れておいてくれたからです。
不二聖心の敷地内でしかけた竹筒の営巣率は極めて高く、オオフタオビドロバチも不二聖心の自然の豊かさの
シンボルの一つと言えます。
竹筒は回収してペットボトルに入れておいたのですが、その竹筒から4月17日に成虫が羽化しました。
それが下の写真です。鮮やかな黄色い2本の帯がオオフタオビドロバチの名前の由来となっています。
そして今朝、さらに2匹が新しく羽化しているのを確認しました。秋に産みつけられた卵がほぼ時期を同じくして、それぞれの部屋から出てきたことに自然の不思議を感じています。
2011.04.19
不二聖心の道とサワガニ
平成23年4月19日 火曜日
中学3年生は、今日の国語の授業で、4月17日の朝日新聞の「ひととき」の欄に掲載された文章を読みました。
次のような文章です。
育児休暇中の現在、ほぼ毎日、家事が終わってからの午前中は9カ月の息子との30分~40分の散歩タイム。
息子は家の中より外の方が機嫌がいい。5カ月になるころからの日課だ。
鳥のさえずりを聞きながら、草花や木々の葉や花を眺め、のんびりと散歩する時間はとても幸せだ。
この地に住んで11年だが、初めて発見することも多い。(中略)
気持ちよさに息子が寝入ってしまうことも多い。その時は、いろんなことに思いをはせる私の時間。
最近は、震災で被災された方々のことを思い続けていた。
こんなすてきな自然や景色、愛する土地、愛する方を失われた方々の悲しみは計り知れない。
今の自分の生活に感謝の気持ちを忘れずに、東北の皆さんのことを思うしかできない。
同じ空の下でつながっている自分にできることを考えながら、願いながら今日も散歩に出かけた。
一日も早く東北の皆さんに笑顔と元気が戻りますように。 (小学校教諭39歳)
身近な風景の「当たり前」の奥にあるものを探すことがとても大切なことのように思います。
不二聖心にも、いろいろなことに思いをめぐらせながら歩くのにふさわしい道がたくさんあります。
そしてそこには数多くの生き物との出会いがあります。
下の写真は林道で出会ったサワガニの夫婦の写真です。オスはハサミの大きさが左右で違いますから
一目でわかります。メスを守ろうと巣の入り口で身構えるオスの姿です。
ここにもかけがえのない生命の営みがあります。
2011.04.18
高校3年生の短歌と鹿
平成23年4月18日 月曜日
先週は高校3年生の素敵な短歌と出会うことができました。何首か紹介しましょう。
帰り道六年ぶりに会った友声をかけるか迷って終わる
上級生いなくなって初めて気づく いてくれたときの安心感に
低カロリーその文字だけで好印象ついつい手が出る食べなきゃいいのに
寄り添えど眠れぬ夜の被災地に春まだ浅くなごり雪かな
ひらひらと落ちる花弁を捕まえて無邪気に遊ぶ小さな子ども
下の写真は桜の花弁舞う今の不二聖心の風景です。
先週はもう一つうれしい出会いがありました。土曜日の昼ごろ、正門をくぐってすぐに鹿の群が現れたのです。
先週だけで3回、鹿の群に出会いました。愛らしい鹿の姿を目にするのはうれしいのですが、
貴重な植物を食い荒らしていないか少し気がかりです。
2011.04.15
創立者聖マグダレナ・ソフィアとスミレ
今週の宗教朝礼で私たちは、「あなた方の心が謙虚になった時、主はあなた方の心の中に新しいことを
行いになります」という言葉を残した創立者聖マグ ダレナ・ソフィアが、スミレの花を特に好んだことと
スミレの花言葉が「謙遜」であることを学びました。校内に無数のスミレの花が咲く今の季節は、
創立者を 思うのにとりわけふさわしい季節だと言えるでしょう。
下の写真は本館前のスミレの写真です。校内には圧倒的にタチツボスミレの花が多いのですが、
ここだけは毎年スミレが咲きます。花の手前に写っている 穴はアリの巣です。
スミレは種にエライオソームという、アリの好む物質を付け、種をアリに巣まで運ばせます。
アリはエライオソームだけを食べますので、種 は残って発芽し分布を拡大することができるわけです。
このスミレも、かつて種であった時にアリに運ばれてここまでやってきたのかもしれません。
2011.04.14
中学1年生の授業でワラビ採り体験
中学1年生の理科の授業で春の自然観察を行いました。授業の目玉は、ワラビ採り体験です。
中学1年生は自然観察の授業を心から楽しんでいました。実際に実物にふれて生命に対する思いを深める
教育活動を大切にしたいものです。
下の写真は、雑木林の林床に生えるワラビの今朝の姿です。今の時期にワラビをある程度摘んでおくことで
雑木林は健全に保たれます。